モデルナ製ワクチン接種の30代男性2人が死亡、基礎疾患なし 使用見合わせロットと同時期の産品

2021/08/29
更新: 2021/08/29

米国のモデルナ社製の新型コロナウイルスワクチンに異物が見つかった問題で、厚生労働省は28日、使用見合わせの対象となったロットのワクチンを接種した30代の男性2人が、死亡していたことを発表した。2人に基礎疾患はなく、アレルギーもなかった。なお、接種したワクチンは異物が見つかったものと異なるロットだが、同時期に製造されたものだ。死因は明らかにされておらず、解剖を行って探索するという。

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基礎疾患なし、接種後3日で死亡

厚生労働省は「新型コロナワクチンの使用見合わせロット接種後の死亡事例の報告概要」と題する書面において、基礎疾患とアレルギーのない30代男性2人が、新型コロナウイルスワクチンを接種後に死亡した経緯を公開した。

一人目の男性は38歳だった。厚生労働省の資料によると、基礎疾患及びアレルギー歴のないこの男性は、7月18日と8月15日にそれぞれワクチンを接種した。男性は2回目の接種を行った翌16日に38.5℃の発熱があり、8月17日に解熱したものの、8月18日、自宅で死亡が確認された。

報告者は、ワクチン接種と死亡の因果関係は評価不能であり、解剖を行い死因を探索するという。

二人目の男性は30歳だった。同じく厚生労働省の資料によると、この男性にも基礎疾患及びアレルギー歴はなかった。この男性は、7月18日と8月22日にそれぞれワクチンを接種した。男性は2回目の接種を行った翌23日に、発熱を訴え仕事を休んだ。8月24日に回復、出勤し帰宅後就寝した。しかし翌朝(25日)、男性の死亡が確認された。

死因及びワクチン接種との因果関係については、情報収集中とのことだ。

28日、厚生労働省は公式ツイッターアカウント上で、発熱や倦怠感など、体調がいつもと違うと感じた時は外出を控えるよう呼びかけた。

専門家意見「死亡例は偶然の可能性もある」

厚生労働省はプレスリリースのなかで、2人の専門家の意見を紹介した。いずれも男性2人の死亡とワクチン接種の因果関係は、現時点では不明であるとした。

厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会長の森尾友宏氏は、本件事例について、「これらの死亡例が偶然に生じた可能性もあり、現時点では、ワクチン接種との関係は不明である」と説明した。そして、今後は副反応に関する報告や異物の性質、人体に対する影響等について情報収集に努めるとした。

薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会長の岡明氏は、異物混入については「副反応疑い報告制度での報告を、慎重に観察検討する必要がある」と主張した。そして、本件の因果関係は現時点では不明だが、十分に情報収集を行った上で専門家による検討が必要であるとの考えを示した。

因果関係はどのように評価されるのか

厚生労働省はワクチンの副反応について、「予防接種後に発生した病気や症状のうち、予防接種との因果関係は否定できないもの」と定義している。

そして、因果関係の評価については、「国内外の科学的知見等をもとに、外部専門家と連携し、個々の副反応疑い報告事例について、ワクチン接種との関連の評価」を行ったうえで、「因果関係の評価結果を踏まえ、厚生労働省の審議会でワクチン接種の安全性を評価する」と説明している。

厚生労働省の審議会とは、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を指す。

「ワクチンに異物」接種会場から報告

モデルナ社製の新型コロナウイルスワクチンに、異物が混入していたとして厚生労働省は26日、該当するワクチン約163万回分の使用を見合わせたと発表した。異物の詳細は依然不明のままで、ロイター通信26日付報道によると、モデルナ製のワクチンを瓶に充填するなど、製造の最終工程に関わるスペインの製薬会社ロビは、異物混入の事案を調査している。厚生労働省は、これまでに対象ロットにおいて本件に関連する安全性上の懸念に関する報告は受けていないとしている。

使用見合わせとなったワクチンのロットは、Lot 3004667(約5万7千本)、Lot 3004734(約5万2千本)、Lot 3004956(約5万4千本)である。

防衛省は使用見合わせとなったワクチンが、大阪の集団接種会場ですでに使用されていたことを明らかにした。そして、すでに接種したワクチンのロット番号等を確認する方法を公表したほか、普段と変わったことがあれば電話で相談するよう呼びかけている。

自衛隊大阪大規模接種センターで接種が行われたワクチンのロット番号は、新型コロナウイルスワクチン予防接種済証に貼付されたロット番号シールに記載されていることも公表している。

(大紀元日本語編集部)