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中国の景気回復は、実は蜃気楼?写真は、昨年12月の武漢市(STR/AFP/Getty Images)

中国各地で「空城」続出 09年の景気回復、資産バブルの上にたなびく蜃気楼か

 【大紀元日本3月5日】最近、欧米の主要各紙が、中国資産のバブルについての分析記事を相次いで発表している。2010年中国経済の成長ペースが急減し、経済破たんの恐れがあると述べられている。専門家は「4兆元景気刺激政策による2009年中国景気の回復は、資産バブルの上に立つ蜃気楼にすぎない」と指摘するほか、中国各地で急増している住民のいない新しい町に、著名投資家のジェームス・チャノス(James Chanos)氏の「中国不動産史上バブルの危険度はドバイ信用危機の1000倍だ」との警告は立証されていると報道されている。

 中国各地で続出する「空城」

 近頃、中国各地で不思議な現象が起きている。多くの古い町のすぐ横に、新しい町が開発されて、その新しい町の中にはあちこちに新しい住宅ビルが林立しているにもかかわらず、住んでいる住民の影が見当たらないのだ。

 昆明(クンミン)は中国西南地方にある雲南省の省都である。この昆明市の隣町、呈貢(チェンゴン)は、2003年に新開発された。2月21日付の「フィナンシャル・タイムズ」紙は、「China: No one home」と題する記事で、呈貢を次のように記述している。「呈貢には大理石のタイルで覆われた13軒の地方政府所有の新ビルが立ち並んでいる。この町には室内プール完備の高校があり、この地方の主要大学には、いくつかの大型キャンパスが建設された。新品の高層マンションが列を成し、ピカピカの窓ガラスが亜熱帯の太陽を反射して輝いている」。しかし、唯一の欠点は「現在の呈貢はほとんど無人の状態に等しい。広い通りの交通は絶えたかのようで、銀行の支店には客の姿がなく、地方政府の役場の玄関には落ち葉がたまっている」

 一方、内モンゴル自治区のオルドス(顎爾多斯)市政府は同市から北へ30キロを離れる砂漠の中に新しい町を作った。昆明にある呈貢の町と同じく、新しいビルが多く並んではいるが、住民は1人もいないため、「ゴーストタウン」と呼ばれている。

 「ブルームバーグ」も、中国江蘇省江陰県の華西村が「名実ともに中国のドバイになろうとしている。政府当局の莫大な景気刺激政策で形成された不動産バブルの象徴である」と指摘する。同村は1月から、総工費25億元(約325億円)で地上328メートル、地下と地上を合わせて74階の高層ビル建設を進めているという。同高層ビルは「増地空中新農村ビル」と名付けられ、中国国内で8番目、世界で30番目の高さを誇り、会議室、娯楽センター、宴会場が設けられる以外に、中のほとんどが高級マンションになるという。国内報道によると、このビルの建設費用の大部分は村民のうちの200人が共同出資したものだという。

 同時に、同村政府はさらに総工費60億元(約780億円)、ドバイのブルジュ・ハリファに次ぐ世界で2番目に高い高層ビルの建設計画を決定したという。建設計画によると、同ビルは地上538メートルで118階建て。

 不動産価格の急騰は国有企業のせい?国有の食品企業が不動産に投資

 現在、中国の不動産価格は米国の不動産価格水準に迫っているが、1人当たりの国内総生産(GDP)から見ると、中国は米国の7分の1にすぎない。多くの中国人ができる限り不動産を購入するのは、富を集めるためだ。購入した不動産を賃貸にも出さないで空室にしているのは、不動産価格がさらに上昇すると信じているからだ。実際に中国の不動産価格は上昇し続けている。2月11日、中国国家発展改革委員会は、1月の都市部不動産価格が前年比9・5%上昇したと発表した。09年12月の上昇率は7・8%だった。

 不動産価格の急上昇は国有企業に関係しているとみられる。4兆元の景気刺激政策の最大の受益者である国有企業大手は、政府から得た資金をそれぞれの主要事業に投じないで、不動産市場での投機資金として使っている。米金融大手ゴールドマン・サックスでアナリストの経歴を持ち、現在は中国最大の不動産開発企業であるソーホー・チャイナ(SOHO中国)の最高経営責任者(CEO)、張欣氏は、昨年11月に「フィナンシャル・タイムズ」(11月19日付)紙に対して、中国の不動産バブル崩壊への懸念を示した。また張氏は今年1月、国内月刊英文誌「中国外経貿」(China International Business)に対して、「すべての国有企業は不動産価格を極めて高い水準に押し上げた」と述べた。

 2月21日付の「ビジネス・ウィーク」によると、シンガポールに拠点を置き、主に新興国投資ファンドを運用するテンプルトン・アセット・マネジメントのマーク・モビアス会長は、同ファンドが投資している中国食品関連企業が事業用資金を大豆加工製品の製造にではなく、住宅売買に費やしていたことが判明し、この企業への投資を取りやめたと話している。

 インフラ建設ラッシュで地方政府負債が急増

 地方政府当局は中央政府からの資金を得るため、盲目的にインフラ建設を押し進め、状態の良いインフラ設備を惜しむことなく壊すことまで行っている。こうして莫大な資金が無駄遣いされた。例えば、四川省簡陽市の築40年の橋は、2008年5月の四川大地震にも損傷なく持ちこたえ、人々はこの橋を使っていた。しかし、同年7月末に地方政府が強度に問題があるとしてこの橋を「危険な橋」と定め、380キロの爆薬を使って爆破した。ところがそれでも、橋梁の角などは崩れたが、橋はそのままの姿で立っていた。

 中国経済学者の余永定氏は「現在の政治体制では地方政府に、例えば新しい町の開発と新しい行政役場など、いわゆる『政治成績プロジェクト』に投資するよう奨励している。これらのプロジェクトが完成し、今後5年間使われることがなく莫大な浪費になっても、官僚たちは意に介さない。5年後には、この地方に新しい赴任者が来るから自分たちには無関係なのだ」と述べ、「過剰生産問題の裏には、重要な制度要因がある。地方政府はこのようにして投資先を決定している」と指摘した。

 米ノースウェスタン大学のビクター・シー(Victor Shih)教授は、地方政府の文献および格付会社からの資料から試算したところ、中国地方政府の総負債額はすでに11・4兆元(約150兆円)に達しており、政府当局が公表した指標の2倍を超え、GDPの3分の1に達していると、「ウォールストリート・ジャーナル」紙に語っている。また同氏によると、国内の金融機関は、地方政府が設立した企業への融資に同意したという。総額は、2011年までに12・7兆元(約165兆円)にのぼる。シー教授は「私の試算結果はおよそのもので、実際の総負債額はもっと高いかもしれないが、その多くは明確にしようがない」と加えた。

 フェイバー氏:2010年中国経済成長が急減し、経済破たんの可能性も

 今年に入ってから、著名投資家が相次いで中国不動産のバブルが崩壊すると警告している。1月に「逆張り」で有名な投資家のジェームス・チャノス氏が、「中国の不動産バブルの危険度はドバイ信用危機の1000倍」と発言。2月には、米国の不良債権化した不動産ローンの処理を専門とするジャック・ロッドマン(Jack Rodman)氏が、北京の商業用不動産ビルの空室率は50%に達しており、中国不動産市場のバブル崩壊が近づいていることを指摘。

 この二人の投資家に続いて、1987年ニューヨーク株式市場の暴落及び日本株式市場バブル崩壊を予想した世界著名投資アドバイザーのマーク・フェイバー(Marc Faber)氏も22日に、「ブルームバーグ」に対して、「中国(での不動産投資)は行き過ぎている。中国にはますます多くの『空っぽ』ビルが建築されており、生産能力過剰となっている産業に新たな受注を入れている。これは意味のないことだ。2010年中国経済の成長ペースは急減し、経済破たんの可能性があると思う」と語った。

 一部の専門家は「4兆元景気刺激政策による2009年の中国景気の回復は、資産バブルの上にたなびく蜃気楼にすぎない」と指摘している。

(翻訳編集・張哲)


 (10/03/05 08:44)  





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