THE EPOCH TIMES

中国が海外で「間諜戦」:外交官二人、ドイツ裁判所にスパイ容疑で取調べ 法輪功監視で

2010年06月30日 11時20分

 【大紀元日本6月30日】ドイツ最大の週刊誌「デア・シュピーゲル」最新号の記事によると、ドイツ裁判所は最近、中国共産党の二人の高官に対して、現地の法輪功団体を対象とするスパイ活動を行ったとして取調べを進めている。その一人は副部長(副大臣に相同)級の高官で、中国の国家治安や秘密情報組織にあたる「610」弁公室の北京本部からの指示の下、在独の法輪功団体に対して、情報提供者を育て上げ、法輪功関係者のメールなどの情報を窃盗するなどのスパイ行為を行ったという。

 今月21日、ドイツ内政部は「09年度憲法保護報告」を公表、中国とロシアがドイツでスパイ活動を最も多く行っている国家であると指摘したばかり。同報告は、両国が行ったスパイ活動は経済、政治、軍事など多領域にわたっており、中国の駐ドイツ大使館がスパイの大本営であると指摘した。

 メルケル首相の中国訪問を前に、中共高官のスパイ行為に対する摘発は、中独関係に影を落とす恐れがあると「デア・シュピーゲル」はコメントしている。

 中国人学者を仕掛けた「610弁」

 スパイ行為を問われたのはこの二人の中共外交官だけではない。上海出身の孫という中国人学者も中共当局への情報提供の疑いで訴訟に巻き込まれてしまったようだ。

 「間諜(スパイ)戦」と題するこの記事は、二人の外交官がどのようにこの中国人学者を情報提供者にならせたかの経緯を詳しく報道した。

 2005年、すでにドイツ国籍を取得していた孫は、上海にいる父親が危篤のため、ペルリンの中国大使館にビザ申請を出した。ところが、孫が「法輪功」を学習しているという背景が、ビザ申請を難航させたようだ。

 最終的に孫は上海へのビザを入手したが、それに至る過程で発生したことによって、孫は今回訴訟されるという災いを招いてしまった。ビザ発給を急ぐ孫は、大使館のある女性官員との面会に同意した。面会の中で女性官員は、法輪功について孫と数時間にわたって話し、さらには孫と同じ研究領域の中国人医学専門家を孫に紹介すると言った。

 翌年3月、上海大学漢方薬専門家を名乗る二人の中国人男性が中国からベルリンに入り、孫とペルリン市の中心地にあるレストランで面会した。話は深夜まで続いた。その後のドイツ当局の調査によると、二人のうち一人は、中国の秘密情報組織にあたる「610」弁公室の上海支部のトップ責任者で、官職は副大臣にあたる副部長級であった。

 その後、孫は二人とほぼ毎日、Skypeやメールなどのやり取りでコンタクトを続けた。2008年9月から、孫はドイツを含むEUの法輪功学習者からのEメールを大量に中国にあるHotmailのメールボックスに転送するようにした。さらに中国側と共用するメールボックスを開設したことも、ドイツ当局の調査で分かった。

 中国秘密情報組織「610」に狙われた法輪功団体は、中国伝統精神鍛錬法「法輪功」を学習する人々である。日常生活を通して「真・善・忍」という原則を実行する教えや、顕著な健康維持効果の鍛錬法で1999年までの7年間、中国で1億に及ぶ愛好者を惹きつけた。中には中共中央政治局委員会のメンバーなど、中南海の高層幹部もいた。

 1999年6月10日、当時の江沢民国家主席が「このままでは党は滅びる」と、取り締まりの指示を党内に通達、7月20に法輪功に対する弾圧を始めた。国家憲法に反するこの弾圧指示を実施するために、江沢民は司法制度から独立した専用組織を設置、通達の日付から「6・10弁公室」と呼ばれた。司法や公安警察などに直接指示を与える権限を持つ。最初は法輪功弾圧専用だった同組織は、その後国家安全保護の名目で、当局が敵視する団体・個人への弾圧・迫害を実施するように発展し、膨大な資金支出権限を持ち、その活動は海外まで及んでいる。

 ドイツでの中国スパイ活動

 今回の摘発とほぼ同時に発表されたドイツ内政部の「09年度憲法保護報告」では、中国がドイツで行っているスパイ活動の範囲や、手段と特徴について詳しく紹介されている。

 300頁余りに及ぶこの報告書は、ドイツ内政部に所属している憲法保護局により編纂されたもので、中国のスパイ活動について次のように指摘している。「中共のもっとも重要な目標は、独裁権力を維持すること。異見を持つものを政権の脅威と見なし、国を挙げて大規模な弾圧を行う。中共は高圧政策の実施により少数民族居住区における絶対的な権力を保証している。そのため、中共は、法律を超越した広汎な権力をもつ情報機関を作り、なおかつそれらの情報組織を経済発展にも使用しているのである」

 同報告によると、ドイツにいる中共のスパイは主に中国の国家安全部と軍隊の情報機関からの者。国家安全局のスパイ活動の領域はきわめて広く、軍隊の情報機関のスパイは主に軍事情報の収集をしている。このほか、中共の公安部(警察)もスパイ活動を通じて情報収集を行っている。スパイ活動はきわめて高度で、ドイツの政治や軍事情報、たとえばドイツの対中の態度、ヨーロッパ連合におけるドイツの政策、ドイツの国防軍の発展と構成、ドイツの軍事製品などにきわめて興味をもっているという。スパイ活動にされる対象のもっとも多くは、いわば「五毒」(新疆独立活動家、チベット独立活動家、法輪功、民主活動家および台湾独立活動家)と指定されている集団で、そのメンバーらは国内のみならず、ドイツにおいても中共のスパイから厳しく監視される標的となっているという。

 そのほか、経済スパイ活動も活発で、主にドイツの新製品の生産過程や最新の科学研究成果を狙っているという。 

 スパイの身分と情報収集方法

 報告書によると、ドイツにいる中国のスパイは大抵慎重であり、一般的に、国家機関の駐ドイツ事務所などを利用してスパイ活動を行う合法的な身分と場所を確保している。ベルリンにある中共の大使館のほか、ハンブルグ、フランクフルトおよびミュンヘンの中共の領事館も彼らの身を隠す場所である。ドイツで登録している中国の記者の中でスパイ活動を行う人もいる。

 ドイツ在住の中国の訪問学者や研修生や留学生たちも、中共の情報機関にスパイとして買収される対象である。中国からの経済代表団などの中に、このような方法でスパイ活動を行う者もいる。

 情報収集の方法として、まず公開された情報を情報源としている。たとえば、マスコミの報道、専門的な文献、インターネットの情報など。またフォーラムや講座、講演会、展覧会などの公開の活動にも参加している。

 また、公の身分を利用て社会的ネットワークを作り、人々との付き合いを通して情報を収集する。ターゲットはドイツの官員や企業の経営者に限らず、国防兵士や研究者も含まれている。

 スパイにとって、特別な価値を有する情報を持つ対象者は、敏感な情報を所有するのみならず、中共の利益を理解できるものでなければならない。これらの人々に対し、スパイらは努力して親密な関係を作ろうとし、つねに会食したりお土産を贈ったりなどによって、個人的な友情を結ぶ。それで、知らず知らずのうちに、対象者たちは自ずと関連の情報を漏らすなど、彼らの「友人」のために働きたくなるのである。

(大紀元日本語ウェブ編集チーム)

 

関連キーワード

関連特集

^