防衛省統合幕僚監部はロシア海軍の艦艇計3隻が対馬海峡から東シナ海を南下し、沖縄県の与那国島と西表島の間を通過して太平洋へ進出したことを確認したと令和8年(2026年)2月16日、発表した。
2月中旬の艦隊行動:フリゲートと補給艦の太平洋進出
2月14日午前0時頃、海上自衛隊は対馬(長崎県)の北東約90kmの海域において、南西進するロシア海軍の艦艇3隻を確認した。内訳は、ステレグシチー級フリゲート2隻(艦番号「333」および「343」)と、ドゥブナ級補給艦1隻である。
これらの艦艇はその後、対馬海峡を通過して日本海から東シナ海へと抜けた。さらに2日後の2月16日には、当該艦隊が沖縄県の与那国島と西表島との間の海域を南西に進み、太平洋へ向けて航行したことが確認された。防衛省・自衛隊は、護衛艦「あぶくま」、「あまくさ」、およびP-3C哨戒機による警戒監視・情報収集を行った。
特筆すべきは、戦闘艦艇であるフリゲート2隻に加え、補給艦が随伴している点である。これは、当該艦隊が近海での短期間の訓練ではなく、太平洋における長期の航海や展開任務を目的としている可能性を強く示唆している。

2026年1月以降のロシア艦艇の動向
今回の太平洋進出に至るまで、ロシア海軍は、日本周辺海域において活発な動きを見せていた。その動向は大きく「情報収集活動の常態化」と「個艦による海峡通過」に分類できる。
1. 南西諸島周辺での執拗な情報収集(1月)
1月は、ヴィシニャ級情報収集艦(艦番号「535」)による活動が際立っていた。同艦は前年12月末に対馬海峡を北上して日本海に入った後、年明けの1月7日には再び対馬海峡を南下。その後、1月中旬から下旬にかけて約3週間にわたり、与那国島、宮古島、沖縄本島周辺の接続水域や周辺海域を反復して航行した。

同艦は、1月20日から23日にかけて沖縄本島の東から南東の海域を遊弋(ゆうよく)するなど、長時間にわたる情報収集活動を実施した後、1月25日から26日にかけて対馬海峡を北上し日本海へ帰投した。この一連の動きは、南西諸島方面における自衛隊や在日米軍の活動に対するロシア側の強い関心を示している。
2. 津軽海峡での個艦移動(2月上旬)
2月に入ると、北方での動きも確認された。2月1日にはステレグシチーⅢ級フリゲート(艦番号「337」)が龍飛崎(青森県)西方から津軽海峡を東進し太平洋へ抜け、逆に2月4日には別のステレグシチー級フリゲート(艦番号「335」)が尻屋崎(青森県)北東から津軽海峡を西進し日本海へ入った。これらは個艦による移動であり、配備の交代や単独訓練の一環と見られる。

背景
今回確認された2月中旬の3隻(フリゲート2隻+補給艦)による太平洋進出は、1月の情報収集艦によるデータ収集活動や、2月上旬の個艦移動とは質が異なり、より実践的な「部隊展開」の性格を帯びている。
対馬海峡から南西諸島(第一列島線)を抜けて太平洋に出るルートは、ロシア海軍が近年定着させつつある行動パターンの一つである。補給艦を伴うことで、外洋での継戦能力や作戦遂行能力を誇示する狙いがあると考えられる。また、ウクライナ情勢等で欧米との緊張が続く中、極東においても活動能力が維持されていることを日米に示す意図も透けて見える。
地域情勢が不安定化する中、ロシア海軍の動向は日本の安全保障環境に直接的な影響を与える要因として、今後も予断を許さない状況が続くだろう。
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