THE EPOCH TIMES

中国不動産バブル、多数の利益集団が決め手 崩壊のカウントダウン=独立経済評論家

2010年11月02日 07時57分
 【大紀元日本11月2日】「ある研究レポートによると、北京市の初めて住宅を購入した人の平均年齢が27歳まで下がった。市場がすべて買い勢力に占められていることや、住宅を購入すべきでない人が住宅を購入したことを意味する。これは中国の不動産市場に関心のある人々にある信号を送っている。今まだ高い価格水準に維持しようと必死になっている中国不動産市場が今後直面するのは、長期的な恐ろしい暴落局面だ」。

 上述は、中国国内独立経済評論家の袁剣氏が最近、「中国不動産市場を左右する利益集団が崩壊しはじめている」と題する評論記事で呈示した観点。同記事では中国の不動産について、バブル拡大原因やバブル拡大を助長した利益集団を分析し、不動産バブルにおける中国政府の複雑かつ曖昧な立場を示している。さらに、政府の金融政策の転換で今後の不動産市場の下落相場を警告したなど、中国国内のネット上で注目を集めている。

 同記事の観点をいくつか紹介する。

 中国不動産市場を左右する利益集団

 中国の不動産バブルで最も利益を得ており、不動産価格の急騰を促している権力集団の中で、最も強い勢力を持っているのは各レベルの地方政府。自身の昇進を狙う官僚たちが、地方財政収入や地方経済のGDP規模の拡大のため、各レベルの地方政府は絶えず不動産バブルの拡大を助長したと言えよう。

 このグループは不動産市場の中において最も強力な買い勢力であろう。利益のために、中央政府が不動産バブルへの措置を緩めると、地方政府は直ちに様々な不動産刺激政策を打ち出す。2010年中央政府が不動産価格抑制政策を打ち出した時、各地方政府はさまざまな理由で実施の時期を先延ばししようとしていた。一部の地方政府官僚がバブルを沈静化するために「住宅消費税の実施」を提案したが、これは特別な政治的需要があるためで、政治的宣伝の役割を果たすためにあるからだ。土地財政への依存がなくならなければ、地方政府は依然として不動産バブルにおいて強力な買い勢力だ。

 一方、地方政府は不動産バブルがもたらした利益だけを享受しようとしているが、バブルが崩壊する責任を負おうとしていない。

 不動産市場においてもう一つの強い買い勢力グループは、さまざまな不動産関連企業だ。バブル拡大で不動産価格が急騰することによって、巨額な収益を儲けられるため、バブルの崩壊を目にしたくないそれらの不動産企業は、各地方政府と組むなどあらゆる可能な手段を使って、不動産バブルを拡大させた。

 これらの不動産企業の中で近年特に勢力を増しているのが、中央政府管轄の大型国営不動産企業だという。これらの不動産企業は、民間不動産企業と比べて、資金や政府との関係と人脈などで優位に立っている。また、不動産バブルの崩壊に伴う損失を全く負う必要がないため、短期間のバブルが大きければ大きいほど、国営不動産企業に有利となる。すべての不動産企業の中、不動産バブルの拡大を助長するのに最も力を持っているのは、ほかならぬ国営不動産企業だ。

 これらの国営不動産企業は、不動産政策にまで中央政府に口を出すようになった。また、それは不動産政策関連政府部門に限らず、政府の金融政策にまで及んでいるという。あらゆる資産バブルの発生の根本的な原因は金融政策にあるからだ。

 また、中国の銀行業界も不動産バブルの拡大に加担した。一部の大手銀行の時価総額が世界ランキングでトップ3位を占めるなど、これまで大きな変化を遂げた。しかし中国銀行業界は、利息収入が依然銀行の収入源の多くを占めているのが現状だ。貸出を多くすればすれるほど収益も増えるため、各銀行は先を争うように相次いで不動産関連の貸出をする。しかしバブルが崩壊すれば、中国の銀行業界に残されるのは山積みの不良債権だ。

 将来の不良債権急増のリスクを懸念する銀行関係者がいるが、彼らも「銀行は私のものでもないし、最悪の場合、中央銀行か中央政府が出資して救援してくれるだろう」との認識を持っているため、不動産バブルが短い間に崩壊しない限り、銀行は依然大量な貸出を続けるとの見解を示した。「短期的にみても、長期的にみても、不動産業界に大量に貸出をし、不動産バブル拡大を助長することは、銀行の利益に合致する」と言う。

 不動産バブルに複雑な心境を持つ中央政府

 中国政府は不動産バブルに複雑な心境を持っている。不動産市場の繁栄が経済発展をけん引することを期待している一方、絶えず急騰する不動産価格に国民の不満も噴き出している。さらに、いつ崩壊してもおかしくない状況にある不動産バブルが中国の金融システムを完全に破壊するとともに、経済景気も破たんすることに、政府は直面している。

 不動産市場の急上昇が中国政府にもたらすメリットは、デメリットより多い。これにより、中央政府がこれほど多くの不動産バブル抑制措置を打ち出したにもかかわらず、抑制する力を強めない。2008年金融危機発生後、中国の経済発展をけん引する不動産市場の重要性を認識している政府は、主に不動産市場の活性化を中心とした経済刺激政策を改めて出さなければならなかった。

 政府が不動産市場に対して、従来「不動産市場の健康と安定を保持せよ」との姿勢であり、つまり、「不動産バブルを抑制しても、不動産価格を大幅に下落させようなどと言わない」。政府は不動産市場の安定を望んでいるだけだと言っているのだ。地方政府や不動産企業や銀行業界は政府のこの本音を、非常に心得ている。 実に、中国政府の不動産バブルについてあいまいな態度からみると、政府は不動産バブルを助長した一つの買い勢力であり、バブルの持続期間を延長してしまったと言える。

 一方、売り勢力側をみると、現在都市部に出稼ぎに行っている農民工とまだ住宅を購入したことのない若者だけが残っている。彼らは現在中国の政治階層構成の中で最も弱い階層である。中国不動産市場において、売り勢力がほぼいないのが今の現状である。ある研究レポートによると、北京市の初めて住宅を購入した人の平均年齢は27歳まで下がった。市場がすべて買い勢力に占められていることや、住宅を購入すべきでない人が住宅を購入したということは、われわれに非常に危険な信号を送っている。中国不動産市場は今まだ高い価格水準を維持しようと必死になっているが、しかし今後直面するのは長期的な恐ろしい暴落局面だ。

 金融政策の転換で不動産バブル崩壊

 不動産バブルを引き起こしたのは近年急増したマネーサプライによる流動性の膨張に関係する。2008年世界金融危機以降、中国は国内に対してマネーサプライをさらに増やし、過去最高水準に達した。現在中国広義マネーサプライ(M2)の国内総生産(GDP)に占める割合(マーシャルのK)は180%に達し、米国の60%をはるかに超えている。中国政府によると、2010年8月の広義のマネーサプライ(M2)は68兆7000億元(約832兆円)で、9月に69兆元(約835兆円)となり、総規模として世界1位だという。

 また急増したマネーサプライは、中国のインフレ圧力を増強した。中国の消費者物価指数(CPI)上昇率は7~9月、3カ月連続で中国政府があげた年間目標の3%を超えた。これに対して、温家宝首相が10月初めに米国ケーブルテレビCNNのインタビューにおいて、明確に「インフレ問題と汚職が中国の安定にマイナスの影響を及ぼす」と述べた。

 (この発言で)中国の今後の金融政策の動向が明らかになった。中国政府指導者はより低いGDP増長率を受け入れようとしている。これはより慎重かつ安定した金融政策の実施を意味しており、今後の金融政策スタンスは引締めの方向に転換するだろう。したがって、不動産市場には売り勢力が増えてくる。市場投機家が政府の金融政策の転換と、買い勢力が徐々に売り勢力に変わっていくと確認した時、不動産市場の暴落が本格的に始まるだろう。

(翻訳編集・張哲)


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