アルゼンチンでフェルナンデス氏が大統領就任、左派政権誕生

2019/12/11
更新: 2019/12/11

[ブエノスアイレス 10日 ロイター] – 南米アルゼンチンで10日、大衆救済路線のペロン主義を掲げる正義党(ペロン党)のフェルナンデス氏(60)が大統領に就任し、左派政権が誕生した。

キルチネル元大統領の妻で自身も大統領を務めたクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル氏が副大統領に就任。新政権はマクリ前政権が導入し、国民に不人気だった緊縮財政策から成長支援型の政策に転じるとみられている。

インフレ率が50%を超え、景気低迷を反映し貧困率が40%に迫る中、フェルナンデス氏は大統領に就任。ラジオ局コン・ボスに対し「まず貧困対策から着手する。同時に債務問題にも対応していく」と述べた。支持者の間では貧困、物価対策への期待が出ている。

フェルナンデス氏は議会で行った演説で「数多くの傷口を治癒しなければならない」とし、社会的な分断を改善させるとともに、内需拡大に向け金利が低水準にある「大規模な」信用システムを打ち出す方針を表明。「(毎日食べる)パンがなければ、現在も未来もない。パンがなければ人生は苦しいだけだ」と述べた。

政治アナリストのフリオ・ブルドマン氏は、多数のことに同時に対応していくことがフェルナンデス氏の最大の課題になると指摘。「経済の再活性化に素早く対処する必要があるが、これは債務問題にどのように対応できるかに左右される」と述べた。

この日の就任式には、これまでもフェルナンデス氏との見解の相違が顕著だったブラジルのボルソナロ大統領が欠席。ブラジル大統領がアルゼンチン大統領の就任式に出席しなかったのは2002年以降初めてで、フェルナンデス政権の外交面での課題も浮き彫りになった。

フェルナンデス氏は6日、就任に先立ち閣僚人事などを発表。経済相にエコノミストのマルティン・グスマン氏(37)を起用した。グスマン氏は米コロンビア大学でノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ氏に師事。債務再編分野の専門家で、債務危機対策としての財政緊縮化に批判的であることが知られている。

グスマン氏の経済相起用が発表されてから初めての取引となった9日はアルゼンチン国債価格は大きく上昇。この日の外国為替市場ではアルゼンチン・ペソは1ドル=59.99ペソとほぼ横ばいとなっている。

Reuters
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