銀行が深刻な「銭荒」に直面 コメやケータイを贈って預金吸収

2013年07月01日 19時45分
(AFP)

【大紀元日本7月1日】6月に入ってから、中国の短期金融市場では銀行間金利が急速に上昇している。特に短期資金を貸し借りする金利指標である上海銀行取引金利(SHIBOR)の翌日物は月初めの4.5%から急上昇し、20日に前日比で578.40ベーシスポイント(bp)上昇し過去最高水準の13.4440%に達した。中国の各銀行が深刻な資金不足(銭荒)に直面していることを示唆した。

 国内報道によると、中国金融市場においてこのほど人民銀行(中央銀行)が中国工商銀行に対して約500億元の資金を提供したことや、国有大手の中国銀行が流動性のひっ迫で債務不履行の恐れがあるとのうわさが広まったことで、資金ひっ迫の懸念が強まり、取引金利がどんどん跳ね上がった。20日の取引において、SHIBORの翌日物金利は一時30%に達したことため、市場関係者は「市場は高利貸と化した」と吐いた。また、銀行間のレポ金利(加重平均)の翌日物と7日物は前日比でそれぞれ377.7ベーシスポイント(bp)、321.2ベーシスポイント上昇し、11.65%と11.449%と過去最高の2桁の水準に急騰した。

 6月21日資金ひっ迫が少々緩和されたため、SHIBOR翌日物は前日の13.444%から8.492%に下落したものの、1カ月物は前日比で299bp上昇して過去最高の9.698%に達した。同日、海外の銀行との間で資金の貸し借りを行う際に用いる金利指標であるロンドン・インターバンク・オファー・レート(LIBOR)は0.197%しかなくて、SHIBORはLIBORの49倍となった。2007年8月、米国サブプライムローンが発生し世界金融市場が恐慌状態に陥った2007年8月、LIBORは5.5%と過去最高水準に急騰したことがある。しかし、21日のSHIBORは世界金融危機の時のLIBORと比べて76%も高い。

 20日SHIBORの急騰に対して中国人民銀行(中央銀行)は公開市場操作を通して流動性の調整を全くしなかった。24日付の共産党機関紙「人民日報」は、中国の広義マネーサプライ(M2)は過去27年間において143倍に拡大しており、5月末現在のM2残高は104兆2100億元(約1667兆3600億円)に達しているため、中国は「資金が不足するわけがない」とし、資金が正しいところに使われていないだけだと主張した。

 専門家「中央銀行が行動を起こさないのは、中央政府からの警告だ」

 匿名希望の国内金融アナリストは大紀元の取材に対して、「中国金融市場における資金不足の混乱を探ればさらに深い意味があると考えられる。経済の面から言うと、中国当局が今ジレンマに陥っている状況を表した。金融政策を引締めの方向にすれば、銀行が経営難に陥り、システム的なリスクが生じる。銀行セクターに何かの大きなトラブルが起きれば中国経済が大きな打撃を受けることになる。しかし、政策が緩和的になれば、以前のように不動産バブルがますます膨張し、インフレ率が制御不能に急騰する。しかし言うまでもない、不動産バブルの崩壊は同じく銀行業に大きな打撃を与えることになる」とし、「政治の面から言うと、中国共産党政権が独裁統治を固めるための措置だ。今現在地方政府は中央政府の指示を聞かなくなった。中央政府が不動産価格のさらなる上昇を抑制しようと、様々な政策や措置を打ち出したが、地方政府はそれ等に対して全く行動を起こさないし、あるいはごまかしている。また中央政府が大規模な投資は行わないと公言しているのに対して、地方政府はまた相次いで投資計画を打ち出した。だから中央政府は地方政府に目に物を見せてやろうとしたのだ。国有大手銀行が(資金不足で)緊迫しているのに、地方の銀行はなおさら息ができなくなっている」との見解を述べた。

 一方、米サウスカロライナ大学の謝田教授はSHIBORの急騰は中国経済が悪性循環に陥ったことを証明したとの見解を示した。また、中国当局の認識について「中国企業の収益金などは、共産党権力者や太子党グループ(権力者の子弟)、そしてその高官の親族等に独占されている。彼等はそのお金を資金に金融市場で投機活動をしているだけではなく、欧米各国の不動産や企業などを対象に海外でも投資活動を行っている」と述べた。さらに、謝教授は「もうひとつの可能性を除いてはいけない。それは中国共産党政権の最高指導部において、本当に資金がなくなったことだ。資金はその仲間に横取りされ、あるいは持ち逃げされた。今市場の流動性を調整して紙幣印刷機のスピートを速めても、もう間に合わないかもしれない。これが本当であれば、うわさとなっているより大きい額面の人民元紙幣が早くも出回ることになる」と話した。

 銀行の相次いだ「故障」は資金ひっ迫が原因か

 中国の銀行が資金ひっ迫とのうわさが絶えない現在、23日全国各地にある中国工商銀行の一部の支店において、突如窓口業務や現金自動預け払い機(ATM)の利用ができなくなり、一時営業停止となった。また、24日には中国銀行の一部の支店でも、インターネットバンキング業務や窓口業務などが一時停止し、現金の引き出しができなくなった。

 工商銀行と中国銀行はその後「コンピューターシステムのアップグレードによるシステム故障で、資金不足とは関係ない」と公表した。しかし、市民の不信感が強く、客の取引が多い昼間にアップグレードを行うのは理に合わないと指摘する声が挙げられている。

 また国内報道によると、各銀行は市民からの貯蓄預金吸収力を強めるため、預金口座を開く顧客に対して預金利率の引き上げや現金のキャッシュバック、またはお米や携帯電話などの贈答品を渡すなどあの手この手を使った。多くの銀行はこの「資金を奪う戦い」に全力で臨んだと言う。

 格付け大手フィッチ・レーティングスの最新調査報告書によると、6月末には中国の商業銀行において約1兆5000億元(約24兆円)の金融商品が満期を迎えるため、SHIBORは再び上昇する恐れがあるという。同報告書では、このほど発生した流動性の持続的な緊迫で、一部の銀行の現金支払い能力が制限され、特に中堅銀行が最大の困難に直面することで、銀行間金利水準が一層に高められると指摘。

(翻訳編集・張哲)


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