評論:総統に邁進する馬英九氏

2005/07/28
更新: 2005/07/28

【大紀元日本7月28日】さすがは台湾の最も輝かしい政治スター・馬英九氏だけのことはある。対外的に勝ち続け、未だ負けを知らない。台北市長選挙では陳水扁総統に勝ったこともある。先日、国民党主席の座を獲得したことで、国民党員の中で最も愛される政治家であることが証明されたわけだ。

筆者に言わせれば、もし国民党内の民主的な構造がなければ、馬英九氏が台頭するにはまだまだ無理があったと言わざるを得ない。ゆえに、馬英九氏が選挙に勝ったことは、国民党の新世代のエリートが実際の行動を通して、国民党の民主化のために大きな勝利を収めたことを意味している。これはただ、馬英九氏個人及びその団体の勝利に留まらず、国民党の勝利であるといえる。

ただし、馬英九氏の直面する挑戦も多々あろう。特に選挙期間中に起きた馬英九氏と王金平氏との不和は、馬英九氏が誠意をもって解消しなければならないものである。特に注目すべきなのは、従前から共産党が、反共のイメージをもつ馬英九氏を嫌がっていること、そして、連戦・前主席が共産党と聯合する「平和の旅」に熱中していることである。その兼ね合いをいかにうまく調整するかが、馬英九氏の智慧が試されるところである。

正直なところ、馬英九氏が台湾総統へ邁進する道はそれほど多難に満ちたものではない。なぜなら、彼の正義廉潔のイメージが、金権政治を嫌悪する台湾人が大きな期待を寄せる元となっているからである。ただし、馬英九氏は、「外省人」(中華民国政府が台湾に移転後、台湾に移住した人たち)であるという身分のために、しばしば攻撃を受けてきた。多くの人から「赤いレッテル」を貼りつけられたことから、同氏は自分の潔白を証明しなければならない局面も多々あった。

ゆえに、支持を得るには、馬英九氏は反共の旗を強く打ち出す以外道はないと、筆者は思う。国民党の最も純正な反共の訴えをもって有権者の支持を獲得すると同時に、馬英九氏は党内の一部の者による彼に対する不満を打ち消さねばならない。誠意をもって不和を解くほか、馬英九氏は李登輝氏を尊重しなければならないのであり、元国民党主席の李氏に合理的な評価を下すべきである。

李氏に対する尊重は、馬英九氏が国民党内を統合するための重要な方法であるばかりか、それによって台湾中南部の有権者からも高い評価を得ることができる。その上、馬英九氏は、蒋経国氏の本土化の路線を学び、中共が台湾を虎視眈々と狙っている現状の下で、再び蒋介石と蒋経国の反共時代における訴えを繰り返し、さらに新たな意味を賦与しなければならないのである。

実際、馬英九氏は超人気の政治スターであるため、総統へ邁進する中できっと、敵に挟み打ちにされるという試練を経験することであろう。ゆえに、馬英九氏のイメージは、ただ「青軍(統一派)に選ばれた主人」に満足してはいけないし、狭い概念の「新台湾人」として終わらせるわけにもいかない。彼のイメージに最も合っているのは、「新世代の華人」であり、馬英九氏も積極的に、台湾の有権者が受け入れることのできる「新世代の華人」の論述を作り上げるべきである。(正直に言うと、馬英九氏は自身を「新唐人」のイメージとして造ることを考えてもいいと思う)。

もちろん、古来大きな功労を成し遂げる者は、必ず天に従い、世に順じなければならない。それゆえ、馬英九氏の新しいイメージは、反共の上に築くべきである。六四民主運動を支持し、法輪功を声援したため、馬氏は中共に嫌われている。これは馬氏にとって重荷であるとする評論家もいるが、逆に氏にとって大きな利点であるとも言える。馬氏は、自分が13億の中国人が中共から離脱することを声援する正義の政治家であり、中共の指示で動く政治家ではないというイメージを築けばよいのである。

以上挙げたいくつかの大きな方向が正しければ、馬英九氏が総統へ邁進する道は、前途洋々たるものになるだろうと信じる。衆望の期待を裏切らないよう、がんばってほしいものである。

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