2011年は民主化の実りの年=フリーダム・ハウス報告

2012/02/02
更新: 2012/02/02

【大紀元日本2月2日】2011年、アラブ世界に旋風を巻き起こした民主化の動きは、頑に自己の地位を守り抑圧を続ける政府がいつまでも権力を持続できるわけではない、という希望を世界に与えてくれた。エジプト、チュニジア、リビアなど、民主化にはほど遠く思えた国々の数十年にわたる独裁政権が、終焉していったのだ。民主化された機関が芽生えている。しかし、シリア、バーレーン、イエメンなどでは、独裁者、抑圧政権が暴力を以て抗議する可能性があるという、気の引き締まる事実も、この朗報には伴っている。

昨年の変革について査定する報告書「Freedom in the World 2012」が1月19日に発表された。同報告書は1972年より毎年発表されている。報告書の発表とともに、昨年の意義と米国の果たした役割についてのパネル・ディスカッションも行われた。

「アラブ世界を吹き抜けた政治的な反乱は、ソ連の崩壊以来、最も顕著な権威主義政権への挑戦となった」と、報告書は前向きな論調で始まる。

チュニジア、エジプトでは、「競い合い、信頼がおける」と監視人がみなす選挙が行われており、アラブの数カ国で、民主的機関が構築される明るい兆しが窺える。

アラブ諸国に限らず、 ロシアの各都市でも、12月の議会選挙での水増し得票やその他の不正行為に抗議する大衆によるデモが予想外に勃発した。

プーチン首相が、メドヴェージェフ大統領と地位を交換し、第三期、第四期の統治に臨むという計画は、ロシアの抗議者をいらだたせるものだった。

「今後12年にわたって新政権が生まれないという見込みは 、数万人の抗議者を街頭に繰り出させた」と報告書は分析する。

2010年、独裁的な支配者の肖像は、「傲慢」「外部の意見を蔑む」と見なされていたと、同報告書の主執筆者でフリーダム・ハウス研究部門のバイスプレジデントであるアーチ・パディントン氏は記述する。

「政治的手腕がどれほど洗練されていても、いかなる権威主義政権も、大衆からの変革の要望からは免がれない」と見解する。

パネリストたちは、 中東その他の諸国での民主化の動きに、限定的で遅れをとりながらも、米国は前向きな役割を果たしたと合意している。

米国アムネスティ・インターナショナルの スザンヌ・ノセル常勤取締役は、エジプト、リビアの場合、米国政権の対応は遅れたが、最終的に対応したと指摘。

ブルッキング・インスティテューションのシニア・フェロー、ロバート・ケイガン氏は、米国は11時間半後にエジプトで発言し、やっとのことで長期的なエジプト政権との連合から身を引いた、と語る。

ケイガン氏は、リビアの変革では、米国はある程度の役割を果たし、態度も明確に表明していたと比較する。改革の進行は避けることのできない者であり、民主主義が大きな違いをもたらしたと強調する。

概観

フリーダム・ハウスは、世界で自由を促進する独立系の監視機関。世界195カ国、14地区で、民主的な変革を支援し、自由・市民権・民主的機関を査定する研究を進めている。

デモクラシー指標に基づいて、各国を「自由」「制約的な自由」「自由ではない」という状態に区分している。

2010年は、昨年同様、87カ国が「自由」に区分された。世界政権の45%、世界人口の43%、約30億人に及ぶ。「制約的な自由」とされる国家は60カ国でこれも昨年と同じ数。世界諸国の31%にあたり、15億人に及ぶ。

「自由ではない」国は48カ国で、南スーダンが新たに加わり、昨年より1カ国増える形となった。25億人、世界人口の35%にあたる。このうち半数以上が中国に居住する。

「自由ではない」国の中でも、 北朝鮮、タルクメニスタン、ウズべキスタン、スーダン、赤道ギニア、エリトリア、サウジアラビア、シリア、ソマリアの9カ国を、報告書は最悪の国とみなしている。その他、チベット(中国政権下)、西サハラの2領域も最悪地区として挙げられている。

昨年の最高の勝者はチュニジア。独裁政権から選挙に基づく民主政治へと移行し、最高の得点を勝ち得た。「メディアが批判的で活発だった…市民社会の発芽、繁殖がみられ、新政権は、浸透する汚職問題に真剣に取り組む姿勢を示している。

エジプト、リビアも大きく飛躍。しかし民主主義の未来は不明瞭だ。エジプトでは、エジプト軍最高評議会が、批判的なメディアを弾圧。女性の活動家を恥辱し、キリスト教徒に暴行を加えている。 フリーダム・ハウスを含む、人権を監視し、民主主義を促進する非政府機関の事務所に、軍当局が踏み込んでいる。ファイルやコンピュータを差し押さえ、法的行動に出ていると主張する。市民社会を支える機関への攻撃は、エジプトでの今後の民主主義の発展に前向きな兆しとはならない、とフリーダム・ハウスは記述している。

ビルマでは、目を見張る発展があった。アウン・サン・スーチー氏の率いる野党政権が次期選挙に出馬表明。メディアの検閲は緩和。多くの政治的理由で捕らえられた囚人が釈放された。

これらの飛躍にもかかわらず、ビルマ、エジプト、リビアは、「自由ではない」国として区分することを同報告書は注記している。

後退する諸国

ウクライナ、ハンガリー、トルコは2011年に後退をみせた民主主義国家3カ国だ。

ウクライナは、その他の国家に比べ、2年間で急勾配を見せた。ユーリヤ・ティモシェンコ前首相は、「明らかに見せかけ」の罪で投獄されている。野党政権を潰し、メディアを弾圧し、デモを解散させるために武力行使にでている、と報告書は言及する。

ハンガリーでの単独政権による新憲法は、報道の自由、独立した司法制度、複数政党に対する脅威であると幅広く見られている。ケイガン氏は、ハンガリーが代償を払うようプレッシャーをかけるべきであり、ハンガリーはNATOの加盟国であるため、ハンガリーでの反民主主義の動きに対してNATOの措置を報告書に中で求めている。

パディントン氏は、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相の政権下でイスラム民主主義のモデルへと変革を遂げたトルコを単独で取り上げ、過去2年にわたり、無罪のクルド族を「次から次へと」逮捕していったいきさつは、もはや「民主主義政権の統治者にそぐわない」ことを指摘している。

中国モデル

同報告書は、アジア太平洋圏において、国家主導の経済成長、レーニン主義の単独政権制度、メディアへの厳格な統制として定義付けられる「中国モデル」の存在にもかかわらず、選挙制度、複数政党、多元主義の面で、顕著な向上があったことに言及している。

フリーダム・ハウスは「政治の自由化に関心を示さない中国政権」に嘆いている。同機構は、ネット上の検閲に反対する活動を行い、不正な政治的検閲に目をつぶることはしない。2011年、中国政権は国内のソーシャル・ネットワーキングのオンライン検閲を通して、アラブの民主化の動きに関する討論を先取りし、ソーシャルメディアのコメンテーターと人権擁護派の弁護士を拘束または迫害している。

(翻訳・鶴田)
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