中国当局、12分野を外資に開放 外資撤退に危機感か

2017/09/02
更新: 2017/09/02

外国企業の撤退が加速化する中国では、政府がエコカー、銀行、証券、保険など12の分野で外資への規制緩和を検討している。外資を誘致するためとみられる。一方、中国経済の専門家らは、人件費増加などの問題で中国市場の魅力が薄れており、規制緩和策の効果は限定的だと指摘する。

中国国務院が8月中旬に発表した公告は、外国資本の参入ハードルを引き下げて、12の分野を新たに開放すると宣言した。対象は、エコカーおよび特殊車両の製造、船舶設計、航空旅客機整備、国際海運、旅客鉄道、ガソリンスタンド、インターネット有料接続施設(ネットカフェ)、コールセンター、芸能プロダクション、銀行、証券、保険。9月末までに具体案をまとめるという。

在米中国問題専門家の夏小強氏は大紀元の取材に応え、外国企業のみならず、中国の大手国営企業と民間企業も、海外投資などの形で国外に資本を持ち出そうとしていると指摘。中国の経済危機が一触即発にあり、今回の規制緩和の動きはこの状況を阻止するためだと述べた。

しかし、「効果はほとんど得られない」という夏氏はみている。

「中国政府は市場主導の経済と唱えながらも、経済を強くコントロールしているため、真の市場経済(自由主義経済)とは背反している。また、報道や言論の自由が制限されていることや、司法が独立しておらず、自由主義経済の基本的ルールと公平な競争を守るのは事実上不可能だ」。

米サウスカロライナ大学の教授で経済学者の謝田氏は「中国は人件費の増加、インフレ操作、環境汚染、知的財産権侵害、人権問題、法律の不健全など問題が山積みで、ぼう大な市場であっても、外国企業にとって魅力は次第に薄れていく」と外国資本離れの背景を分析した。

 

これまで中国から一部業務の撤退を発表した企業は、日本のパナソニックやダイキン、シャープ、ソニー、ユニクロ、シチズン、ドイツのオスラムやDHL、フィリップ(オランダ)、サムスン(韓国)、ノキア(フィンランド)、ナイキ(米国)など。広東省東莞市に集中していた台湾企業は、最盛期の5千社から2千社に激減した。

中国国家統計局の発表では、16年度で外資による固定資産投資は約1212億元(1元≒17円)にとどまり、11年の約3270億元から62.94%減少した。中国商務部によれば、今年1月の外国投資は前年同比14.73%減少した。

中国の有名な経済評論家の牛刀氏は「外資の撤退が進むにつれ、中国経済は壊滅的なダメージを受ける。人材・技術・資金は何も残らないからだ。次に起きるのは大規模な企業倒産と失業ラッシュだ」と予測した。

外資企業と中国資本の合弁合作会社について、現行では中国側投資者の出資比率の合計が51%以上という前提条件があり、事実上、中国側は外資の経営権を握っている。

 (翻訳編集・叶清)

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