〔アングル〕米中間選挙、民主党は下院を奪還できるか

2018/10/06
更新: 2018/10/06

[3日 ロイター] – 11月6日の米中間選挙が近づくにつれ、民主党が圧勝する「青の波」が起きる可能性について語る人が増えてきている。だがトランプ米大統領は、共和党の「赤の波」が起きると支持者に訴えている。

中間選挙の結果、野党が下院の支配権を取り戻すケースは珍しくないが、選挙で大波が起きることはめったにない。民主党は1974年(49議席)と2006年(31議席)に下院で大逆転劇を演じ、共和党は1994年(54議席)と2010年(63議席)に圧勝した。

どちらの色にせよ、「波」が起きるには以下の数字が鍵となる。

 

●最低限必要な新獲得議席数:23議席

下院435議席の過半数を獲得するには、民主党は現在の議席を維持しつつ、共和党から23議席を奪う必要がある。

 

●退任する議員数:共和党38人、民主党18人

通常、現職議員から議席を奪う方が、空いている議席を獲得するよりも難しい。トランプ政権1期目は、1992年以降で最大となる人数の現職下院議員が退任するため、民主党が議席を奪う可能性は確実に高まっている。

 

●「ひっくり返せそう」な選挙区数:55カ所

民主党よりも共和党の議席の方がリスクにさらされている。

どちらの候補が勝ってもおかしくない、激戦区とみられる下院選挙区55カ所のうち、現在50カ所を共和党議員が、残りわずか5カ所を民主党議員が占めている。政治アナリストが「五分五分」とみる選挙区数は、この選挙活動シーズン中で20から38カ所に増えている。

 

●民主党の支持率:3ポイントリード

ロイター/イプソスの世論調査によると、こうした激戦区では、今年の大半において、登録有権者は一貫して共和党より民主党を支持している。

両党の支持率の差は最近、縮小している。9月後半の調査では、有権者の42%が民主党下院候補に投票すると回答。一方、共和党候補を支持すると答えた人は39%だった。激戦区では、民主党が約3ポイントリードしている。

 

●予備選の投票率:民主党は85%に上昇

今年行われた予備選挙の投票率は、4年前と比べ、共和党も民主党も上昇した。だが多くの州で、上昇率は民主党が共和党を上回っており、11月の中間選挙に向けて民主党の方が盛り上がっていることを示唆している。

2018年と2014年の州知事予備選で両党が少なくとも2人の候補を出した15選挙区のうち12カ所で、民主党の投票率の伸びが共和党のそれを上回った。

5選挙区では、民主党の投票率は2倍以上に伸びた。

民主党と比べて、共和党の投票率の伸びは控えめだった。全体として、両党が予備選で競い合った選挙区では、共和党の投票率は平均34%上昇、民主党のそれは85%に急上昇した。

 

●小口献金:民主党は2倍

民主党支持者は政治献金にも積極的だ。

民主党の下院議員候補は、1人当たり約7万ドル(約800万円)を小口献金によって得ている。小口献金は有権者の熱狂度をはかる良い指標となっており、民主党候補が得る献金額は共和党候補の約2倍となっている。

米調査機関ピュー・リサーチ・センターによる2016年調査によると、選挙で毎回、あるいはほぼ毎回投票すると答えた人のうち、21%は献金も行っていると回答。一方、ほとんど投票に行かないと答えた人で、献金していると回答した人はわずか4%だった。

民主党が得た小口献金の総額も、2014年の同時期と比べ、70%近く増加している。

 

●まだ中間選挙まで1カ月以上

共和党は、9月時点での選挙予想をさほど心配しなくてよい理由を探すには、2016年の大統領選挙を振り返りさえすればよい。

同大統領選では、有権者の8人に1人が選挙が行われる週に決断しており、そうした人の大多数がトランプ氏を選んでいた。

多くの下院選挙区で、同じことが再び起きる可能性を示す証拠がいくつかある。ロイター/イプソスの9月調査によると、有権者の5人に1人程度が、選挙日にどう投票するか、それとも投票しないか、まだ分からないと答えた。

もし10月に彼らのうち十分な数が決断するか、あるいは心変わりして共和党候補を支持するのであれば、「青の波」が起きる可能性は完全に消滅するかもしれない。

 

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

Reuters
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