米超党派議員、伝染病対応の失策で中国に賠償求める議案を提出

2020/03/25
更新: 2020/03/25

米下院では3月24日、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の対応の誤りで世界に流行を拡大させたことを非難する決議案が提出された。同日、上院では、中国が発信する「ウイルス米起源説」の噂を非難し、中国に対して各国にもたらした損害を賠償するよう要求する法案が提出された。

ジム・バンクス下院議員が作成した決議案には、1.中国当局がウイルス流行で虚偽の情報を拡散し、実際の情報を意図的に隠したこと 2.国際的な保健専門家との協力を拒否し、医師やジャーナリストを検閲したこと 3.囚われの身にある少数民族の健康を悪意を持って無視したことなどを上げた。中国政府の責任を問うこの決議案に、超党派議員は署名した。

この決議案は、英サウサンプトン大学からの研究を引用して、もし中国が3週間前にウイルスの流行に対処していたら、世界的な流行は95%減少していた可能性があると指摘している。

バンクス議員は23日、大紀元のインタビュー番組で、「私たちの誰しもが、ウイルスは武漢から来たのであり、米国ではないと知っている」「中国共産党の指導者たちは体制維持に影響するとして、真実の話が広がるのを恐れている。だから、大規模なプロパガンダを展開し話を作り変えている」と述べている。

さらに24日、上院では、ジョシュ・ホーリー議員が、国際的な公共衛生機関が、中国の誤った対応が感染を悪化させたかについて調査するよう求める決議案を提出した。

米有力シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)の中国専門家ボニー・グレイザー(Bonnie Glaser)氏は、ラジオ・フリー・アジアの取材に対して、「中国は今、積極的な国際支援をアピールし、流行初期の事実を隠ぺいしようとしていることは明らかだ」と語った。 

ワシントンの人権団体・公民力量の創設者である楊建利氏は、中国外交部の趙立堅報道官による「米軍ウイルス散布説」が世論の強い反発を招いたとした。今回の決議は、法的効力はないものの、米国が国内外の支持を集めるための重要な手段であるとした。

「これまで、米政府は、トランプ大統領が習近平氏を『友人』と表現するなどして、中国側の様子をうかがっていた。しかし戦略が変わった今、世界的な災害に繋がった流行を隠蔽した中国の責任を問うことが、コンセンサスになっている。責任追及のみならず、疫病の蔓延を全国に広めた中国とは国際協力が困難であるとの動きに繋がるだろう」

ホリー議員の作成した決議案は、米国政府および国民に対する健康被害、経済的損失を数値化し、補償の仕組みを確立するなど、より具体的な要求となっている。

3月16日、バンクス議員は、FOXラジオの取材に、トランプ政権は中国に対して、米国の債務の大部分を免除するなど、米国に与えた損害を中国に支払わせたいと考えていると述べた。

中国に対して法的措置をとるには

米海軍兵学校の海法・政策教授ジェームズ・クラスカ(James Kraska)氏は23日、ソーシャルサイトで、「中国の怠慢が、中共肺炎(武漢肺炎)の流行の原因であることは間違いない」と主張した。

クラスカ氏によれば、義務怠慢の責任は武漢の現地役人から習近平主席にまで及ぶ。中国は、国連国際法委員会による「国際違法行為に対する国家の責任(RAWA)」に基づく法的義務を怠ったと指摘した。 また、同法第31条では、加盟国は、国際的に不当な行為によって生じた心身両面の損害を完全に賠償しなければならないと規定している。

楊建利氏は、米国が起訴すれば、中国政府は「主権免責法」によって保護され、米国に登録された中国政府の財産を特定して追跡することは困難であるという。

しかし、戦争賠償の方法ならば、各国は中国が国家安全保障上の脅威であるという観点から請求することや、国連安全保障理事会が、同憲章第七章に基づき「世界の平和と安全を回復」のために、中国に対して責任を追及できるかもしれないとした。

(翻訳編集・佐渡道世)

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