大紀元時報

自由で開かれたインド太平洋を推進 団結するフィリピンと米国

2021年5月8日 15時51分
2021年4月に実施されたバリカタン演習の一環として、フィリピンのタルラック市に所在するエルネスト・ラヴィナ大佐空軍基地で近接航空支援(CAS)の模擬演習の準備を整えるフィリピン軍と米軍の空軍兵等(ケイリア・ベリー(KAYLEA BERRY)上等空兵/米国空軍)
2021年4月に実施されたバリカタン演習の一環として、フィリピンのタルラック市に所在するエルネスト・ラヴィナ大佐空軍基地で近接航空支援(CAS)の模擬演習の準備を整えるフィリピン軍と米軍の空軍兵等(ケイリア・ベリー(KAYLEA BERRY)上等空兵/米国空軍)

フィリピン領海内に停泊を続ける数百隻の海上民兵船に対してフィリピンが「即時退去」を繰り返し要求する状況を受け、米国は長年にわたるこのインド太平洋同盟国と一致団結することを言葉だけでなく、その行動で示した。

フィリピン軍(AFP)と米軍の兵士数百人が、2週間をかけて一連の実弾訓練と模擬戦争訓練を行う「第36回バリカタン(Balikatan 36)」を実施した。フィリピン・ケソン市に所在するフィリピン軍アギナルド基地で2021年4月下旬に幕を閉じた年次恒例の同演習の名称は、タガログ語で「肩を並べる」を意味する「バリカタン」に由来する。

フィリピンのGMAニュース(GMA News)が報じたところでは、両国当局者が出席した閉幕式でデルフィン・ロレンザーナ(Delfin Lorenzana)比国防相は、「年次恒例の同演習に対する揺るぎない支援について米国政府に深く感謝の意を表したい」とし、「同様に、牢固たる献身力をもって絶え間なく継続的に米比相互防衛条約に準拠して行動してくれることについてもお礼を申し上げる」と述べている。

ジョン・ロー(John Law)駐フィリピン米国代理大使は、バリカタン演習は70年にわたる同盟国の「強さと決意」および「危機に共同で対応できる」両国の能力を実証するものであると話している。

米国大使館の報道発表によると、ロー代理大使はまた、「しかし、訓練に終わりというものはない」とし、「自由で開かれたインド太平洋の相互防衛に対する共同の取り組みを追求することを目的として、両国は今後も軍隊間の提携関係を推進していく」と表明している。

ロイター通信が伝えたところでは、演習が終了する数日前、フィリピン政府任務部隊は、比排他的経済水域(EEZ)の防衛を目的として、南シナ海(フィリピン名:西フィリピン海)で主権保護を目的とした哨戒活動を実施する船舶と航空機の数を増加すると発表した。2021年3月下旬に比政府は外交ルートを通じて中華人民共和国(中国)に抗議を申し立て、牛軛礁に結集した中国船団の即時撤退を要請している。以前、ハーグに所在する常設仲裁裁判所は広範にわたる南シナ海東部の水域の領有権を訴える中国の主張は無効との裁定を言い渡したが、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)比大統領も同判定を強調して駐フィリピン中国大使に問題を提起した。

悪天候の影響で退避しているのは中国漁船だが、船舶は中国側の海域に係留されているというのが中国政府側の主張である。アナリスト等の見解によると、中国は2016年に下された同裁判所の判定を無視しており海上民兵は漁船団になりすまして南シナ海における他国の排他的経済水域に侵入を繰り返している。マニラ・タイムズ(The Manila Times)紙が報じたところでは、4月中旬になっても一部の漁船団が牛軛礁に残っていたことから、フィリピン外務省は中国大使を召喚してこの事態について異議を表明した。

ロイター通信によると、同海域におけるIUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)の取り締まりも強化すると発表したフィリピン任務部隊は声明を通して、「当部隊はフィリピンの海域と排他的経済水域を守るために可能な限りの手段を尽くす」と述べている。

2021年4月上旬にテオドロ・ロクシン・ジュニア(Teodoro Locsin Jr.)比外相と会談したアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官は、重要な交易路である南シナ海の法治を米国が支持することを再確認している。

米国国務省のネッド・プライス(Ned Price)報道官は声明で、「ブリンケン国務長官は1951年に締結された米比相互防衛条約が南シナ海の事態にも適用されることを再確認した」とし、「ブリンケン国務長官とロクシン・ジュニア外相は南シナ海における二国間・多国間協力を強化することで合意した」と発表している。

米比相互防衛条約の他に両国が締結している「訪問米軍に関する地位協定(VFA)」により、フィリピンにおける米軍の法的地位が保証され、有事の際には迅速な援助を行うことができる。両国当局の発表によると、バリカタン演習に続き1998年に調印された同地位協定の継続可能性についても協議が行われている。

GMAニュースが伝えたところでは、ロー代理大使は「同地位協定の継続については良好な結果が得られると前向きに考えている」と述べている。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防対策として従来よりも規模を縮小して実施された今回のバリカタン演習では、相互運用性の強化を目的とした空軍と特殊作戦部隊の合同訓練の他、仮想訓練や内容領域専門家(SME)の意見交換などが行われた。また、人道支援・市民支援活動の一環としてフィリピン軍と米軍の兵士により、フィリピンのケソン州に教室、デイケアセンター、診療所が建設された。

フィリピンのニュースウェブサイト、Inquirer.netによると、ロレンザナ国防相は、「今回の米比合同演習が成功したことで世界諸国に向けて2つの重要な教訓が提示された。第一に他国と協力することで国家がより強力になるということが挙げられる。第二は負担を分担して背負うことができれば、乗り越えられない脅威などないということである」と話している。

(Indo-Pacific Defence Forum)

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