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【袁紅氷氏 独占取材】なぜ中国共産党は法輪功を恐れるのか 法輪功迫害が日本でほとんど報道されない理由

2025/07/22
更新: 2025/07/22

7月20日、中国共産党(中共)による法輪功への弾圧が始まってから26年を経過した。この節目に、著名な法学者であり思想家でもある袁紅氷(えんこうひょう)氏がインタビューに応じ、弾圧の根本的な原因、その手法の変遷、そして国際社会が直面する新たな脅威について語った。

中国内に独自の情報網を持ち、内部の事情にも詳しい袁紅氷氏は、法輪功を弾圧する中共の行動の根底には、その独裁体制を揺るがす存在への「根源的な恐怖」があると指摘する。
 

なぜ中共は法輪功を恐れるのか

袁紅氷氏は、中共が法輪功に対して「極めて残酷な大迫害」を開始した理由を、イデオロギー統制の観点から説明した。

「法輪功は、共産党の統治下で初めて現れた、広範な社会的評価と支持を得た巨大な民間信仰団体だった。思想と精神の自由を追求するその存在は、党文化による国民の洗脳を基盤とする共産党の統治にとって、巨大なエネルギーを持つ脅威と映った」

党文化というのは何だろうか。大紀元の社説「悪魔が世界を統治している:第14章 大衆文化―退廃と放縦」のように記されている。

「党文化」というのは、共産党の価値観に基づいた考え方、話し方、行動のことである。党文化を指導するイデオロギーは無神論と唯物主義であり、その中には党が注入した逸脱した文化や、古代の邪悪な部分を新たに作り直した要素も入っている。中共は権力を掌握すると、さまざまな手法で伝統文化を破壊し、党文化を強化した。

共産党の政治的基盤は、国民全体を党のイデオロギーで「飼いならす」ことによって成り立っている。そのため、法輪功のような自由な信仰に基づく新たな精神的共同体の台頭は、体制の根幹を揺るがす危機として認識された。これが、法輪功を徹底的に弾圧した最も根本的な政治的理由であるという。
 

過去の成功体験が生んだ過信と誤算

弾圧当初、江沢民政権は「3か月で法輪功を消滅させる」と豪語した。これは、チベット動乱や天安門事件など、過去にあらゆる抵抗運動を国家テロリズムの暴力で鎮圧してきた成功体験に基づいていた。しかし、この自信は大きな誤算であったと袁氏は指摘する。

「彼らは、法輪功が強固な信仰心を持つ精神的な団体であるという本質を見誤っていた。軍事力や司法による弾圧、精神的な迫害といったあらゆる手段を講じても、彼らを屈服させることはできなかった」

結果、法輪功への弾圧が始まってから26年を経過した今も法輪功の学習者はその信仰を放棄することは無く、また「法輪功はカルトである」といった中共の宣伝する法輪功への誤ったレッテルが欺瞞である事を法輪功学習者たちが伝えることにより、中共組織から脱退する人数は、現在4億人を突破するまでに至っている。
 

弾圧の失敗と新たな攻撃「世論戦」と「法律戦」

従来の弾圧手法が失敗に終わったことを受け、習近平政権はより陰湿で巧妙な戦略に移行したと袁氏は警告する。

袁氏によると、習近平は江沢民や胡錦濤政権の法輪功への弾圧手法は、全体としては成功しておらず、地域によっては完全な失敗だったと考えている。

特に海外の法輪功への弾圧に対しては、主に法輪功内部への浸透や分裂工作、内部情報の収集、離間策などの方策をとっていたが、結果として法輪功は瓦解するどころか、修煉団体としての信念や理性的な揺るぎない行動はかえって強化され、欧米諸国など自由民主国家での社会的な影響力も高まってしまったと厳しい見方をしているという。

習近平は新たに「世論戦」と「法律戦」を展開する方針を打ち出している。

世論戦

一つは自由民主国家の主流メディアを買収し、中共は利益や金銭、ハニートラップなどを使い、これらのメディアを「対外宣伝」部隊の一部に仕立て、法輪功は敵だと、自国の立場や政策、党が望むイメージを海外に、広報・宣伝させる

もう一つは、中共の人員を大紀元やエポックタイムズ、新唐人テレビなど法輪功学習者が運営するメディアへ潜入させ、虚偽情報を流布し、メディアや法輪功の信用を貶める。

法律戦 

嫌がらせ訴訟(濫訴)の乱発 買収した人物を使い、法輪功のメディア、創始者、文化団体(神韻芸術団など)に対して、根拠のない訴訟を乱発する。その目的は、訴訟を通じて相手を疲弊させ、社会的な評判を貶めることにある。

袁氏は、「この新たな攻撃は現在進行中であり、国家の経済力、外交力、諜報力を総動員したより深刻な挑戦だ」と警鐘を鳴らしている。
 

中共の日本への浸透

また袁紅氷氏は日本において、国際的にも問題視されている法輪功に対する残酷な弾圧や、新疆ウイグル人やチベット人に対する抑圧と迫害などは、ほとんど報道されていないと指摘した。

その理由について、「中共による日本社会への影響がある。とりわけ政治家、財界、そして財界が支配するメディアへの浸透はいかにも深刻なレベルに達していて影響が大きい」と分析している。

 

法輪功の平和的抵抗が持つ歴史的意義

26年間にわたる法輪功の平和的な抵抗は、単なる一団体の存続をかけた戦いにとどまらないと袁紅氷氏は強調した。

「法輪功の粘り強い抵抗は、共産党の独裁という鉄のカーテンに亀裂を入れた。その抵抗があったからこそ、中共の邪悪な本質が世界に暴露され、多くの人々が精神的な奴隷状態から目覚めるきっかけとなった」

特に、法輪功系のメディアが発表した『共産党についての九つの論評』や、それが引き金となった「三退」(共産党組織からの脱退)運動は、共産党のイデオロギー支配に大きな打撃を与えた。

『共産党についての九つの論評』を読んだ中国人は中共のプロパガンダから覚醒し、「三退」する。「三退」とは中共やその関連組織である共青団(中国共産主義青年団)や少先隊(中国少年先鋒隊)などの共産党組織から脱退することだ。「三退」を宣言した中国人の数は約4億4949万人(2025年7月21日現在)に及ぶ。

最後に袁紅氷氏は、法輪功と中共の対立を次のように総括した。

「これは、信仰の自由と独裁統治のイデオロギーがぶつかり合う、歴史的な闘争である。現在、共産党は『世論戦』と『法律戦』という新たな手段で攻撃を仕掛けているが、歴史の天秤はすでに動き始めている。法輪功学習者が持つ揺るぎない信仰と正義の力により、最終的な勝利は必ず彼らにもたらされ、共産党の暴政は歴史の灰と帰すだろう」

世界が新たな脅威に直面する中、この見えない戦いの行方は、国際社会の未来を占う上で極めて重要な意味を持つ。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。