1999年、米連邦議会は国防総省に対し、中国共産党(中共)軍関連企業の年次リストを公表する任務を課した。これは、中国に恒久的な通常貿易関係(PNTR)を付与しようとしたクリントン政権下の拙速かつ近視眼的な政策に反対する議員らへの譲歩であった。
しかし1999年のこの任務は形骸化し、国防総省はその後20年間、この要件を事実上放置した。国防権限法第1260H条で同様の義務が再確認されて初めて、国防長官は中共軍関連企業の初期リストを公表した。
その後、同リストは定期的に更新されてきたが、さらに拡充し、継続的に、かつ明確な目的を持って運用する必要がある。
国防総省は第1260H条の指定手続きを活用し、自動運転のためのレーザーセンサー技術「LiDAR」や光トランシーバーのように、米国の重要なサプライチェーンやインフラに組み込まれた「隠れファーウェイ」を標的とすべきだ。また、米政府が中国の影響力の拠点に対抗し、信頼できる代替手段の市場機会を創出できるよう、指定手続きに実効性を持たせるべきだろう。
これまで第1260H条の手続きは、中共の脅威主体に対する必要な認識を高めると同時に、米財務省が別途作成する非SDN中国軍産複合体企業(NS-CMIC)リストを通じた追加的な監視強化を促してきた。しかし、認識向上は必要条件であっても、中共の軍民融合戦略に対抗するには不十分である。
中共の「隠れファーウェイ」は米国の重要システム全体で存在感を拡大し続けている。国防総省のリストを継続的に拡充し、第1260H条の権限を強化・発動しなければ、中国企業はその動きを続けるだろう。
国防総省は新たな中共軍関連企業の指定を準備していると報じられている。追加対象には、アリババなど中国の「ビッグテック」企業の関係者が含まれるとされる。
中国の軍民融合戦略の広がりを踏まえると、今回の指定対象には、中国の専業LiDARメーカーや光トランシーバー製造企業など、知名度の低い企業も含まれる見通しである。これらの企業は中共の「中国製造2025」戦略の先兵である。
中共政府の巨額補助金を背景に、大量かつ低価格での生産を実現し、世界市場でのシェアを獲得し、重要かつ拡大するサプライチェーンやインフラ、システム全体に中共の影響力とアクセスを浸透させてきた。
例えばLiDARは、民生・軍事双方に応用される重要な基幹技術であり、中共は市場の約90%を掌握している。中国のLiDAR企業ロボセンスは、新たな中国軍関連企業指定に含まれる可能性が高いと報じられている。
また、新たな第1260H条指定企業には、世界市場の60%超を支配すると推計される中国の光トランシーバー大手、InnolightおよびEptolinkも含まれる見通しである。光トランシーバーはデータセンターにおける光ファイバー通信の中核であり、すべてのデジタル信号を光に変換し高速伝送を可能にする。中国製トランシーバーはデータセンター全体において重大な国家安全保障上のリスクをもたらす。
製造業者は各装置のファームウェアに悪意あるプログラムを仕込むことが可能であり、例えばデータセンターを停止させるキルスイッチや、AI訓練システムに悪意あるコードを挿入する仕組みを組み込むことができる。
これらの企業を中国の軍民融合への寄与企業として特定することは、中国が支配する部品レベルの脅威や、十分に認識されていない価値連鎖の部分に対する注意を喚起する上で大きな一歩となる。第1260H条指定は、米政府が新たな防御措置を講じる根拠ともなり得る。また、米民間部門に対し明確なメッセージを送り、信頼できる代替手段への投資を促す効果も持つ。
例えばInnolightは現在、グーグルやエヌビディアなど米国テック業界の中核企業への主要供給業者である。国防総省による監視は、これらの米企業が結果的に敵対勢力を利するおそれや、米国の規制に抵触する可能性があることを示し、より信頼できる代替製品への切り替えや新たな市場づくりを促すことになる。
このような誘導は、光トランシーバーのように重要でありながら比較的認知度が低く、代替品拡大のために新規投資が必要な製品分野において特に重要である。
これこそが第1260H条手続きの戦略的意義である。同手続きは、国防総省が政府および民間部門のサプライチェーン監視を、戦略的影響を持つニッチで見過ごされがちな脆弱性に向けさせる独自の仕組みである。
しかし、この指定は報道にとどまらず、実際に実行されなければならない。中国のLiDARおよび光トランシーバー企業の指定は始まりに過ぎない。中国には、既知の問題企業と同様の補助金支援を受け、同じ軍民融合戦略を支える多数の「隠れファーウェイ」が控えている。これはLiDARや光トランシーバーに限らず、中国が米国の安全保障、独立性、産業基盤を犠牲にしつつ組み込みを進めている他の重要サプライチェーン全体にも当てはまる。
国防総省の指定手続きは継続的でなければならない。中共の軍民融合戦略、その野心、関与主体は常に進化している。第1260H条リストも同様に進化すべきである。
さらに、国防総省は認識向上にとどまらず、指定製品の調達を直ちに制限し、中共の軍事近代化を支える主体への米国資本の流入を制限するなど、関連権限を行使できるようにすべきである。
中共軍および軍民融合戦略を支援する主体は、国防総省のサプライチェーン、米国の重要インフラ、米国資本市場に組み込まれるべきではない。
この認識は1999年当時の議会有力者や政治戦略家がすでに共有していた。現在、そのリスクは一層高まっている。国防総省主導の継続的かつ強力な指定手続きが求められる。少なくとも最新の第1260H条追加指定を確定し公表することは、正しい方向への一歩となる。
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