恒星間天体3I/ATLASに核融合燃料大量=新研究

2026/04/01
更新: 2026/04/01

科学者らは、謎の恒星間天体3I/ATLASに含まれる重水素の割合が、一般的な彗星より大幅に高いことを明らかにした。この特徴は、極低温で宇宙初期に近い環境の中で自然に形成した結果の可能性がある。一方、ハーバード大学の天文学者アビ・ローブ氏は、これほど高濃度の重水素は核融合技術と関係していることがあり、地球外文明の技術による産物であることも排除できないとの見方を示している。

この天体3I/ATLASは、昨年7月初め、チリに設置された小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)の望遠鏡によって初めて観測された。NASAによると、恒星間天体が太陽系に入る様子を確認したのは今回が3例目となる。NASAはこの天体を彗星に分類しているが、ローブ氏は通常の彗星とは異なる点が多いと指摘する。

重水素は、水素の安定した非放射性同位体の一つで、原子核には陽子1個に加えて中性子1個を持ち、宇宙に広く存在している。

重水素が、同じく水素の同位体である三重水素と結びつくと、強力な核融合反応が起きる。科学者たちは、将来的にこれらの同位体を先進的な核融合炉で利用し、持続的なクリーンエネルギーを生み出すことを期待している。

こうした背景から、ローブ氏がこの恒星間天体に水素の同位体が多く含まれているとの報告に強い関心を示したのは不思議ではない。ローブ氏は以前から、内太陽系を通過した3I/ATLASは、地球外文明の産物であるとの仮説を立ててきた。

ローブ氏は3月24日に公表したブログの中で、査読なしの2本の論文に言及し、3I/ATLASに重水素が異常に高濃度で含まれていると指摘した。

もっとも、論文の著者ら自身も認めているように、重水素が大量に存在していることは、数十億年にわたる自然な過程によって形成したとみている。このため、「3I/ATLASは核融合炉を動力とする地球外文明の宇宙船である」とする大胆な仮説には疑問も投げかけられている。

1本目の論文は3月20日、「ネイチャー・アストロノミー」誌に投稿された。NASAのゴダード宇宙飛行センターとジェット推進研究所の研究者らを含む国際チームは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が昨年取得したこの天体の近赤外スペクトルを分析した。

研究チームは、この天体から放出されたメタン分子の中に、重水素と水素の比率が予想を大きく上回ることを確認した。恒星間天体で重水素を含む有機分子が検出されるのは極めてまれだとしている。また、この異常に豊富な重水素について、別の恒星系の原始惑星系円盤のような極寒環境で自然に形成された結果である可能性が高いとみている。

もう1本の独立した論文は3月6日、「ネイチャー」誌に投稿された。著者らはスペクトル測定結果をさらに詳しく検証し、3I/ATLASに含まれる水の重水素濃度が、既知の彗星より「1桁高い」ことを示していた。

この発見により、「地球外文明の宇宙船」とする説の可能性は低下したものの、3I/ATLASが極めて特殊な恒星系の環境に由来することが明らかになった。

論文では、「このような極端な同位体の特徴は、温度が30ケルビン未満で、金属元素が比較的少ない環境で形成したことを示しており、銀河系の初期段階にまでさかのぼる」としている。

さらに、銀河系の化学進化モデルと照らし合わせると、その炭素同位体の構成は、3I/ATLASがおよそ100億年から120億年前に形成した可能性を示唆しているという。

研究チームは、3I/ATLASを「古代の惑星系に由来する残骸の破片」と位置づけ、銀河系初期に活発だった氷の化学反応や、揮発性成分に富む微惑星の形成過程を示す直接的な証拠になるとしている。

一方、ローブ氏はこの結論を全面的には受け入れていない。最新のブログでは、「原始惑星系円盤の温度が、当時の宇宙マイクロ波背景放射の温度を下回ることはあり得ない。赤方偏移が約10の時期には、その温度はちょうど30ケルビンだった」と指摘した。

そのうえでローブ氏は、「重水素が核融合燃料である以上、3I/ATLASに過剰な重水素が存在することは、何らかの技術文明の特徴を示しているのではないか」と問いかけ、地球外文明の技術による可能性をなお残している。

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