フランス各地で10月17日、生活費の上昇や学校環境の悪化に抗議する反政府デモが起きた。しかし、多くの平和的なデモが暴力、放火、略奪へと発展し、全国に広がった。その規模は、フランスで過去数十年間に起きた最も深刻な事態の1つと形容されている。
放火と略奪が全国に拡大
CNNの10月17日の報道によると、ローラン・ニュネズ仏内相は同日、全国で約55万人が街頭デモに参加し、このうちパリでは約11万人が参加したと述べた。一方、主催者側は全国の参加者を約80万人と推計している。
多くの人々は当初、平和的にデモ行進を行っていた。しかし、多くの都市でその後、暴力的な破壊行為、公共機関や建物への放火、高級ブランド店やスーパーでの略奪、警察車両や警察官への襲撃に発展した。
ニュネズ氏は、パリ、ルーアン、ナント、トゥールーズ、マルセイユなどで、略奪や略奪未遂を伴う暴力事件が起きたと確認した。
フランス中部リモージュの市庁舎は、10月17日深夜、覆面姿の抗議者らに放火された。目撃者によると、抗議者らはまず庁舎の外にあった警察車両に火を付け、その後、窓を割って侵入し、放火した。
現地のモーリス・バラット地方長官は、築143年の建物の大部分が炎に包まれ、西棟を除いて屋根が崩落し、外壁の3分の2が失われたと述べた。「文化遺産にとっての惨事」と表現した。
リールとマルセイユでは、日没後に抗議者らが政府庁舎に侵入した。マルセイユでは数十軒の店舗も略奪された。
パリの街頭には10月17日、一日中、警察が発射した催涙ガスの臭いが漂っていた。夜になっても若者らが店舗の略奪や放火を続け、警察は騒乱を起こす人々を解散させようと、催涙ガスを繰り返し発射した。
パリでは抗議者らが第10区の区役所にも侵入し、乳がんの予防・治療に関する啓発活動の参加者約100人が、一時閉じ込められた。
ボルドーにあるジロンド県地方長官の公邸も略奪された。リヨンでは、ヒューゴ・ボスの店舗が略奪され、放火された。
数百人を逮捕
ニュネズ氏によると、10月17日に約400人が逮捕された。その大半は学生運動と関係のない成人だった。また、法執行機関の職員約60人が負傷した。
ニュネズ氏は、一部の極左団体がデモの周辺で騒ぎを起こしており、公共機関や建物を意図的に攻撃・破壊していることは明らかだと指摘した。
警察の対応にも批判
警察の対応方法も批判を受けている。サンテティエンヌのレジス・ジュアニコ市長によると、デモに参加していた若い男性が、警察の投げた閃光弾を拾おうとして爆発に巻き込まれ、片手を失った。
10月上旬には、ランスでも学生1人が閃光弾を拾おうとして片手を失った。ニュネズ氏は当時、デモでの閃光弾の使用を停止するよう警察に命じた。
しかしその後、10月16日には、都市で広がる暴力に対処する際、警察は中程度の実力行使に用いるあらゆる装備を使用できなければならないと述べた。
左派政党「不服従のフランス」に所属するクレマンス・ゲテ国民議会副議長も、警察が数千人のデモ参加者による合法的な抗議活動を妨げたと批判した。
抗議デモの発端
数週間にわたって続く今回の抗議は、9月、パリ郊外の貧困地域の高校生らが始めた。当初は教員不足や校舎の老朽化への不満がきっかけだったが、その後、社会的不平等、公共支出の不足、生活水準の低下に反対する全国的な運動へと拡大した。
10月17日、パリでローラと名乗る19歳の参加者はロイター通信に対し、生活費と燃料価格が高過ぎる上、教員の増員を求める高校生らが暴力的な扱いを受けていると語った。
パリの別の抗議者はCNNに、「富と権力が集中し続け、もはや完全に歯止めが利かなくなっている」と述べた。
ポリーヌと名乗るこの36歳の女性は、「若者を支援するためにもここに来た。いくつかの成果は得られたが、より大きな視点で見れば、物事は正しい方向に進んでいない」と付け加えた。
別の参加者は、エマニュエル・マクロン大統領の下で、フランスの民主主義が後退し、権力がますます集中していると不満を述べた。
ルイーズさん(38)は「億万長者たちがメディアを支配している。私たちは現状を変えようと努力している」と語った。
マクロン氏、暴力を容認しないと表明
マクロン大統領は10月17日深夜、フランスでは「暴力は容認されない」と述べ、破壊や襲撃を行った者は訴追され、処罰されると表明した。
セバスチャン・ルコルニュ首相は、極左団体が暴力事件をあおったと非難した。
これに対し、「不服従のフランス」のジャンリュック・メランション党首は、デモ参加者の大半は平和的に参加していたと反論し、現在の混乱を招いたのは政府の決定だと批判した。
責任編集:孫芸
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