2026年3月19日、米国ワシントンD.C.において、高市早苗内閣総理大臣とドナルド・J・トランプ米国大統領による日米首脳会談が開催された。本会談では、国際情勢から二国間の安全保障、さらには重要鉱物やエネルギーを軸とする経済安全保障に至るまで、多岐にわたる分野での連携強化が確認された。以下に、首脳会談の概要および、この間に交わされた主要な文書の内容についてまとめた。
1. 日米首脳会談の概要
国際情勢と安全保障分野における連携
会談において高市総理は、イランによる核兵器開発を容認しない我が国の一貫した立場を明言し、ホルムズ海峡の閉鎖や航行の安全を脅かすイランの行動を強く非難した。事態の早期沈静化と中東地域の平和実現に向けた取り組みの重要性を確認した上で、日本の原油調達を念頭に、米国産エネルギーの生産拡大や、日本国内での米国産原油の共同備蓄事業の実現に向けて日米で取り組む方針を示した。 さらに、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の推進や、日米韓、日米比、日米豪印(クアッド)といった地域の同志国ネットワークを強化していく重要性を再確認した。また、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化するため、ミサイルの共同開発・共同生産を含む幅広い安全保障協力を進めることでも一致している。
経済・経済安全保障の強化
エネルギーの安定供給、重要鉱物、AIを含む先端技術分野など、経済安全保障分野での協力を一層強化することが確認された。両首脳は、輸出規制をはじめとする重要物資の安定供給を脅かすあらゆる措置への反対を表明し、サプライチェーンの強靱化に共に取り組むことで合意した。

2. 会談の間に交わされた主な文書・発表
首脳会談の機会に合わせ、経済安全保障分野での具体的な協力を推進するため、以下の重要な文書や発表が取りまとめられた。
① 日米間の戦略的投資に関する共同発表
両政府は、2026年2月に発表済みの第一陣プロジェクト(工業用人工ダイヤ製造、米国産原油輸出インフラ、天然ガス発電など)の着実な進捗を歓迎するとともに、新たな第二陣プロジェクトを発表した。第二陣には、GEベルノバ日立によるテネシー州およびアラバマ州での小型モジュール炉(SMR)建設(最大400億ドル規模)や、ペンシルベニア州およびテキサス州における大規模な天然ガス発電施設の建設が含まれる。これらの戦略的投資は、次世代の大規模な安定電源をもたらし、日米同盟の「新たな黄金時代」への道を切り開くものと位置づけられている。
② 重要鉱物サプライチェーン強靱性のための日米アクションプラン
非市場的政策や経済的威圧に対する脆弱性を克服し、市場志向型経済における重要鉱物のサプライチェーンを強靱化するためのアクションプランが策定された。本プランは米国通商代表部(USTR)や日本の外務省・経済産業省・財務省によって策定され、特定の国からの安価な重要鉱物の流入によって市場やサプライチェーンが脅かされるのを防ぐため、輸入時に価格を調整して「最低価格(プライス・フロア)」を設けるといった、新たな貿易ルールの導入に向けた議論を進めることとなった。また、環境や労働条件などに関する国際的なビジネス基準をしっかりと守って採掘や加工を行う事業に対しては、優先的に資金援助などのサポートを行う方針も示されている。
③ 深海鉱物資源開発に関する協力覚書
日本の経済産業省と米国の商務省との間で署名された本覚書により、将来の重要鉱物の安定供給確保を目的とした「深海鉱物資源開発に関する日米作業部会」の設置が決定した。日本が世界初のシステム統合試験を成功させた南鳥島周辺海域のレアアース泥プロジェクトや、マンガン団塊プロジェクト等に関する情報共有・技術交流を通じ、二国間協力を前進させる内容となっている。
④ 日米重要鉱物プロジェクト協力に関する共同ファクトシート
首脳会談に先立つ3月14日の日米鉱業鉱物金属投資大臣会合(東京)に基づき、米国、日本、および世界全体のサプライチェーン強化に資する具体的なプロジェクトが明記された。ここには、三菱マテリアルが関与する米国でのレアアースリサイクルや二次製錬、住友金属鉱山の日向製錬所におけるニッケルマット生産に向けた設備投資など、日本企業が参画・貢献する多数の世界的プロジェクトが列挙されている。
まとめ
今回の首脳会談と一連の文書の交わしは、日米同盟が従来の防衛面だけでなく、エネルギーや重要鉱物の確保という経済安全保障の面においても極めて強固な枠組みを構築しつつあることを示している。夕食会において、トランプ大統領は日本からの250本の桜の寄贈に深い謝意を示し、高市総理は米国建国250周年への祝意を述べた。日米両国は、歴史的な節目を背景に、強い信頼関係の下で「かつてないほど強固で素晴らしいパートナーシップ」を構築していく決意を新たにしている。
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