2026年5月11日から12日にかけて、アメリカのスコット・ベッセント財務長官が訪日し、高市早苗首相への表敬訪問のほか、茂木敏充外務大臣、片山財務大臣と相次いで会談を行った。今回の訪日でベッセント長官は56回目の来日となる。各会談では、重要鉱物のサプライチェーン強靱化やAIがもたらすリスクへの対応、中東情勢、そして米中関係を含むインド太平洋地域の情勢など、経済・安全保障の両面に関する幅広い協議が行われた。

高市首相との会談
12日、高市首相は総理大臣官邸でベッセント長官による表敬を受けた。ベッセント長官は、米国のトランプ大統領と高市首相の強力な絆によって日米関係がかつてなく強固になっていると言及し、日本経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)の強さと回復力に対する確信を伝えた。
会談において高市首相からは、日米のサプライチェーンの強靭化に向けた取り組みや、最先端AIモデルによるリスクの最小化について提起された。また、日米投資プログラムや重要鉱物の確保に関する議論のほか、インド太平洋地域が直面する諸課題についても意見が交わされた。その中で、ベッセント長官からは最近の米中関係の状況や、予定されているトランプ大統領の北京訪問についても説明がなされた。
茂木外相・片山財務相との会談
ベッセント長官は日本の経済・外交を担う閣僚とも精力的に協議を重ねた。

片山財務相とは5月11日に夕食会、翌12日に会談を実施した。両者は中東情勢の動向とそれを受けた為替などの金融市場への影響をはじめ、AIの進展に伴うサイバー脅威への対応、重要鉱物のサプライチェーン強靱化について意見交換を行った。

また、茂木外相とは12日午後に約20分間の会談を行った。この会談では、同年3月に実施された日米首脳会談のフォローアップとして、経済面での協力推進や、関税に関する日米間合意の着実な実施が確認された。さらに、中国をめぐる諸課題や輸出規制など、日米双方に影響を与える問題についても協議され、経済安全保障分野での日米協力の強化で一致した。
背景と今後の予測
今回のベッセント長官の訪日と一連の会談の背景には、緊迫化する中東情勢に伴う金融・為替市場への影響や、急速に発展するAI技術によるサイバー脅威といった、世界経済を揺るがす新たなリスクの台頭がある。また、重要鉱物の確保や輸出規制など、中国を念頭に置いた経済安全保障上の課題に対処するため、日米が強固なサプライチェーンを構築し、共同で歩調を合わせる必要性が高まっていることが挙げられる。
直近に控えるG7財務大臣・中央銀行総裁会合や、本年米国が議長国を務めるG20に向けて、日米両国が二国間および多数国間の枠組みを主導し、一層連携を強化していくことが見込まれる。さらに、ベッセント長官から事前説明があったトランプ大統領の北京訪問を控え、日米間で対中政策や経済安全保障のすり合わせが行われたことは、今後のインド太平洋地域における外交・経済戦略の展開に大きな影響を与えるだろう。日米両国はこれらの緊密な連携を通じて、経済と安全保障の統合を深め、同盟関係を更なる高みへと引き上げていくと予測される。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。