保守派イメージ払拭 江派の罠を警戒する習近平氏

2015/11/26 17:53

 中国の習近平・国家主席が最近、「保守派である毛沢東を支持しない」と強調する動きに出ている。9月の訪米時、訪問先の高校に毛沢東反対で一躍有名人になった中国人作家の歴史本をプレゼントした。また、失脚した改革派である故・胡耀邦元総書記を盛大に追悼し、毛沢東時代に「反党グループのリーダー」と粛清され自殺した元指導部メンバーの名誉回復を検討するなど、これらの動きが国内外の関心を集めている。大紀元本部のコラムニストは、江沢民派によって作り上げられた「毛左派(毛沢東左派)」という保守派イメージを払拭する狙いだと見ている。

 最高指導者だった毛沢東への国民の支持は極めて低いとみられる。大手ポータルサイト「謄訊網」はかつてサイト内で行った投票で、「毛沢東の手は人民の血で真っ赤に染められたヒトラーやスターリンと肩を並べる独裁者だ」と批判の論調を発した、作家で高校の歴史教師である袁謄飛氏(43)への支持票が反対票を大幅に超えたと米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が伝えた。

 習氏が袁氏の歴史本を米国の高校に進呈したことについて、「熟慮した末の対応で、重要なメッセージ性がある」「自分は毛沢東の支持者ではなく、その政治路線を継承しない」とアピールするためだという見方が大勢だ。

 一方、共産党政権初期の指導部主要メンバーで「反党グループのリーダー」高崗氏(享年48歳)への対応も話題になっている。毛沢東らとの権力闘争に敗れて解任され1954年に自殺した同氏について、政府系メディアの最近の報道によると、習近平指導部は案件の再審査を行い、名誉回復を検討しているという。

 もう一つの注目点は、「政治的敏感人物」である胡耀邦・元総書記への扱いが大きく変わったことだ。党内きっての改革派で87年に総書記を解任され89年4月に死去した(享年73歳)。胡氏の死は、この年の大規模な学生民主化運動の「六四天安門事件」の引き金となり、江沢民が実権を握った16年間、一度も追悼行事が行われなかった。しかし、今年の生誕100周年の記念行事は盛大だった。11月20日に人民大会堂(国会議事堂にあたる)で開かれた記念座談会には党最高指導部の政治局常務委員が全員出席、習氏は演説で胡氏を「偉大な革命家で政治家」と讃えた。国営出版社が近く胡氏の著述をまとめた「胡耀邦文選」を出版する。胡氏の長男・胡徳平氏は「すべては習近平・国家主席が推し進めたこと」と明らかにした。

 これらの動きには重要な政治的意図があるとみられる。

 党最高指導部・中央政治局常務委員会の委員、宣伝工作を主管する「中央精神文明建設指導委員会」のトップで、江派の主要メンバーである劉雲山氏は習氏のトップ就任後、メディアを使って習氏に「毛左派」という保守派イメージを徐々に着せようとしてきた。

 大紀元本部の専属コラムニスト・周暁輝氏は「江派の目的は、習氏に国内外の支持が低い毛左派というレッテルをはり、最終的にはこれを理由に習氏をトップの座から引きずり降ろす」ものとみており、習氏の一連の対応は江派のこうした布陣を破るためでもあると指摘した。

 香港メディアは最近、指導部に近い関係筋の話として、「習近平陣営は江派の罠に気づき、警戒を強めている」と報じた。

(翻訳編集・叶子)

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