臧山コラム

北朝鮮の核ゲーム、中国の戦略的損失 米国が得たチャンス

2017年04月17日 17時32分

 朝鮮半島にきな臭さが立ち込めている。初の首脳会談を果たしたばかりの習近平・中国国家主席とトランプ米大統領。会談の主要テーマは、米中間の貿易不平等問題と北朝鮮の核問題に絞られていた。核実験と大陸間弾道ミサイルの発射実験をやめようとしない北朝鮮に対し、習主席が帰国した後、トランプ大統領は米原子力空母・カール・ヴィンソンを日本海に向けて出発させ、中国側も数万の軍隊を北朝鮮国境に発遣する準備した。

 だが実のところ、今回の「北朝鮮危機」は2011年の時の深刻さには及ばない。当時は米空母3隻が朝鮮半島に向かい、情勢はさらに緊迫していた。それ以降、北朝鮮は十数回にわたり「全面攻撃」「徹底的に消滅させる」などと声高に叫んできており、今年の威嚇が最も激しいというわけでもない。米中首脳会談で「大きな成果」が得られたことから考えると、今回の北朝鮮危機は、実際には「危険性のない危機」のはずだ。

在米専門家に聞く北朝鮮問題をめぐる米中首脳会談(1)(2)

中国の北東アジア戦略 4つの重要課題

 中国の北東アジア戦略において最重要課題には、次のような優先順位がある。

1.朝鮮半島の非核化。仮にも韓国や日本までもが核武装するならば、中国に脅威となるのは間違いない。

2.朝鮮半島の南北分断を継続させること。中国と米国の間における干渉地域としての役割を担わせるため。

3.日韓関係に距離を置かせること。日・米・韓の関係を、米韓又は日米といった風に、二国間の関係にとどめさせ、日韓を接近させない。

4.北東アジア地域において、ロシアとの関係性を強化し、勢力構造を連動させる。

中国の戦略的損失 米国へ与えた東アジア進出チャンス

 過去、数年間にわたる北朝鮮の核開発で中国側が受けてきた戦略的な損失は、韓国に米軍の高高度ミサイル防衛システム(THAAD、サード)を配備されるより、ずっと大きい。なぜなら米国へ、北東アジア地域進出のチャンスを与え、巨大な政治的利益を生み出したことになるからだ。

朝鮮中央テレビは、15日の軍事パレードに姿を見せた朝鮮労働党委員長・金正恩氏の様子を放送(STR/AFP/Getty Images)
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