中国共産党(中共)の国防部がX(旧Twitter)に公式アカウントを開設し、英語で「歴史を目撃せよ」と投稿。しかしコメント欄は「微博に帰れ」「ファイアウォール越えか」と大炎上。抖音でも「Xって何?」の声が殺到し、中共の対外宣伝戦略に注目が集まる。
中共国防部は12月8日、海外向けSNS「X」の公式アカウントを開設し、「歴史を目撃せよ、我々が来た」と英語で投稿した。この投稿には中共軍関連の動画も添付されている。
投稿のコメント欄では、10日まで、1600件以上の「いいね」を集めた投稿があり、一部の内容は次の通りである。
「俺たちのXから出ていけ。自分たちの微博に帰れ。中国ではこのプラットフォームを使わせないくせに、そんなプロパガンダなんかくそくらえだ」
その他にも、多くの簡体字によるコメントが寄せられた。
「公式アカウントは『壁の内側』に帰ってくれない? ここにはコメント削除ボタンはないよ。台湾独立、日本がんばれ」、
「共産党は退陣しろ」といった意見のほか、
「なぜお前らはファイアウォールを越えられるんだ?」、
「いつになったら中国の一般市民もお前らの投稿を見られるようになるのか?」、
「中国軍もファイアウォール越えか。ロケット軍は粛清で忙しそうだな」
など、皮肉を込めた書き込みも見られた。
あるネットユーザーは「于朦朧事件」について質問し、
「于朦朧事件はいつ立件されるのか。なぜ国内ではいつも自分が発言禁止にされるのか」と書き込んだ。また別のコメントでは、「1989年6月4日に共産軍が市民や学生を何人殺害したのか」と問いかけている。
さらに、
「失望しただろう? なぜここではコメントを削除できないし、誰がどこの人かも調べられないんだ?」、
「コメント欄が荒れるとは思っていたが、ここまで政府批判的な書き込みが多いとは」
といった投稿も見られた。
抖音で拡散「Xって何?」中国ネット民の戸惑いと皮肉
中共国防部のXアカウント開設のニュースが中国のSNS抖音上に伝わると、コメント欄は大きな反響を呼んだ。多くのユーザーが次々とコメントを投稿している。
「Xって何? 私も公式を応援したいんだけど、どうやってダウンロードすればいい?」、
「政府はどうやってファイアウォールを越えているの? 安定して使えるの? やり方を教えて」、
「Xってどんなアプリ? なんで国内のアプリストアでも百度でも検索しても出てこないの? どこに投稿したの? 私も行って応援したい」
など、戸惑いや皮肉を交えた声が相次いだ。
中国共産党系メディアの「北京日報」や「環球時報」なども、自身のX公式アカウントで英語による報道を行い、国防部がXアカウントを開設したことを伝えている。
国防部に先立ち、中国共産党の台湾事務弁公室(国台弁)は10月21日、Facebook上で「国務院台湾事務弁公室報道官」としてアカウントを開設している。当時、台湾のネットユーザーがコメント欄に殺到し、「于朦朧はどうやって死んだ?」「事件は立件されたのか」などの質問を次々と投稿したほか、「共産党は自分たちがファイアウォールを越えておきながら、なぜ国民にはそれを許さないのか」と批判する声も上がった。
このほか、中共海軍は今年4月に「X」と「YouTube」上で@China_Navyという公式アカウントを開設済みである。中共軍の公式アカウントもすでに昨年9月に「X」で@ChinaMilBugleとして開設され、その後Facebook、Instagram、YouTubeなどでも次々と公式アカウントを立ち上げている。
実際のところ、中国国内の一般市民には海外サイトの閲覧を禁じている一方で、中国共産党の外交官や宣伝担当者は日常的にファイアウォールを越えて海外のSNSを利用している。近年では中国政府の公式機関が次々と海外SNSに直接アカウントを開設しており、これは中国が国境を越えた影響力拡大と「対外宣伝(大外宣)」を強化する一環とみられている。国際社会でもこの動きに注目が集まっている。

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