THE EPOCH TIMES

中国の覇権戦略、欧州まで影響力拡大「ロシアより一枚上」=報告書

2018年02月14日 11時46分

 欧州の主要シンクタンク、ベルリンに本拠を置くメルカトル中国問題研究所(MERICS)とグローバル公共政策研究所(GPPi)は5日共同で発表した調査報告で、覇権主義を強める中国共産党がここ数年、欧州で影響力を拡大していると分析した。独週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel))などが報じた。

 報告書によると、フェイク(偽)ニュースを通じて世論操作を狙ったロシアと違って、中国のやり方は静かで控えめなようたが、より巧みで速く、より効果的に欧州連合(EU)に浸透している。また、経済援助で丸め込まれたいくつかのEU加盟国の助けによって、中国は欧州の政策決定に影響力を増しているという。

 中国共産党は欧州の市場開放を一方的に利用しているが、自国では外国の思想や資本などの流入に厳格な規制を敷いている。今は、こうした不均衡な政治的関係による影響が浮き彫りになった。

 報告書の作者の一人、クリスティン・シクプファー(Kristin Shi-Kupfer)氏は、ロシアより中国のほうが「やり方が巧み」なため、この現状を真剣に受け止めなければならないと強調した。「中国は欧州の戸を叩いているのではなく、実際はとっくに入ってきている」にも関わらず、欧州の政治家はまだ気が付いていないという。

中国マネーで政治的な分断へ

 ギリシャやハンガリーなど中国の投資や援助を受けているユーロ圏諸国を利用し、中国当局はEUの意思決定に影響力を発揮している。中国にくさびを打たれたEU内部に亀裂が入ってしまったという。

 今まで人権問題の取り組みで一致団結した姿を示したEUだが、意見の食い違いが出始めた。ハンガリーは2017年3月、人権弁護士を拘束・虐待する中国当局に抗議するEUの書簡への署名を拒否した。

 同6月、国連人権理事会で中国の人権侵害を批判するEUの声明が、ギリシャの反対で否決された。ギリシャはまた、ハンガリーやクロアチアとともに、南シナ海で強硬な立場を主張する中国政府を非難するEU声明の発表を繰り返し阻止してきた。中国はギリシャなど財政難のEU周辺国に何十億ドルもの投資を供与した。

中国マネーで共産党思想が欧州にまで浸透

 中国当局はあらゆる分野で浸透工作を活発化させている。近年、ヨーロッパのマスコミや世論に対する中国の影響力が高まっている。なかには、中国の国営英字紙チャイナ・デイリー(China Daily)傘下の「チャイナ・ウォッチ(China Watch)」が、重要な手段となっている。

 「チャイナ・ウォッチ」が世界中の大手マスコミのカバレッジを借りて共産党思想を拡散するという目的で1992年に創刊され、海外向けの多言語・挿入式月刊である。広告費を支払う形で、米紙「ワシントンポスト」や「ニューヨーク・タイムズ」、英「デイリー・テレグラフ」、仏の「フィガロ」、独の「ハンデルスブラット」と「南ドイツ新聞」など各国の有力紙に折り込まれて出版されている。

 報告書はこの8面で構成されている「チャイナ・ウォッチ」が「広告」との表示があるのにも関わらず、紙面構成が新聞と何の違いもないため、中国共産党がこうした手口を通じて欧州で世論に影響を及ぼそうとしていると指摘した。しかも、新聞各社がこのやり方で多額の広告収入を得ているため、中国マネーへの依存が高まり、利用されつつあるという。

 ほかにも、中国当局はメディア買収などの戦略を打ち出したものの、現在まだ目立った成果を出していない。2017年、中国の企業は米出版社フォーブス・メディアを買収しようとしたが結局中止になった。

 中国のエネルギー複合企業である中国華信能源(CEFC)が米総合メディア大手タイムワーナー傘下の中央ヨーロッパ・メディア・エンタープライズ(CME)を買収する方向で協議に入っていることが昨年11月、ロイター通信に伝えられた。

直接投資:中国資本の大量流入

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