大学生の失業—中国社会の焦眉の急

2006/09/10 09:48
 【大紀元日本9月10日】中国社会において、緊急に解決しなければならない問題は何であろうか?環境問題なのか?過熱する経済成長だろうか?それとも、地域格差、貧富の格差だろうか?現在、中国社会における焦眉の問題は、失業問題、特に、大学生の失業問題であると言われている。高い失業率は深刻な社会問題であり、社会の安定と発展に影響を及ぼす。

 水増しされた就業に関する数字

 中国の政府が発表した数字によると、中国の失業率は4~5%であるが、中国問題のエキスパートたちは皆、この数字を大幅に縮小されたものであると考えている。しかし、どれだけ縮小されたのかについては、彼らにも分からない。待業は失業なのか?下崗(レイオフ)は失業ではないのか?勤続年数の買取りは失業ではないのか?

 中央規律検査委員会、中共中央弁公庁、国務院弁公庁の調査チームが北京市、上海市、広東省、湖北省の政治実績報告に対して再審査を行った後に公表した資料によると、北京市、上海市における実際の失業、待業率は、それぞれ11・5%、18・5%に達していた。

 卒業生200万人が失業に直面

 2003年以来、中国の大学卒業生は激増しており、2003年は212万人、2004年は320万人、2006年は429万人となっている。一方、推計によると、雇用市場における今年の大学卒業生に対する需要は150万人となっている。このほかに、中央政府は、大学卒業生に対し、西部開発に参加して、農村の教師や、コミュニティの職員になることを奨励しているほか、大学卒業生を動員して警察、武装警察、国家安全部の職に就かせたり、軍に参加させたりしている。こうして提供される雇用数は、75万人分に上るが、今年は残り200万人余りもの大学卒業生が失業に直面している。

 90年代末、当面の失業問題を解決するために、大学生の募集人数を大幅に拡大した。当時は、ちょうど、“教育改革(教育の産業化)”の時期にあたっており、大学生に対しても学費を徴収することを求めていた。このため、各高等教育機関は学生の募集拡大に非常に積極的になり、大学入学者の人数は、わずか4年のうちに2倍となった。しかし、学生の募集拡大は、高失業率の問題を時間軸上、後ろにずらしただけで、根本的な問題を解決することはできなかった。そして、2003年より、中国大学生の失業問題が浮上し、失業人数は、毎年100万人余りから、2006年の200万人余りへと上昇した。

 2006年7月17日における浙江電視台の報道によると、湖州市が浙北高速道路の料金所徴収員を募集したところ、147人の募集に対し、1600人余りが応募し、うち、720人が大学卒業生であった。高速道路の費用徴収は、比較的簡単な仕事であり、高卒の水準であれば誰でもできる。賃金は高くなく、月収は1000元にも満たない。これに各種補助、賞与を加えると、全年収は約2万元となる。また、高速道路の料金所は、すべて都市の外にあり、仕事は3交代制である。それでも、大学卒業生5人が、高卒レベルの職位1つを争ったのである。今年の大学卒業生の就職がいかに深刻であるかを物語るようである。

 龍は龍を生み、鳳凰は鳳凰の子を生むが、ネズミの子は穴をあけるのがうまい(龍生龍、鳳生鳳、老鼠養儿会打洞)

 大学卒業生が多く、市場の需要が少ないために、良い職に就くためには、強力な「コネ」が必要である。これは、文化大革命の時期に流行した、「龍は龍を生み、鳳凰は鳳凰の子を生むが、ネズミの子は穴をあけるのがうまい。(龍生龍、鳳生鳳、老鼠養儿会打洞)」といういわゆる「血縁重視」の伝統が、再び戻ってきたようだ。父母が社会において、権力やお金があれば、その子供は間違いなく良い職に就くことができる。中央政府は、妻、子供等の直系親族が自分の部門の職に就くことを認めないと定めているが、友人に自分の子供を世話してもらうのと引き換えに、自分がその友人の子供の面倒を見るといったことは日常茶飯事である。

 現在、大学生の子を持つ父母の多くは文化大革命において、大学教育の機会を失ったグループである。彼らは、農村に行って貧農、下層中農の再教育を受けさせられ、工場に就職した。このため、彼らは、自分が実現できなかった理想を子供に託すようになる。そして、子供が大学に上がることができれば、彼らの夢はかなうのだが、それと同時に、「教育の産業化」以後の大学教育の深刻な負担を自分の腕で支えなければならない。たとえ子供が大学を無事に卒業しても、深刻な就職難の中、卒業即失業となるケースが多く、父母の心配の種はつきない。

 問題の深刻性を過小評価

 仕事を探すために、大学卒業生の多くが、収入の期待値を大幅に引き下げており、毎月1000元~2000元の収入でよいと考える者も少なくない。会社が求めれば、1年目が「ゼロ収入」でも受け入れるという者もいる。杭州において、毎月1000元~2000元という収入は、30年余り前の毎月30元~50元の収入と余り変わらない。この収入では基本的な支出を賄うことはできるが、小さな部屋を借りるにも足りず、結婚して家族を養うこともできない。

 転業、復員軍人の配置に比べ、中央政府は、大学卒業生の失業問題の深刻性を過小評価している。中央政府は、転業(人民解放軍の幹部が退役して別の仕事に就く)、復員軍人は、力が非常に強いグループであり、一旦配置が不当となれば、こうした特殊技能を持ったグループが組織的に騒ぎを起こし、対処するのが非常に難しいと考えている。このため、今年、中央政府は特別な政策を実施し、第一の要求として、数年前に大きな力を入れて簡素化した政府機関において、募集人員を改めて増加させ、転業、復員軍人を配置し、こうした増加が必要であるかに配慮する必要はないとした。第二の要求として、公務員の募集に際しては、転業、復員軍人を優先することにした。中央は地方に対し、大きく注力してこの任務を必ず完成することを求めている。

 大学卒業生には、転業、復員軍人のような優遇政策がない。人々はこれまで、秀才の造反は10年では成らないと考えてきた。しかし、中国の指導者は、非常に重要な問題を無視している。それは、大学卒業生が、非常に危険なグループであるということである。第一に、彼らは高等教育を受け、素質が高く、政治に敏感であり、思想が活発であり、組織能力が高い。第二に、彼らには、時間、エネルギーがある。第三に、彼らは家庭の収入に支えられており、後顧の憂いがない。彼らが大学を出て社会に入るその時に職を探すことができなければ、社会に対する敵視を引き起こすだろう。一旦彼らが集団で騒ぎを起こせば、社会に与える動揺は非常に大きなものとなる。少し前に起こった、鄭州大学経済管理学院における学生の騒動の原因は、発行された卒業証書が、学生の就職に不利であることが発覚したからである。中央政府が有効な措置を取り、数百万人の卒業生の失業問題を解決できなければ、将来の中国社会が「和諧(調和)」社会になることなど到底できないだろう。

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