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10月24日、ソフトバンクモバイルが23日に発表した携帯電話新料金プランが誘発剤となり、市場が予想する日銀の早期追加利上げがより困難になるとの観測が民間エコノミストの間で浮上。写真は9月、同社が発表した新端末13機種のひとつ(2006年 ロイター/Toshiyuki Aizawa)

ソフトバンク新料金、早期追加利上げに逆風との見方も

 ソフトバンクモバイルが23日に発表した携帯電話新料金プランが誘発剤となり、市場が予想する日銀の早期追加利上げがより困難になるとの観測が民間エコノミストの間で浮上してきた。新料金プランそれ自体のCPIへの影響は軽微と見られるものの、携帯電話料金の値下げ競争に火が付く可能性があり、今月末に発表される日銀の展望リポートへの影響も予想されるためだ。

 <11月全国コアCPIへの影響は軽微との予想も>

 ソフトバンクは、24日の携帯電話の番号継続制(MNP)開始を前に、条件付きながら業界初の「かけ放題」を含む新料金プランを発表した。

 総務省は携帯電話通信料を算出する際に、加入者数の多い3社の価格を加重平均して採用しているため、今回の新プランが幾ばくか全国コアCPI押し下げに寄与するとみられている。

 昨年11月の携帯電話通信料値下げによる物価押し下げ圧力が一年たってはく落し、今年11月以後は、全国コアCPIを前年比で0.14%ポイント程度押し上げると期待されていただけに、物価上昇を期待する向きにとっては水をさされた格好となった。

 しかし、携帯電話の料金体系が複雑なこと、総務省が新料金プランのどの部分をどの程度採用するかが不透明なことなどから、CPIがどのくらい押し下げられるかは、実際に11月の数字が発表されるまでは分からないという。

 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストによると、今回の新料金プランで確実にコアCPIに押し下げに寄与すると言えるのは、月額基本使用料金を他事業者の同等プランより210円安く設定したという部分だけという。同氏によれば、この分けだと押し下げ寄与は「ごくわずか(マイナス0.001%程度)」という。

 また「今回のサービスは、期間も対象者も限定されているので、総務省がコアCPIに反映させない可能性がある」(モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕エグゼクティブ・ディレクター)との声もある。同氏は「反映されても影響はネグリジブル」と予想した。

<今後の追随値下げ、展望リポートへの影響に注目>

しかし、より重要なのは、今回のソフトバンクの動きが、携帯電話料金の値下げ競争を誘発する可能性があることだ。ソフトバンクは、他社が値下げを発表した場合、24時間以内に対抗値下げをするとしており「連鎖的に値下げ競争が激化する可能性がある」(上野氏)状況だ。 

 カリヨン証券の加藤進チーフエコノミストも「日本の携帯電話料金は割高で下げ余地がある。今後も方向として料金が下がるトレンドが続く」と予想した。KDDI(9433.T: 株価, ニュース, レポート)の小野寺正社長は10月20日に行った2006年9月中間決算会見で「こちらから料金競争を仕掛けることはないが、他社がやってきたら考える」と述べている。

 また月末にも発表される日銀の展望リポートで、市場が最も注目している07年のCPI見通しに影響を与える可能性もあるという。第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「今回の動きで、慎重な審議委員はCPI見通しを弱めに置く可能性がある。そうなれば見通しのレンジが広がり、それを市場がどう受け取るかが注目される」と指摘した。

 上野氏も、07年度のCPI見通しを「あまり上向きにしにくくなる」と予想。追随値下げの有無を含めて、来年3─4月期が値下げのヤマ場となりそうなためという。

 <年内利上げの可能性後退との見方も>

 経済企画協会が12日に発表したESPフォーキャスト調査によると、日銀の追加利上げのタイミングについては、調査対象となった36人の民間エコノミストのうち、12人が年内を予想した。

 熊野氏は、追加利上げは「一番早いシナリオでは12月」としているが、それが今回の動きで「足を引っ張られる可能性がある」と指摘した。

 加藤氏も「年内利上げは難しそう」と予想。ソフトバンクの動きの影響もあり、11月コアCPIが前年比プラス0.5%以上となる可能性が低くなったためだ。同氏は、追加利上げには、CPIが再び前年比ゼロ以下にならないと確信できるプラス0.5%を上回っていることが必要としている。

[東京 24日 ロイター]

 (06/10/24 16:55)  





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