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過度の融資枠拡大は資産バブルリスクを煽る(Getty Images)

中国経済指標に「矛盾だらけ」 強まる資産バブルリスク=米経済学者

 【大紀元日本1月29日】中国経済指標の真偽について再び専門家が疑問を呈した。政府が公表した経済指標から、「2009年の中国にはまるで二つの国が存在する」と米国シンクタンク機関のヘリテージ財団研究員、デレク・シザーズ(Derek Scissors)博士は指摘する。

 25日に同財団ホームページで発表した論文で、中国政府が公表した昨年の経済指標に存在する矛盾点を分析、当局の経済政策を理解できないとし、中国経済指標のうらには大きなバブルリスクが潜んでいるとの考えを示している。

 シザーズ博士は、中国政府が公表する経済指標について主に3つの矛盾点があるとした。▼この2、3カ月来失業者は2000万人以上に達しているにもかかわらず、失業率が5%以下の低水準を維持している。▼2008年末から実行した経済刺激策に提供した資金規模が国内総生産(GDP)の13%を占め、そのおかげで昨年実質GDP増長率が8・7%に達し、また09年実質消費財小売総額も前年比16・9%増となったにもかかわらず、インフレの兆候が見えず、逆に09年1~12月の消費者物価指数(CPI)は0・7%下落し、日本と類似するデフレが現れている。▼09年中国不動産価格の上昇率は、政府公表の物価上昇率より3倍も高い。

 また、中国当局が発表する消費に関する経済指標にも問題があると同博士は指摘した。

 例えば、当局は国営企業間の取引を小売売上高に算入している。このため、2001年から2009年までの中国の小売売上高と個人貯蓄の伸び率は世帯所得の伸び率をはるかに上回った。言い換えれば、この9年間で、中国の1世帯当たりの消費と貯蓄は所得をはるかに超えたという、非常に矛盾した経済指標になる。

 他のGDPの構成要素である固定資産投資、貿易黒字と政府予算などを足して計算した結果は、実質GDPを大幅に上回り、実質GDP増長率は各GDP構成要素の増長率より低い結果となったという。

 かつて中国国家統計局が発表した中国の経済指標が一致しないという指摘について、当局は昨年7月に国内英字紙「チャイナ・ディリー」電子版の報道で答えを提示した。「小売売上高と固定資産投資は、消費と投資を判断する上で正しくない指標だ」という。しかし、同統計局はその後も引き続き、正しくない指標とされる小売売上高と固定資産投資のデータを公表している。

 仮に国家統計局の経済指標が正しいならば、中国政府の経済政策は理解できなくなるだろうとシザーズ博士は指摘する。1999年~2000年の中国と2008年~2009年の中国、それぞれの経済指標を比較すると、矛盾点も存在するという。

 10年前の1999年の金融機関の新規貸出が前年比6%の増加であったが、同年GDP増長率は7・6%と比較的高い水準になった。これに対して、09年金融機関全体の新規貸出が前年比32%増となったものの、GDP増長率が9・6%にとどまった。融資枠拡大の経済政策の効果が薄く、このような過度な経済刺激政策の副作用で、金融市場に投資マネーが氾濫し、不動産価格の高騰を招き、経済的アンバランスを助長したと同博士は指摘。

 更に、中国の経済指標が正しければ、中国政府は一連の経済救済措置を出す必要がなく、「GDP増長率8%を保とう」という目標を達成した今、それらの経済刺激政策の実施を継続する必要もなくなっているとシザーズ博士は疑問視する。4兆元経済刺激政策のもとで、昨年国営金融機関の新規貸出がGDPの30%にあたる1・4兆元に達し、中国政府関係者は今年もこのような政策を続けると示した。

 一方、昨年初め、中国国内メディアは、国内の失業した出稼ぎ農民の人口は2000万人以上だと報道した。当時の半年期GDP増長率は6・5%だった。中国のGDP増長率のうちの7%は雇用改善に何も役に立っていないということになる。これに対して、同博士は「中国政府が発表した経済指標が正しければ、近い将来中国経済が崖っぷちに立たされるだろう。GDP増長率が10%になっても、国内雇用環境が改善されることがなければ、かえって資産バブルリスクが煽られるからだ」と示した。

(報道・張哲)


 (10/01/29 08:21)  





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