中国地方公務員の給与を2割以上カット 財政難が浮き彫りに

2021/12/09
更新: 2021/12/09

中国の複数の省で、地方政府公務員の給与を引き下げたことがわかった。地方政府の深刻な財政難が浮き彫りになった。

浙江省杭州市の女性公務員はこのほど、SNS上で年収の25%に当たる5万元(約90万円)がカットされたと訴えた。女性は市の財務部門から説明を受けておらず、給料の大幅減で「生活は大きな影響を受け、生計を立てるのに強い圧力を感じている」と不満を募らせた。

中国版ツイッター、微博(ウェイボー)では、12月に入ってから上海市、江蘇省、広東省、福建省などの公務員が相次いで、給与の引き下げに関する通知を受け取ったとの情報が流れている。給与は約2~3割減ったという。

微博上の投稿によれば、上海市警察署の局長の年給は35万元(約628万円)から20万元(約359万円)以下に削減された。科員級の公務員の場合、年給は24万元(約430万円)から15万元(約269万円)に下がった。

公務員給与の大幅カットについて、ネットユーザーは「公務員も(庶民と同じ)苦しい生活を送り始めた」「財政圧力が相当大きいようだ」と次々にコメントを書き込んだ。

ポータルサイト「網易」2日付では、広東省の一部の地方政府は、公務員への賞与や手当の支給を中止し、基本給のみ支給している。深セン市では、今まで大学学部卒の公務員に1万5000元(26万8千円)、大学院卒には2万5000元(44万円7千円)とそれぞれに助成金を支給していた。現在、これらの助成金は撤廃された。

深セン市は全国で財政状況が最も健全な地方政府の一つである。同報道は、深セン市の状況から見れば、他の地方の状況はより深刻になっていると指摘した。

中国の経済情報メディア「格隆匯」は今年8月、当局の統計を引用し、中国31の省・市の上半期の財政収支を報じた。31の省・市のうち、上海市だけが「財政黒字」になっているという。

中国財政部(財務省)は11月23日、10月末時点の地方政府の債務残高は29兆7000億元(約533兆円)と発表した。

(翻訳編集・張哲)

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