THE EPOCH TIMES

ダム決壊 5村が呑まれて死者多数 吉林省7・28大水害の真実

2010年08月08日 13時14分
 【大紀元日本8月8日】7月28日。20世紀最大の災害と言われる中国唐山大地震34周忌のその日、南京市の住宅密集地で大規模なガス爆発事故が発生し、人々を驚かせた。一方、同日午前、中国東北部の吉林省樺甸(ホアディエン)市で、ダムが決壊し、下流にある5つの村が洪水に呑み込まれ多くの死者が出る深刻な水害事件が起きた。

 これらの村では、全ての建物が倒壊し、外部につながる道路は全て損壊し、通信設備も破壊され、ほとんどの村民が家を失った。当局からダム決壊の危険を知らせる通知がなかったため、多くの死者が出た。現地を訪れた市民記者の統計では、死者と行方不明者は少なくとも200人以上いるという。

 中国国内テレビ放送局の報道によると、溜まっていた400万立方メートルの水が30メートルの高さのダムから流れ出た。その破壊力によって、水の通過地点にあった民家はすべて破壊されてしまった。ある新築の住宅は一瞬で消え、洪水後は跡形もなく、砕けた石だけとなった。

 事件直後、国営新華社は豪雨により洪水が発生、ダムの一部の堤防が決壊し、13人が死亡、32人が行方不明と報じたが、1週間後の8月4日、初めて、「大河ダム」が決壊したことに言及した。現地の3人の幹部が問責により免職されたと伝えた。

 8月7日、人気紙
洪水に破壊された道路と倒れた広告ボード(情報筋の提供)

「新京報」は、樺甸市の水害の真相を調査するため現地に行った記者二人が、前日の午後、樺甸市警察局に拘束されたと報じた。その後釈放されたが、二人の記者によると、取材した録音テープや写真は全て削除されたという。

 同日、新華社は、ダムの決壊で下流にある5つの村が全て呑み込まれたと初めて報道した。現地村民の要求で、市の政府や公安局と専門家が合同で現地に入り、「大河ダム」決壊の真相を調査するという。

 水害後、政府幹部を殴った村民

 現地政府が隠そうとしている事件の真相を、上級部門が調査するように命じたのは、水害後の被災地の村民の怒りによる。

 ダムが決壊するとの警報を、当局が事前に出しておらず、多くの人が避難が間に合わなかった。大河ダムが位置する常山鎮では、洪水が発生した当日、幹部らは観光旅行に出かけていたため、家を失った村民は、死体を安置する場所も、夜を過ごす場所さえなかった。常山鎮では、怒った村民が犠牲者の死体を政府事務室の前まで運んで行き、政府幹部を殴った。

 怒った被災者数百人は、常山鎮政府や常山水利所の前に集まり、政府がいかなる対応もとらないことに抗議した。翌日午後、市の総書記が常山水利所を訪れたが、現場にいる抗議者らを無視した。事務室の中でスイカなどを食べていたところ、怒った村民が事務室に突入し、市政府の幹部らを殴った。

 ダムの決壊に隠された人為的な要素

 全壊した村は、大河村、釣魚台屯、靠山村、小油坊(南河沿)、太平庄村の5か所。ダム決壊後、これらの村民は避難が間に合わず、ほとんどの家屋が倒壊、多くの死傷者が出た。農作物の損失も計り知れない。

 「高さ3メートル以上もある大水が下流へ向かって流れ出し、多くの村を呑み込んだ。大型車両やダンプカーも遠くまで流され、何度もひっくり返っていた」と靠山村の村民が語った。

 5つの村のうち、大河村はダムの一番近くにあったため、死者の出るリスクは一番高いはずだが、現地村民からの情報によると、実際に死亡したのは一人で、ほかの村より遥かに少なかった。

 それには理由があった。

 現地村民の話によると、大河ダムは国の水利局が管理するはずであったが、関係者の汚職絡みで、個人企業である樺甸市城建土地開発公司が管理を請け負った。この個人企業はダムを利用して魚養殖や発電事業をしているが、水利には詳しくなく、ダムの維持を怠けていた。最近連日豪雨であったにもかかわらず、発電と魚養殖のために、増水期に違法に貯水していたという。事故発生当日も、責任者は不在で当直も行方が分からない状態で、水位上昇の報告が間に合わなかったという。

 現地を訪れて被災や事件の原因を調査した市民記者の話によると、7月27日夜、豪雨によるダムの安全を心配する大河村の村民が、ダムを見張る当直者にダムの水位をチェックするよう電話をしたが、当直者は電話に出なかった。心配した村民が実際にダムに行ってチェックしたところ、水位はすでに警戒線を遥かに超えた状況だが、当直者は寝ていた。起こされた当直者は慌ててダムのゲートを上げて放水しようとしたが、水圧がすでに大きすぎたため、ゲートは上げられなかった。

 当直者はすぐに水利局に電話で報告し、水利局のスタッフは午前3時ごろダムに到着した。しかし水利局は、ダムが決壊する寸前にあるとの通知を出したのは、朝6時だった。そのため、下流にある村はほとんど避難が間に合わず、多くの死者を出してしまったという。

 一方、ダムを見に行った大河村の村民は夜中に急いで村に戻り、村全体に通知したため、ほとんどの村民が死から免れた。

 しかしダム決壊の原因は、中国メディアの報道では、停電のためダムのゲートが動かず放水が出来なかったとされている。

 村民が具体的な死者数と行方不明者数を政府に伝えているにもかかわらず、災害発生後、政府各級職員やメディアは現場に来ることもなく、タイムリーな報道もなされなかった。政府の救済チームや救援物資が現地に到着したのは3日後だったという。

 永吉県でダム放水 事前通知なかった

 一方同じ日の7月28日、吉林省のほかの地域でも豪雨によりダムの水位が上昇した。永吉県では、決壊寸前の「朝陽ダム」で放水したため、低地にある鎮村では3階以下の建物は全て大水に呑み込まれた。住民に対し事前の通知がなかったため、多くの死者が出た。

 政府系の報道では、「朝陽ダム」の放水の影響で20人が死亡したとされているが、現地住民の話では死者数はそれを遥かに超えている。同県口前鎮の住民馬さんは本紙記者に、事前の通知は二つの村にしか届かなく、死亡した人数は2千人以上に上るとの見方を示した。

 「流された人が多く
8月1日洪水が引いた後の永吉県(AFP)

、土砂に埋まっている人も多い。現在、土砂の中から死者を掘り出している」と馬さんは話す。

 口前鎮のもう一人の住民が匿名で取材に応じ、鎮の古い街で1日だけで死者を載せた十数台のトラックを目撃したという。数人の救援兵が救助活動中、洪水に流されていったとも話した。

 これらの町では現在多くの場所で強い死臭が漂っている。多くの人に原因不明の赤い発疹が出ており、疫病の不安が広がっているという。

(記者・方暁、翻訳編集・日本語ウェブ編集チーム)


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