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CPI上昇率5ヶ月連続 食品・不動産が主因 金利上げの対策でさらに悪化か=中国

 【大紀元日本12月17日】中国国家統計局は先週、11月の主要70都市の不動産販売価格が対前月比0.3%上昇と発表した。政府の厳しい抑制策にもかかわらず不動産価格は3ヶ月連続の上昇で、不動産バブルへの懸念が再燃しそうだ。

 発表された不動産市場運行状況によると、不動産販売価格はマンションなど居住用と、オフィスなど商業用の両方を含む。11月の価格は、全国70主要都市の販売価格は対前年同期比7.7%上昇。上昇率は10月より0.9ポイント下がるが、対前月比0.3%の微増で、依然として高水準を保っている。新築住宅の販売価格は対前年同期比10.4%上昇しており、特に高級住宅の上昇率が高く、14.1%上昇。

 一方、翌日発表された消費者物価指数(CPI)の上昇率は対前年同期比5.1%となり、10月の4.4%からさらに加速し、2年4カ月ぶりの高水準となった。政府目標の3%を5ヶ月連続して上回った。インフレや不動産バブルの懸念を収めるための対策は難しくなりそうだ。

 中国政府は、CPIの上昇圧力である商品価格の抑制のため11月中旬、備蓄穀物や食用油、砂糖の放出に加え、価格の大幅なつり上げ行為の取り締まりに踏み切った。それにもかかわらず、国家統計局が発表した11月の主要経済指標によれば、非食品価格が1.9%の小幅な上昇にとどまったのに対して、食品価格は前年同期比11.7%の急上昇を見せた。

 11日、国家統計局の盛来運報道官は記者会見で、CPI上昇のうち、食品価格の上昇要因は74%で、不動産価格の上昇要因は18%であると内訳を示した。これによれば、消費者物価指数全体の上昇に対する二項目の寄与率は92%に達する計算である。

 CPIの上昇と呼応する形で、卸物価指数(PPI)の上昇も拡大している。11月の卸物価指数の上昇率は対前年同期比6.1%、対先月比1.1%上昇した。原材料、燃料などは9.7%上昇。そのうち、銅、アルミなど非鉄金属類の上昇率は16.5%。石油、石炭などの燃料類は9.8%上昇するなど、原材料の上昇圧力が続いている状態だ。

 大連紡織協会の統計資料によると、アパレル関連製品のコストの40%を占める綿花の価格が高騰し、最近の値上げ率は30%に達しているため、メーカーのコスト負担が重くのしかかっているという。

 中国の工業生産は13.3%増と引き続き好調だが、製造コストの上昇により、メーカーの採算が悪化し、厳しい生産調整が迫られる。日本経済新聞によると、食品油や即席めんなどの生産を縮小し、供給制限を始めたという。企業側に負担を強いる政府の手法に対し、不満の声が上がっている。

 中国流通大手幹部によると、中国食品大手の匯福糧油集団(北京市)が食用油工場の操業を一時的中止した。日本経済新聞が報道している。輸入大豆の値上がりで製造コストが1トン1万400元(約13万1,000円)に上昇したが、卸価格は同9,800元に決められているため、赤字が発生しているという。政府の指導で匯福は操業を再開したが、赤字を最小限に抑えるため生産水準は抑えられたままの状態。別の食用油大手も「このままでは原料を購入できない」と悲鳴を上げる。

 国内ではインフレ懸念にさらされる一方、人民元レートが対外的に低く抑えられているため、輸入品の値上がりにつながる構図になっている。11月の各種物価指数の上昇を受け、さらなる金利引き上げに踏み切るかが焦点となりそうだ。

 統計が発表された前日の10日、中国人民銀行は、物価押し上げ要因となっている過剰流動性を吸収する狙いで、銀行の預金準備率の引き上げを発表した。預金準備率の引き上げは過去1カ月で3回目となる。

 中国が金利を引き上げれば、金融緩和を続ける日米欧との金利差が拡大し、中国への投機資金の流入に弾みがつくことは避けられない。かえってインフレや住宅バブルが加速しかねない。市場では、海外からの投機資金を招きかねない利上げには踏み込みにくいだろうとの見方がある。

 一方、物価上昇に歯止めがかからない中で、もう一つ有効な対策は預金準備率の引き上げであろう。しかし、預金準備率の引き上げは、特に不動産市場などへの過剰流動性の吸収には作用するが、米国の量的緩和策の影響もあり、中国国内への投機資金の流入が加速している。

 金利の引き上げ、預金準備率の引き上げは、どちらも二枚の刃である。経済成長を維持するための方策は、難しいかじ取りになりそうだ。

(林語凡)


 (10/12/17 10:26)  





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消費者物価指数  CPI  卸物価指数  PPI  金利  預金準備率  


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