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中堅デベロッパーに危機 港龍中国が1億円超の利払い不能

2025/06/18
更新: 2025/06/18

香港証券取引所に上場する港龍中国地産グループ有限公司は、資金繰りの悪化により、6月17日に支払期日を迎えた85万7600ドル(約1億2400万円)の利息を支払えない見通しであることを発表した。これにより、同社は債務不履行(デフォルト)に陥る可能性があり、中国不動産業界の財務難が中堅企業にも広がっている現状が浮き彫りとなった。

同社によると、過去に発行した1億8千万ドルの社債について、資金繰りがひっ迫する中でプロジェクトの進行資金を優先し、利息支払いを断念したという。

さらに、2024年12月末時点で約1億9300万元(約40億5300万円)の銀行借入およびその他の債務が返済期限を過ぎており、2025年11月満期の社債に付随する違約条項が発動される可能性があるという。加えて、9億3千万元(約195億円)の借入も「即時返済を求められる状態」にあり、資金繰りの状況はさらに悪化している。

港龍中国地産は上海を拠点とし、常州出身の呂氏一族が経営を担っている。同族は元々繊維業で10年以上にわたり事業を展開していたが、2007年に不動産業に転換。以降10年間は地元・常州市に特化した堅実な経営を行っていた。

しかし、2020年7月の香港上場を契機に方針を転換。同年11月には38.3億元を投じて広州・増城区の住宅用地を取得し、「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」に進出した。この投資額は、当年上半期売上の2倍以上に相当する大規模なものだった。

また、長江デルタ地域では、義烏(浙江省)で31.71%、塩城(江蘇省)で93%、如皋(江蘇省)で77.14%という高いプレミアムをつけて土地を取得。だが、これらはちょうど中国共産党政府が「三道紅線」政策により不動産企業の融資制限を強化した時期と重なり、過借入を重ねて急拡大を図った経営戦略が裏目に出た形で、同社の資金繰りは深刻さを増している。

2024年末時点での総負債は152.36億元(約3200億円)、資産負債率は65.35%。特に深刻なのは、流動負債が133.51億元(約2804億円)に達し、そのうち1年以内に返済期限を迎える短期債務が29.21億元(約613億円)にのぼる一方、帳簿上の現金および現金等価物はわずか2.66億元(約55億9千万円)しかなく、短期債務をカバーするには全く不十分な状況だ。