2021年9月26日に撮影された、中国湖北省武漢市の恒大長青コミュニティの航空写真(Getty Images)
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中国当局、不動産バブル危機を簡単に解決できない

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不動産バブルを無視し、その影響を相殺し、不動産部門の崩壊を他の部門に置き換えながら成長を続けられる経済はどこにもない。アイスランドやスペインのような規制の厳しい国は、不動産セクターの崩壊による悪影響を抑えることができなかった。中国共産党も例外ではない。

中国では、不動産セクターの規模巨大化、過剰なレバレッジ、家計および個人投資家の手にある不動産開発会社の負債という3つの課題がある。

不動産セクターの巨大化

「中国の不動産市場は、世界経済の中で最も重要なセクターとして知られている。その規模は約55兆ドル(約6280兆円)で、米国の2倍、中国のGDP(国内総生産)の4倍に達している」と、オックスフォード大学の中国問題研究者であるジョージ・マグナス氏は英紙ガーディアンへの寄稿で指摘した。

建設業や不動産関連サービス業を含めると、不動産セクターは中国のGDPの25%以上を占めている。不動産バブルの他の例をみると、不動産セクターの平均規模はその国のGDPの15~20%程度である。さらに、それらの国は、不動産セクターの行き過ぎを抑制したことがない。

過剰なレバレッジ

不動産バブルの問題点は常に、過剰なレバレッジである。不動産開発企業が多額の負債を抱えているため、住宅価格が少しでも下がると、自己資本が減り、ソルベンシー・マージン比率(支払余力)が低下して経営危機に陥るというパターンは多い。

中国の場合、負債規模は驚異的である。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、中国の不動産開発大手のうち、19社の純負債比率は自己資本の60%を超えている。そのうち2社の純負債比率は120%を超えている。巨額債務で経営危機に陥っているのは、中国不動産大手の恒大集団だけではない。

最も負債の多い中国不動産企業10社の負債比率は、スペイン不動産会社マルティンサ・ファデサ(Martinsa Fadesa)が倒産した当時の負債比率をはるかに上回った。

家計および個人投資家の不動産投資

中国と海外の個人投資家は中国不動産市場と建設市場に投資している。恒大集団はコマーシャルペーパー(CP)の最大の発行者である。不動産開発企業の債務は様々なパッケージ商品を通じて小口投資家に販売されている。

成都西南財経大学と中国広発銀行が2018年に発表した報告書によると、中国の家計資産の約78%が不動産関連である。これは米国の2倍以上にあたる。

また、2021年6月、中国初のインフラ公募REIT(不動産投資信託)市場が始動した。米ブルームバーグによると、上海と深圳の両取引所には9銘柄が同時上場した。市場規模は最大3兆ドル(約330兆円)に達するとの見込み。この9銘柄はわずか1週間で50億ドル(約5550億円)の資金を調達した。

これらの3つの要因は、中国がバブル崩壊を抑えられないことを示唆する。9月の中国主要都市の新築住宅価格は、2015年4月以来の下落となった。70都市のうち半数以上は、前月比で下落したと英FT紙が10月20日に報じた。

高いレバレッジ、実質GDPや実質賃金を大幅に上回る住宅価格の上昇ペース、不動産セクターへの依存度の高さなどでは、不動産セクターが中国経済に与える影響は金融面だけに限らない。中国人民銀行(中央銀行)は流動性注入や、銀行への直接または間接的な救済措置を通じて、財政上の影響を隠そうとしている。しかし、不動産バブルは、空きビルの周辺にインフラ設備を構築している公共事業、サービス業、建設関連業などを含め、消費に打撃を与える可能性がある。

中国政府は、不動産市場による金融セクターへの影響を抑制できるが、実体経済への影響を相殺することはできないだろう。これは成長鈍化、リスク増大、消費意欲や投資意欲の低下を意味する。中央銀行は、流動性で支払い能力の問題を解決できない。

不動産バブル主導の経済成長は常に、負債主導の停滞を招く。
 

執筆者プロフィール

ダニエル・ラカール(Daniel Lacalle)博士は、米資産管理会社Tressisのチーフエコノミストであり、『Freedom or Equality(自由か平等か)』『Escape from Central Bank Trap(中央銀行の罠)』『Life in Financial Markets (金融市場での生活)』などの著書がある。

オリジナル記事:英文大紀元「China Can’t Offset Its Property Bubble Easily」より

(翻訳・王君宜)