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このところ、中国の高利貸しの焦付きが頻発している(ネット写真)

高利貸しの焦付きが頻発 中国版「サブプライムローン危機」に発展

 【大紀元日本9月28日】最近中国国内で頻繁に報道されている高利貸しの焦付き問題が、国内外の専門家に注目されており、中国版サブプライムローン問題の発生に危惧を示している

 9月6日付英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は、当局の金融引締め政策の実施により、中国の金融機関の貸出が制限されており、中小企業が資金調達困難になっている現在、多くの国営企業が「影の金融機関」になりつつあると指摘した。FTは影の金融機関の9割が国営企業だとしている。影の金融機関とは、銀行のように一部の金融機能を持つが、政府当局の監督を受けない、あるいは少ししか受けない非銀行の金融機関を指す。中国では現在、政府と強い関係を持つ国有企業や民間金融業者から個人まで、影の金融機関の形態は様々である。

 この影の金融機関における貸出の規模について、フランスのソシエテ・ジェネラル銀行はこのほど発表した研究レポートで、国営企業や大手金融機関の民間金融市場への参入によって、約3兆元(約36兆円)の正規の商業用貸出がこれらの地下銀行に流れ込んだとした。また、野村証券傘下のノムラ・インターナショナル(香港)の研究レポートでは、2010年の中国の影の金融機関の貸出残高は8.5兆元(約102兆円)で、同年金融機関の貸出残高総額の17.8%を占め、さらに同年国内総生産(GDP)の21%を占めたと示した。

 また、この影の金融機関への監督管理が十分に行われていないため、現在個人による貸出の急増が目立つ。9月中旬、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)は各銀行に対して、従業員がいわゆる「人人貸」の取引に手を貸さないよう命じた。銀監会は、人人貸の審査基準、償還能力、または、個人が銀行から融資を受けて、その融資を元本にして他人に貸し出すという事自体を非常に危惧している。「人人貸」とは、個人の金融貸し手とその融資を欲しがる借り手が仲介業者を通じて取引を完成することを指す。多くの場合、人人貸の取引はインターネットで完成する。この人人貸の年利子率は25%と非常に高く付けられているという。

 中国全土で巻き起こっている危険な高利貸しブーム

 中国国内報道機関は最近、全国で起きている過度な高利貸しブームについて頻繁に報道している。9月19日付北京晨報によると、内モンゴル自治区オルドス市の不動産開発プロジェクトはすべて民間金融業者から融資を受けている。高利貸しに出資すれば、莫大な利益を儲けられるとの認識で、同市の半分の人口の市民が貸出あるいは融資の資本活動に参与している。そのため、「オルドスの人は貸出をするが、株取引に手を出さない」という言い方すら広まっている。

 しかし、年利子率30%以上の融資を返済できる企業はどこにもない。資金調達難に直面している中小企業にとっては、高利貸しから融資を受けなければ直ちに経営破たんするが、高利貸しの融資を受けると、徐々に破産する事態に直面する。実はその損失のほうがより大きい。

 高利貸しが最も盛んな浙江省温州市の中小企業促進会の周徳文・会長は自身の「微博」(中国版ミニブログ)で、大多数の中小企業の年間収益は10%を下回り、3~5%の間で維持しているのが普通だが、現在温州市民間金融業者の金利はすでに年180%に達しており、史上最高値を更新したとし、「高利貸しが実体経済の健康的な発展に深刻なダメージを与えている」と批判した。周会長はまた、民間金融業者の高利貸しの融資で資金調達難に悩んでいる一部の中小企業は一時的に助かったが、高金利は企業の融資コストを一気に急増し、中小企業の負担をさらに増やしたと指摘している。

 事実、高金利のため融資を返済できない中小企業が次々に破産しており、多くの経営者は突然行方をくらましている。国内報道によると、4月から浙江省温州市、台州市、寧波市などの各地で、高利貸しからの融資を返済できなくなった中小企業経営者が行方をくらます事件が急増している。8月だけで、温州市では経営者が突然蒸発した企業は少なくとも20社あるという。

 一方で、ブームに乗って高利貸しをする側も同様に、焦付きで元本が戻ってこないという非常に大きなリスクに直面する。2008年9月4日、湖南省湘南吉首市で起きた10万人の大規模な集団抗議活動は、高利貸しに出資し、焦付きで元本が戻ってこなくなったため、出資者が政府関係部門に陳情に行ったが、解決してもらえなかったのが原因だという。高利貸しに出資した多くの人は、高利貸しのハイリターンという魅力的な収益だけに着目し、貯金、養老金、レイオフで得た退職金や生活費などあらゆる面からお金を工面して投資資金として高利貸しに投じたり、銀行から融資を受けてその資金を高利貸しに投じたという。国内報道によると、投資詐欺とされる同事件に関して、出資者の中には生活費すら手元に残っていないため、将来に絶望し自殺しようとする人も出るなど、大きな社会問題となった。

 さらに、資金を貸した先の中小企業の倒産に伴い、高利貸し業者である「担保公司」も経営難に陥り、高利貸しに出資した個人の投資家からの非難を避けるため、突然行方をくらます担保公司の経営者も多くいる。このため、数多くの投資家が莫大な損失を被るだけではなく、民間金融機能への大きなダメージを与え、大きな社会不安を引き起こしている。

 国内経済評論家の葉檀氏は、全国民の高利貸しへの熱狂ぶりは中国にとって最も恐ろしい金融リスクだと警告した。葉氏は、中国の高利貸しリスクはすでに一触即発の状況となっている。民間金融機能が一旦崩壊すると、中国の中小企業はさらなる災難に見舞われる、と強い危機感を示した。

 2007年に発生した米国サブプライムローン問題は信用度の低い人向け住宅ローンの焦付きが原因で、金融機関の破たんや世界金融危機がもたらされた。しかし、現在中国で起きている高利貸しブームの背後に潜んでいるのは、焦付きのリスクではなく、投資詐欺、貸し手と借り手が法的な保障を全く受けられないなどの問題で、米国サブプライムローン問題よりもさらに深刻な状況となっている。

(翻訳編集・張哲)


 (11/09/28 08:14)  





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高利貸し  金融  投資  焦付き  サブプライムローン  


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