アイスランド外相、法輪功に陳謝 9年前江沢民前主席訪問中のことで

2011/06/01
更新: 2011/06/01

【大紀元日本6月1日】アイスランドのスカルプヘイジンソン外相はこのほど、9年前に中国の江沢民・前国家主席が来訪中に、気功修煉法である法輪功の学習者らを入国させなかった件について、陳謝の意を表した。アイスランド大手紙Fréttablaðiðが報じた。

 2002年6月12日、江沢民・前国家主席がアイスランドを訪問した。江主席の訪問に当たり、中国当局は事前にアイスランド司法省にある「ブラックリスト」を提示し、訪問期間中、同リストにある関係者の入国禁止を要求した。

 同リストには世界各地に在住する法輪功学習者約千人の名前が載っている。アイスランド政府は同リストに従い、米国やカナダ、英国、ドイツ、フランス、ベルギー、スペイン、台湾など十数カ国からの200人以上の入国を拒否した。アイスランドの外務省の幹部は当時、メディアの取材に対して「アイスランド政府は法輪功に反対していない」と表しながらも、同事件の背後に中国当局からの圧力があったことを認めていた。

 アイスランド大手紙Fréttablaðiðの報道によると、9年前のこの出来事について、5月27日の国会質疑の場で、スカルプヘイジンソン外相は事実関係を認め、「アイスランド政府を代表して、当時、わが国を来訪しながら人権侵害を受けた人々にお詫びします」と発言した。

 スカルプヘイジンソン外相の同発言はTryggvadottir議員が出した質問に対する答弁。同議員は外相に対して、政府は当時、明らかに法輪功学習者の人権と言論の自由を侵害したではないかと問いただしたという。

 法輪功(ファルンゴン)は、中国伝統文化の一つである気功修煉法で、20年ほど前から中国国内で一般に公開普及してきた。心身の健康に効果が高いことから、中国社会の各層で学ぶ人が爆発的に増え、愛好者は1億人に上ったと推定されていた。1999年7月、当時の江沢民・国家主席は法輪功に対する取締を命じ、弾圧を始めた。

 国民より9年遅れの陳謝

 「外相の陳謝に嬉しく思っています。しかし、大分遅れた陳謝ですね」。当初からこの事件に関心を寄せていた作家のハーマン・サルトン(Herman Salton)氏が、外相の発言についてこのようにコメントした。「これでやっとアイスランド政府が、最初から法輪功学習者を支持したアイスランド国民と同じ立場を取ることになりました」という。

 2010年末に出版された同氏の著書『冷淡な受け入れ国、凍りついた訪問―アイスランドで対峙する中国と法輪功(Arctic Host, Icy Visit – China and Falun Gong Face Off in Iceland)』は、2002年の江沢民アイスランド訪問の事件を詳細に記録・分析したもの。

 それによると、この時、世界各地から約70人の法輪功学習者がアイスランドに駆けつけ、来訪中の江沢民・前国家主席に対して、弾圧の停止を求めようとしていたが、アイスランドに入国した空港で拘束されてしまった。後にメディア報道によって事件を知った一般市民が抗議デモを行ったことで、拘束された法輪功学習者は釈放された。

 「法輪功学習者による抗議デモは静かなものだった。それに比べて、法輪功学習者に圧力をかけたアイスランド政府に抗議した国民のほうが熱くなっていた」と同書は指摘している。

 当時、アイスランド国民は、中国に盲従する自国政府のこの行動に対して、強い怒りを示した。その現れとして、江沢民・前国家主席の来訪中の6月13日、首都レイキャビクで発行されるMorgunbladid紙には、ページ一面を使い、英語とアイスランド語で書かれた市民有志による法輪功学習者への謝罪文が掲載された。タイトルは中国語の赤い大文字「対不起(ごめんなさいの意味)」だった。

 

アイスランド国民による謝罪文を掲載した2002年当時のMorgunbladid紙(大紀元資料室)

同文は、「中国国家主席の来訪のため、わが国の政府が理解し難い行動を取った事に関しまして、法輪功学習者や他のアジア系観光客に陳謝します。このような政府の行動は決してアイスランド国民の意志を代表していないことを、我々が誓います」と述べるとともに、「中国の独裁者による人権を著しく踏みにじる行為を強く非難する」などと記されている。その下には、同文に賛同するアイスランド国民約400人分の氏名が書かれていた。

 翌日の14日、レイキャビクでは3千人規模の抗議活動が行われ、訪問中の江沢民・前国家主席に対して、法輪功学習者に対する人権侵害を抗議した。そのような状況下、江沢民・前国家主席は予定を一日繰り上げて、15日にアイスランドを離れている。

 

当時の3千人規模の抗議活動(大紀元資料室)
(記者・陳俊村、翻訳編集・叶子)
 

 

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