大紀元時報

焦点:ブラジル極右候補、トランプ礼賛者を外相に起用か

2018年10月23日 11時11分

[ブラジリア 16日 ロイター] - ブラジル大統領選第1回投票で得票率トップだった極右候補のジャイル・ボルソナロ下院議員は、政権獲得の折にはトランプ米大統領のナショナリスト的な政策を称賛する外交官を外相に起用する方針だ。側近の1人が明らかにした。

複数の専門家の話では、この人事はボルソナロ氏が目指すブラジル外交の刷新と符合する。ボルソナロ氏は既に、南部共同市場(メルコスル)や新興5カ国BRICSといった枠組みへの参加見直しや、トランプ氏にならった在イスラエルのブラジル大使館のエルサレム移転を約束している。

こうした方針は、過去10年半近く左派の労働党(PT)政権が進めてきた近隣諸国や他の新興国との連携に軸足を置く政策とは正反対と言える。

大統領選の決選投票が28日に控えているものの、PTが擁立するフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長に対して優位を保っていることから、ボルソナロ氏は早くも閣僚の指名に乗り出した。ただ外相ポストはまだ正式に固めていない。

こうした中で、ボルソナロ氏に助言してきた政治学者パウロ・クラマー氏によると、外務省のエルネスト・フラガ・アラウージョ米国・カナダ局長が外相の最有力候補となっている。

フラガ・アラウージョ氏は、「反グローバリズム」を推進するための個人のブログで、国民にボルソナロ氏支持を呼びかけるというブラジルの外交官としては異例の振る舞いをした人物。もっともクラマー氏は、ボルソナロ陣営の目に留まったのは、フラガ・アラウージョ氏が専門誌にトランプ氏を評価する記事を寄稿したことで世界観が同じだと分かったからだったと述べた。

フラガ・アラウージョ氏はこの記事で、トランプ氏が国家のアイデンティティーや家族の価値などを守るために立ち上がり、過激なイスラム主義や「グローバリストの文化的なマルクス主義」から西欧のキリスト教文明を救い出しているなどと論じた。

ボルソナロ氏はトランプ氏への親近感を隠そうとしておらず、2016年の米大統領選を反既成政治や汚職、犯罪撲滅を掲げる自身の政治運動のモデルとしている。7月のテレビ出演の際には「トランプ氏が米国を偉大にしたように、私はブラジルを偉大にしたいのだ」と語った。

ブラジルは世界で最も経済構造が閉鎖的な主要国の1つで、元来自由貿易に懐疑的だが、ボルソナロ氏はイデオロギーの再構築を明らかにするようないくつかの象徴的な行動を取ることも示唆している。一番分かりやすいのは、トランプ氏に追随して在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムへ移す計画だ。

同国は長らく、パレスチナ問題ではイスラエルとパレスチナ自治政府の両者間による解決を支持してきたものの、ボルソナロ氏はパレスチナを国家と認めず、在パレスチナ大使館の閉鎖も表明している。

またボルソナロ氏の南米近隣諸国、特に社会主義国であるベネズエラへの態度は冷淡化しつつある。同氏はブラジルがアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイとともに設立したメルコスルを軽視する発言を行ってきた。

ボルソナロ氏にとっては、ブラジルがロシア、インド、中国、南アフリカという他の主要新興4か国と共同で開発銀行を設立し、相互貿易を推進してきたBRICSの枠組みも、懐疑的な目で今後を検討する対象となる可能性がある。

ただジェトゥリオ・バルガス財団大学のオリバー・ステュエンケル教授(国際関係)は、ボルソナロ氏がトランプ氏のような姿勢でBRICSを離脱すれば、中国に対してブラジルも敵対的になるとのメッセージを送ってしまう、と警告する。

中国はブラジルの主要貿易相手で、近年は投資資金の供給元にもなっている。このため専門家は、ボルソナロ氏が経済的利益のために敵対的になる衝動を抑えざるを得なくなるのではないか、とみている。

(Anthony Boadle記者)

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