バイデン前米副大統領の息子、新疆の監視アプリに投資=報道

2019/05/10
更新: 2019/05/10

伝えられるところによると、米民主党の大統領最有力候補とされるジョー・バイデン氏の息子は、中国共産党が新疆ウイグル自治区住民を監視するために使用するスパイ・システムに投資している。

かねてから中国投資に積極的であるバイデン元副大統領の息子ロバート・ハンター・バイデン氏は、中国の投資会社・渤海華美股権投資基金管理有限公司(渤海華美、Bohai Harvest RST)の取締会のメンバー。

同社は、中国のMegvii(北京曠視科技有限公司)が開発した顔認識プラットフォーム「Face++」に投資している。Face++の顔認識技術は、中国公安当局にも採用されている。

バイデン氏の次男、中国銀行と特別な取引

2018年に米国で出版された『秘密の帝国』の著者ピーター・シュバイツァー氏によれば、2013年12月、バイデン副大統領(当時)と、息子のハンター氏は、米空軍機に乗り中国北京を訪問した。2人は10日間の滞在中、国営で中国政府系・中国銀行子会社と米投資会社ローズモント・セネカ・パートナーズ(Rosemont Seneca Partners)が10億米ドルを出資して、米中合弁投資ファンド・渤海華美を新設した。

ブルームバーグにある企業情報によると、ローズモント・セネカ・パートナーズは、中国に巨額投資する米企業のひとつで、代表はハンター・バイデン氏。

シュバイツァー氏は、3月、米FOXニュースのインタビューに答えた。「ハンター・バイデン氏は、自身の投資会社と中国政府系銀行との間で、上海自由貿易地域での取引ができる。これは米大手金融ブラックストーン、バンクオブアメリカ、ゴールドマンサックスでも、成し得ない取引だ」と、そのハンター氏に対する特別扱いを指摘した。

「中国共産党政権はワシントンの政策決定者の息子が所有している企業を支援している。これは外国勢力による介入になりうる」

ハンター氏は、渤海華美を通じて中国投資を拡大してきた。中国メディア「投資界」によると、渤海華美(上海)株権投資基金管理は2013年に設立された資産管理会社。登録資本は2500万元。渤海産業投資基金管理、上海豊実金融サービス、昂駒投資コンサルティングとローズモント・セネカ・パートナーズが共同で設立した。この会社は、主に渤海産業投資基金管理傘下の渤海華美合弁基金が管理している。

ジョー・バイデン氏、中国共産党の脅威を公言「悪い人ではない」

トランプ大統領は8日にツイッターで、米中貿易交渉が継続する中、中国からの2000億ドル(約22兆円)分の製品に対する関税を10%から25%に引き上げると書いた。さらに「中国が合意から身を引いた後、再交渉を試みているのは、ジョー・バイデン氏あるいは非常に弱い民主党の一人と『交渉』することができるという期待を持っているからだ」と続けた。

米政府はこのところ、中国を公式的に戦略的競争国に分類している。これとは対照的に、大統領候補に名乗りを上げる元副大統領ジョー・バイデン氏は最近、中国の脅威について人々の懸念の払拭に回る発言をしており、米世論や民主党内からも批判の声が高まっている。

5月1日、ジョー・バイデン氏は、アイオワ州で開かれた2020年大統領選に向けた集会で、対中政策について語った。「彼らが米国の昼飯(利益)を横取りしたって?冗談だろう」「彼らは悪い人々ではない。競争相手ではない」。また、バイデン氏は中国政府について、複雑な国内問題に十分に対処しているとして、共産党政権を擁護した。

米保守系ニューヨーク・ポストは、バイデン氏の主張に真っ向から反論する評論を掲載した。「経済規模が世界第2位の中国は、重商主義の国営経済体制で、可能な限り知的財産を盗んでいる」。さらに一帯一路構想では、「他国を買収しようとして虐げており、世界中の市場の占有を狙っている」。

また、バイデン氏の「中国共産党は悪い人ではない」という主張について、同紙は、「100万人のウイグル人を強制的に再教育キャンプに収容するなど、北京政権による自国民に対する目に余る残酷な弾圧がある」と指摘している。

同じく民主党候補者指名争いに名を連ねるバーニー・サンダース氏も、バイデン氏の対中姿勢を批判した。「中国を米国の主要な経済的競争相手ではない、と見せかけるのは間違っている」と同氏はSNSに書いた。サンダース氏は、世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、中国共産党政権との貿易正常化で「米国では300万人以上の製造業の雇用が失われた」とした。

(文・ZACHARY STIEBER/翻訳編集・佐渡道世)