米石油大手がシリア油田操業も、トランプ大統領が言及

2019/10/28
更新: 2019/10/28

[27日 ロイター] – トランプ米大統領は27日、エクソンモービル<XOM.N>を含む米石油メジャーにシリアで油田操業を担わせる可能性に言及した。これについて法律やエネルギー業界の専門家からは違法で非倫理的などという批判の声が上がっている。

トランプ氏はシリアでの米軍特別部隊による軍事作戦に関する記者会見で「エクソンモービルあるいは他の米国の偉大な企業にシリアで適切な形で事業を担わせ、富を拡散させる可能性を念頭に置いている」と表明した。米軍の軍事作戦によって、過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者がシリア北部で死亡した。[nL4N27C0D1]

中東に展開するエクソンモービルとシェブロン<CVX.N>はトランプ氏の発言についてコメントを控えた。

米エモリー大学ロースクールのロウリー・ブランク教授は「国際法はまさにこのような搾取の阻止を狙っている」と指摘。

元米中央情報局(CIA)分析官で米有力シンクタンク、ブルッキングス研究所のシニアフェロー、ブルース・リーデル氏は「法的に疑わしい動きというだけでなく、中東地域や世界に対し、米国が石油を盗むつもりだというメッセージを送ることになる」と批判した。

米ブラウン大学の政治・国際関係学准教授、ジェフ・コルガン氏は「米国がエクソンモービルなどの米企業を通じて『石油を手中に収める』というのは非倫理的で、違法の可能性もある」と分析。また、米企業はシリアで操業するのに「数多くの実務上の課題」に直面するだろうと予想した。

 

オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は米NBCニュースの番組で、シリアの油田を守るためには米軍の駐留が必要だと述べ、油田収入についても米国に発言権があって然るべきとの考えを示唆した。

「われわれは油田の管理を継続するため一定の期間シリアに駐留する考えで、ISが再び台頭することがないよう監視し、クルド人勢力がシリアの油田収入の一部を得られるよう見守る必要がある」と述べた。

Reuters
関連特集: 国際