世界銀行、新疆ウイグル教育プログラムへの助成金を削減へ

2019/11/14
更新: 2019/11/14

世界銀行は11日の声明で、中国の新疆ウイグル自治区の職業訓練学校を対象とする総額5000万ドルの支援プログラムについて、規模縮小と監視強化を決めたと発表した。米議員は同行に対して、助成対象の職業訓練校に資金を乱用した疑いがあると申し立てていた。

国際復興開発銀行(世界銀行)は最近、支援プログラムの一つである職業訓練校が、第三者組織から資金乱用の疑いがあるとの申し立てを受けて、現地調査を行った。乱用に関して「証拠はなかった」が、学校は分散した立地にあるため、支援金の使用が世界銀行の基準に則しているかどうか、確認が難しいという。

世界銀行は、申し立てを受けた5つの教育機関に対する財政支援は継続するが、同行による監督を強化する予定という。5つの職業訓練校は、新疆工業大学、新疆農業職業技術学院、新疆軽工業職業技術専門学校、新疆医科大学、ウルムチ職業大学。

新疆の人権侵害に詳しい在カナダ中国人留学生・章聞韶(Shawn Zhang)さんは、ドイツの声の取材に対して、新疆の学校は職業訓練を行っているが、人権侵害を行う中国当局によって管理されていると語った。

章さんは2015年の入札文書を引用して、新疆の沙車県技術工業学校は世界銀行の融資を使って、およそ学校用品とは考えにくい用具50万ドル相当を調達していると指摘した。その内容は、木製暴動防止棒100本、盾30枚、ヘルメット30個、防護服100着、保安服24着、鉄線100キロ相当、有刺鉄線200キロ相当、刺又(さすまた)12本、防護手袋60対、警棒10本、催涙スプレー30缶、ゴム製警棒50本、反射板付きベスト20着、警告テープ2巻。

新疆ウイグル自治区では少なくとも100万人あまりが職業訓練施設に収容されていると報じられている。中国共産党政府は、新疆ウイグル自治区の住民に職業教育を施して貧困から抜けだし、過激思想から脱却させると説明している。

2018年10月にもAFP通信は、新疆和田県政府の同年初めの購入リストについて報道した。そこには、警棒2768本、棒状のスタンガン550本、手錠1367組、唐辛子スプレー2792缶、他にも監視器具が含まれていたという。同メディアは、職業訓練施設で使用されている可能性があると伝えた。

2019年8月23日、米議会の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)の議員は、世界銀行のデイビッド・マルパス(David Malpass)総裁宛ての書簡で、同行による2015年の教育助成プログラムに新疆の職業訓練が含まれていたことに疑問を投げかけた。

この手紙を作成したジム・マガバーン下院議員(民主党)とマルコ・ルビオ上院議員(共和党)は、「新疆の少数民族を収容する強制収容施設は政治教化のためだとの信頼できる証拠がある」とした。議員は、施設内での虐待や拷問、労働の報告も確認しているとした。

在米ウイグル組織「東トルキスタン国民覚醒運動(ETNAM)」は11月13日、4年間にわたる衛星写真の分析により、新疆には収容施設とみられる建物が少なくとも500は存在すると報告した。このため、収容者は100万人よりもずっと多いと推計されるという。

ETNAMの創設者サリー・フダヤル氏は、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対して、中国当局が収容施設を「職業訓練センター」と主張するならば、なぜ見張り塔や高さ3メートルの周囲の壁が必要で、誰も自主的に退所することが出来ないのかと指摘した。フダヤル氏自身の親戚100人あまりは、強制収容所と労働収容所に収監されたが、誰一人として解放されていないという。

(翻訳編集・佐渡道世)