2015年8月、北朝鮮の中朝国境付近を走る列車を見る女性、参考写真(Xiaolu Chu/Getty Images)

唇の荒れた兵士... 飢えと貧困にあえぐ北朝鮮国民、ミサイル発射に怒りやまず

北朝鮮は9月に入り、相次いでミサイルを発射した。深刻な飢えと貧困にあえぐ北朝鮮国民は、国営メディアがミサイル発射を「安全保障上の大きな成果」と宣伝していることに怒りを募らせているという。ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

北朝鮮は11日と12日に、新たに開発した長距離巡航ミサイルを、15日には短距離弾道ミサイル2発を日本海に向けて発射した。朴正天政治局常務委員は、脅威となる勢力に甚大な打撃を加えられる手段になると述べ、「鉄道機動ミサイルのシステムを実戦に導入したことは戦争抑止力の強化において極めて大きな意義を持つ」と高く評価した。

これに対し、北朝鮮国民は、生活を顧みない政府に怒りをあらわにした。核兵器・弾道ミサイル開発をめぐり国際的な制裁を科されている北朝鮮は、慢性的な食糧不足に陥っている。さらに中共ウイルス(新型コロナ)対策として中朝国境を閉鎖したで、貿易が停止。今年に入って大量の餓死者が出ているとの情報もある。

ある国民は、北朝鮮のミサイル開発は「自滅行為」だとし、「国家と国民の安全を脅かすものだ」と非難した。またRFAの取材に答えた国民はミサイル実験を「政府の威信を高めるためのもの」だと指摘し、貧困にあえぐ国民には無関心だと憤りをあらわにした。

今回新たに開発した長距離巡航ミサイルミサイル発射にかかった費用は明らかになってない。しかし、RFAが2019年に掲載した記事によると、ドイツの軍需コンサルティング会社「STアナリティックス」のマルクス・シラー博士は、「ミサイル計画を開発して兵器化し、本体や弾頭、エンジン、誘導装置、補助車両などを含めて約10億ドル(約1107億円)の莫大な費用が投入されたと推定される」と分析した。北朝鮮の20年の対外貿易総額8億6300万ドル(約945億円)を超える投資となる。

国民、軍事パレードに反発

北朝鮮は建国73周年を迎えた9日、首都平壌の金日成広場で軍事パレードを開催した。行進には赤色の防護服に防毒マスクを着けた一団が登場。国営メディアは、軍事パレードで消防車やトラクターが並び、花火が打ち上げられた写真なども公表した。これに対し、国民が強く反発しているとRFAが伝えている。

北朝鮮は従来、「5周年」「10周年」といった節目の年にパレードを開催してきた。建国73周年にあたる今年のパレードは、中共ウイルス対策の国境封鎖や自然災害などで経済的に困窮している国民に団結を訴える狙いがあるとみられる。

平安南道の住民は、「北朝鮮には食糧がないので、生き残るには自分に頼るしかないと示すためのパレードだ」と政府が危機に瀕した国民から目を背けていると非難した。

平安北道の住民は、「昨年10月の軍事パレードでは、兵士が6カ月間も過酷な練習をさせられた」と述べ、食事もろくにとれていない兵士たちの唇は荒れていたと語った。「軍事パレードに肯定的な感情を抱けるわけがない」とパレードに反抗的な態度を示した。

(翻訳編集・武田綾香)