米国生まれのパンダ、中国に「返さない」米議員が修正案提出

2022/02/04
更新: 2022/02/04

ナンシー・メイス米議員は1日、米国で生まれたパンダが中国に返還されるのを防ぐ修正案を提出した。現在、米国は中国側との契約でパンダの「レンタル料」として年間約50万ドル(約5800万円)を支払うほか、米国生まれの赤ちゃんパンダも中国に返還するよう義務付けられている。

メイス氏は声明で「中国共産党は何十年ものあいだ、パンダを世界中の動物園に『貸し出す』ことで、政権のイメージを変えようとしてきた」と指摘。「米国で生まれたパンダも中国共産党の所有物とみなされ、返還を求められている」と米国が置かれている状況に言及した。

中国は1941年から、希少動物のジャイアントパンダを外交上の贈り物として利用してきた。80年代に個体数が減少しているとして寄贈をやめ貸し出しのみとした。メイス氏によると、米国はつがいの2頭1組を年間100万ドルで長期契約している。このほか米国で生まれたパンダも4歳になる前に返還を求められている。

メイス氏は声明で天安門事件や武漢ウイルス研究所の騒動に至るまで中国共産党は「数多くの災禍の原因」と非難。動物を利用した党の政治宣伝も受け入れることなく、生まれたパンダが米国に留まれるよう権限を付与すべきだと訴えた。

メイス氏は中国などのライバル国を念頭に米国の研究開発や製造産業の競争力を強化する「America COMPETES Act(米国競争法案)」にパンダに関する修正案を盛り込みたい考えだ。パンダの共同繁殖プログラムの確立を目指し、同盟国との連携を模索することも提案している。

中国の国獣とされるパンダは北京冬季五輪のマスコットとしても採用されている。

日本のパンダの飼育頭数は中国に次いで世界第2位とされる。日経新聞によると、上野動物園のシャンシャンのレンタル料は年間約95万ドル(約1億800万円)に上るという。昨年12月31日までの返還となっていたが今年の6月30日まで期限が延期された。

米国をはじめ国際関係担当。
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