中国、現職の工業情報相らを調査 半導体国産化失敗のためか

2022/08/01
更新: 2022/08/02

中国政府はこのほど、半導体大手、紫光集団の趙偉国・前会長の身柄を拘束し、さらに工業情報相の肖亜慶氏と国家集成電路産業投資基金(国家大基金)の丁文武総裁を調査していると発表した。中国の半導体国産化戦略を担う大物が相次いで失脚し、波紋を広げている。

中国共産党の中央規律検査委員会(中規委)は7月28日、規律違反と違法行為の疑いで肖亜慶工業情報相を調査していると発表した。現職の閣僚級の摘発は、2017年に習近平政権2期目がスタートして以来、初めてのケースだ。

また、中規委国家監察委員会は30日、14年に設立された半導体産業向け政府系ファンド、国家大基金の丁文武総裁についても、重大な規律違反と違法行為の疑いで調査していると公表した。

中国メディア「財新網」25日付によると、国有半導体大手の紫光集団の趙偉国前会長が身柄を拘束された。紫光集団は昨年、深刻な債務問題で、中国の企業破産法により破産・再編の手続きに入った。

ブルームバーグ29日付は、ヒンリッヒ財団のアレックス・カプリ調査員の話として、半導体分野において中国が欧米への依存から脱却し「自力更生」することは、中国共産党にとって「非常に重要である」とした。

カプリ氏は、中国の重要な半導体発展戦略を担当する肖亜慶氏らが「党の方針に完全に従っているかは明らかになっていない」とし、「中国政府はIT産業をますます支配しようとしている」との見解を示した。

中国共産党は今年秋に5年に1度の党大会を開催する予定。肖氏らへの調査が党大会にどのような影響を与えるかはまだ不明だ。

中国政府は半導体国産化を図り、同産業を振興するために過去数年間、莫大な資金を投じてきた。しかし、技術者不足や半導体の先端装置製造・設計・材料などが西側諸国に依存しているという問題に直面している。米政府の禁輸措置強化で、中国は製造設備や技術などの入手が困難になっている。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は今年初め、半導体企業の声明や政府系メディアの報道、地方政府の文書などから得た情報として、中国の中央政府または地方政府が主導した大規模な半導体生産計画のうち、過去3年間で少なくとも6件が失敗に終わったと報じた。

これらの計画に約23億ドル(約3048億円)が投じられた。武漢弘芯半導体製造有限公司(HSMC)が昨年6月に経営破綻したことは国内外で最も注目された。

米調査会社ロジウム・グループの上級アナリスト、ジョーダン・シュナイダー氏は、肖氏らの失脚について「中国政府はおそらく『罪をかぶる者』を探しているのだろう。半導体産業が当初の約束通りに、実を結んでいないからだ」とブルームバーグに語った。
 

張哲
張哲
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