ワクチンをめぐって キュレウス誌が言明「論文撤回に根拠なし」

コロナワクチンの有効性を否定的に示した研究論文めぐり、ジャーナルが撤回要求を拒否

2023/09/21
更新: 2023/09/22

新型コロナワクチンの有効性を否定的に示した研究論文をめぐり、論文を掲載した科学ジャーナルが、責任著者からの論文の撤回要求を拒否した。

今月はじめ、科学ジャーナル「キュレウス(Cureus)」に査読を経て掲載された研究論文で、新型コロナワクチンの追加接種を受けた人が未接種の人と比較して感染する可能性が高いことが示された。

研究では、カリフォルニア州の刑務所の被収容者が対象とされた。そのうち、2価ワクチンの追加接種を1回接種した人は、ワクチンを1度も接種していない人よりも感染率が高かった。

共著論文出版においては、1人の著者が科学ジャーナルとのやりとりや論文への問い合わせに対応する「責任著者(Corresponding author)」が存在するが、この論文の責任著者は、科学雑誌に対し論文の撤回を要求した。

キュレウス誌の出版およびカスタマーサクセス担当ディレクターであるグラハム・パーカー・フィンガー氏は、エポックタイムズに対し、「責任著者から撤回を求める連絡があったと確認できるが、撤回の根拠がないと判断したため、公開を継続する」 と語った。

この論文は先月16日に査読が開始され、23日に終了しており、今月4日に発表された。査読の内容は公表されていない。

著者は高校生

論文の責任著者としてリストアップされているルック・コー氏は、自分は17歳でまだ高校生だと述べた。

コー氏はエポックタイムズ宛てのメールで、他の人が共著者として記載されているが、実際には論文著者は自分1人だと述べた。

「私が独力でこの研究を開始したのは、2つの目的があった。第一に、大学入試のための分析能力を披露すること、第二に、最新のワクチンを囚人に継続的に投与することの重要性を強調することだ」

コー氏によると、共著者としてリストアップされている人々は、「指導者としての役割を口頭で約束しただけだ。彼らには、私が入力したデータ、特に刑務所内のコロナ感染者数に関する誤った数字を検証する機会はなく、キュレウスに提出された論文の最終草案を見直す機会もなかった」という。

コー氏は、研究で使用されたデータの分析にChatGPTを使用したと主張し、「重大な間違い」を犯したと述べた。

そして、「誤って共著者として記載されたすべての指導者も、私と同じくその論文を撤回したいと望んでいる」と語った。

コー氏からこれ以上の返事はなかった。

研究方法

カリフォルニア州の刑務所医療サービスの代表者は、エポックタイムズに対し、「現在、この出版物の詳細を調査中であり、現時点で追加のコメントはできない」と述べた。

この研究は、今年1~7月までの被収容者のコロナ感染率に焦点を当てた。

被収容者らは、2価ワクチンを接種した人、ワクチンを接種したが2価ワクチンは接種していない人、ワクチンを接種していない人、という3つのグループに分けられた。

期間内の感染者数は2835人で、そのうち1187人は2価ワクチンを接種した人で、568人はワクチンを接種していない人だった。

研究者らがワクチン接種記録から情報を抽出したところ、3万6609人の被収容者が2価ワクチンを接種していたのに対し、2万889人は全くワクチン接種を受けていなかった。

研究者らは、2価ワクチンを接種した被収容者とワクチンを全く接種していない被収容者の感染率を計算し、ワクチンは接種したが2価ワクチンは接種しなかった被収容者は除外した。除外の理由は不明だ。

計算の結果、2価ワクチン接種者のグループの感染率は3.2%で、ワクチン未接種者のグループの感染率2.7%を上回った。

グループ間のギャップは、65歳以上の年齢層で最も大きかったが、それは統計的に有意ではないとされた。

州全体のカテゴリーと50歳以上のカテゴリーで、2価ワクチンを接種したグループは、未接種のグループに比べてわずかだが統計的に有意に感染率が高かったという。

しかし、研究者らは結論として「この研究は、特定の人口レベルでの、特に感染リスクの高い高密度の集会環境におけるコロナワクチン接種の利点を支持している」と主張した。

一方で、引退した医師のレイ・アンドリュース氏は「この結果は、ワクチンに効果がないことを示している」と自身の見解を示した。

今月、米国食品医薬品局(FDA)が、新たな変異株をターゲットとした改良ワクチンの使用許可を承認したが、そもそも、これまでの新型コロナワクチンには有効性を示した臨床試験によるデータがない。

他の論文や観察データも、コロナワクチンの有効性が時間の経過とともに急落することを示唆している。

例えば、クリーブランドクリニックの研究者らは6月、クリニックの従業員の中で、最新のワクチン接種を済ませた人や2価ワクチンの接種を受けた人は、他の人と比較して感染するリスクが高かった事を発見した。

The Epoch Timesで米国および国際ニュースを担当。拠点は米国メリーランド州。