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ICEと州警察が大規模作戦 フロリダ州で過去最多の不法移民摘発 

2025/05/03
更新: 2025/05/03

フロリダ州において、ICEと州政府が連携して、1週間で1120人の不法移民を摘発し、過去最多記録を更新した。

2025年4月21日から26日の6日間、アメリカ移民・関税執行局(ICE)はフロリダ州政府とともに、「オペレーション・タイダルウェーブ(Operation Tidal Wave)」と呼ばれる州全域を対象とした、大規模な移民取り締まり作戦を展開した。この作戦で、1120人の不法滞在者を逮捕し、ICE設立以来、単一州での1週間における最多逮捕数を記録した。

5月1日、フロリダ州のロン・デサンティス知事は、国土安全保障省(DHS)およびICEの幹部とともに南フロリダのICE執行・送還行動オフィスで記者会見を開き、作戦の成果を発表した。デサンティス知事は、「州全体での大規模な内部取り締まりを継続していく。これは始まりに過ぎない」と述べ、今後の方針を強調した。

今回の作戦では、ICE、フロリダ州内の複数の法執行機関、地方警察が連携し、犯罪歴を有する者、ギャング関係者、送還命令対象者を主な標的とした。逮捕者には、MS-13やアラグア・トレインなどのギャング構成員、性犯罪者、逃亡犯、裁判所の送還命令を受けた者が含まれていた。出身国別では、グアテマラが437人、メキシコが280人で、最も多かった。

ICEのマディソン・シーハン副局長は、「フロリダ州との緊密なパートナーシップによって作戦が成功し、複数の暴力的ギャング構成員をコミュニティから排除できた」と語り、今後は同様の取り組みを他州にも拡大していく意向を示した。

背景には、トランプ政権が進める大規模な送還計画がある。フロリダ州は、移民法執行において全米最多の287(g)協定(連邦移民法の一部を地方警察が執行する制度)を結んでおり、州内67郡すべてが協定に参加していた。また、フロリダ州宝くじ局や野生動物保護委員会など、従来関与してこなかった機関も取り締まりに協力した。

4月28日、トランプ大統領は、移民法の執行を強化するための行政命令に署名し、移民法の執行に協力しない「聖域都市」のリストを公表するよう求めた。また、連邦政策に反する行動を取る地方当局者に対して、刑事告発を警告した。

今回の「タイダルウェーブ作戦」では、街頭における積極的な逮捕を中心に行動を展開し、従来のように他の犯罪による拘束後に、ICEへ引き渡す手法とは異なった。「積極出動型」の戦略は、2014年に市民権団体の抗議や訴訟の影響で一時中断していたが、今回の復活により、移民政策がより強硬で、積極的な方向へ転換したことが明らかとなった。

一方で、大規模取り締まりに対する批判も存在し、移民擁護団体は、憲法上の権利を侵害する恐れがある点や、犯罪歴を持たない者、庇護申請中あるいは就労許可を取得している者まで拘束対象に含まれていたことを問題視した。

州政府は、今後も連邦政府との協力体制を強化し、地方警察への連邦レベルの訓練を拡充していく方針を示し、ICEも他州において、同様の大規模作戦を実施する予定であり、今回の取り締まりが一過性ではないことを強調した。

このように、「オペレーション・タイダルウェーブ」は、フロリダ州が全米の移民取り締まり政策の先頭に立ち、州・連邦・地方の連携による新たなモデルケースとして、注目を集めた。

王君宜
王君宜