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中共けん制へ 米台の軍事協力が加速

2025/06/23
更新: 2025/06/23

アメリカの国防技術企業Auterionと、台湾の国家中山科学研究院が17日、無人機および無人艇の共同開発に関する協定を締結した。両者は、ウクライナで実戦運用された無人機ソフトウェアを活用し、台湾の防衛能力を強化することで中国共産党(中共)の脅威に対抗する方針だ。

また、アメリカ下院歳出委員会は、2026会計年度の国防歳出法案を可決し、台湾への5億ドル支援を盛り込むことで、戦備抑止力の向上を図った。

国際社会は台湾海峡の安全保障を注視している。この日、台湾の国家中山科学研究院とアメリカのAuterion社は協力を本格化させ、ウクライナで実戦使用された軍用無人機・無人艇ソフトウェアの導入に踏み切った。これにより、台湾は中共による台湾海峡での軍事的拡張を正面から抑え込む構えを見せた。

Auterion社のソフトウェアは、ウクライナ戦場においてロシア軍との戦闘で成果を上げている。この協定に基づき、台湾は数百万機規模の無人機および無人艇の戦力化を推進する。

同日、宜蘭県蘇澳港で開催された海上無人機展示会には、台湾企業が最新型の無人水上艇(USV)を出展し、自律型ビークルが新たな防衛戦略において果たす重要性を強調した。

なかでも、雷虎科技公司が開発した無人艇は高い注目を集めた。この水上ビークルは台湾国内で独自に開発され、1200キログラムの爆薬が搭載可能であり、航続距離は500キロメートルに達する。

雷虎科技公司総経理の蘇聖傑氏は、「自爆攻撃に適しているほか、偵察任務にも活用できる。用途は目的によって異なり、柔軟な運用が可能だ」と述べた。

もう一つの焦点は、龍德造船公司が開発した「黒潮(Black Tide)」号だ。同艇は低いシルエット設計を採用し、高速性とステルス性が両立している。

龍德造船公司副総経理の蔡明宏氏は、「この無人水上艇(USV)は情報収集、監視、偵察、自爆攻撃など、単方向の任務を遂行するために最適な設計となっている」と説明した。

台湾軍は現在、これら無人水上艦艇の作戦統合を進めている。これらの低コストかつ予測困難な装備は、台湾の非対称戦力を拡充し、中共による武力行使を抑止するための有力な手段となる。

米台間の軍事協力も着実に深化している。アメリカ軍は公式に写真を公開し、日・米・韓の空軍が6月12~27日アラスカ州で実施する「Red Flag Alaska 25-2」合同演習に、台湾の高官がオブザーバーとして参加した事実を示した。

公式記録によれば、台湾側の代表として出席したのは、中華民国空軍司令部飛行訓練部の呉佳興少将であった。他国の軍人が軍服で直接参加した一方、台湾は兵力を派遣せず、オブザーバーとして関与した。だがこの事実は、台米間の軍事的連携が表面化している証拠だ。今回の演習には日・米・韓の3か国から約1500人と70機の航空機が参加し、飛行、整備、模擬戦闘など多岐にわたる訓練を行っている。

また、アメリカ下院歳出委員会は先ごろ、2026会計年度の国防歳出法案を可決した。委員長トム・コール氏は法案の意義を強調し、軍事的優位を維持するうえで、中共、ロシア、イラン、北朝鮮といった野心的政権に立ち向かう必要性を強調した。

コール委員長は「中国、ロシア、イラン、北朝鮮は一貫してアメリカを超えることを目指しており、軍事、経済、戦略の各面で優位を確保しようとしている。この法案はその挑戦に対処するものである」と述べた。

この法案には、台湾安全保障協力イニシアチブへの5億ドルが含まれ、軍事教育、訓練、防衛装備やサービスの提供を通じて、台湾の戦備能力を高める設計となっている。

さらに、アメリカ海軍代理作戦部長ジム・キルビー大将は、今週の議会公聴会で台湾向けの重点分野を説明した。対象分野は、長距離打撃火力、中共のC5ISRTへの対抗、米艦艇の終端防御、後方補給の耐妨害性、そして非伝統的な海上阻止能力であり、最終的な目的は「台湾を攻略困難な地域にする」ことにあると述べた。

キルビー大将は「台湾を極めて攻略困難な領域とする必要がある。このために必要な投資と実証を進めている」と明言し、無人機によって台湾の非対称防衛能力を強化し、中共の軍事的拡張を制御すべきであると強調した。

一方、16日に開催されたカナダG7サミットのグローバル経済会議では、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が発言し、中共政権がルールに基づく国際秩序の制約を受け入れようとしない現状に言及した。

フォン・デア・ライエン委員長は「現在のグローバル貿易体制が本来の役割を果たしておらず、経済的なガードレールが明確に欠如している。この点についてはトランプ大統領の指摘が的を射ていた。深刻な問題が確かに存在する」と語った。

今回のG7サミットでは、各国首脳が重要鉱物の供給網多様化による「リスク低減」戦略を重点的に議論し、中国への輸出依存の緩和を目指す方針で一致した。