アメリカのジョージ・グラス駐日大使は7月7日、合成麻薬フェンタニルによる深刻な被害について、自身のSNS(X、旧ツイッター)で「危機的状況に対処するには、強い決意と協力体制が求められる」と述べ、日米両国による連携の重要性を強調した。
グラス大使は投稿の中で、「フェンタニルにより、毎日200人を超える米国人が命を落としている」と指摘した。アメリカではフェンタニルを含む合成オピオイドの過剰摂取による死者が増加し、社会問題となっている。米疾病対策センター(CDC)によれば、2023年には薬物過剰摂取による死者が10万人を超え、その多くがフェンタニルなどのオピオイドによるものであった。
グラス大使はまた、「麻薬カルテルや腐敗した中国当局がこの不正かつ命にかかわる取引から利益を得ようと固執するのと同様に、われわれもその根絶に強い決意を持って臨まなければならない」と述べ、中国共産党がフェンタニル密輸に関与しているとの見方を示した。
さらに、グラス大使は「日本政府は先日、フェンタニルの前駆体化学物質に関する不審な取引を調査するよう地方当局に指示した。日本経由での積み替えを阻止する上で重要な一歩だ」と述べ、日本政府の対応を評価した。厚生労働省は、フェンタニルの原料となる化学物質の管理を強化し、都道府県に対して不審な取引の調査を指示したとされる。
一方、日本経由でのフェンタニル密輸に関しては、現時点で具体的な事例が確認されているわけではない。日本国内でのフェンタニル乱用や密輸の実態については、引き続き調査と監視が求められる状況である。
アメリカではフェンタニルの乱用が深刻な社会問題となっており、政府は対策を強化している。今後も日米両国は情報共有や連携を進め、違法薬物の流通防止に取り組む方針である。
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