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信教の自由と民主主義の根幹を揺るがす重大な危機 キリスト者たちが問う旧統一教会解散命令の是非

2025/08/12
更新: 2025/08/12

8月11日、東京・御茶ノ水で「信教の自由を脅かす解散命令〜旧統一教会信者強制改宗の闇を暴く」と題した集会が、日本キリスト者オピニオンサイト「SALTY」の主催で開かれた。

登壇者はすべて旧統一教会を異端とみなすキリスト者だったが、3月に東京地方裁判所が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への解散命令を請求したことについて、単なる一宗教団体の問題ではなく、日本の信教の自由と民主主義の根幹を揺るがす重大な危機だとの懸念から、様々な立場のキリスト者が声を上げた。

モラロジー道徳教育財団教授の西岡力氏は、キリスト教の立場から旧統一教会は「異端」であり友好的とは言いがたいとしつつも、「信教の自由を認めることが大前提」と強調。安倍元首相暗殺事件以降、過熱する報道と社会の風潮によって「信教の自由が脅かされている」と指摘し、キリスト者として社会的責任から声を上げる必要性を訴えた。

「SALTY」代表の木下春樹氏は、「対話とは互いの違いを認め合うことであり、説得の場ではない」と語り、最初に聞いた情報を正しいと信じ込み異なる意見を拒絶する社会傾向に警鐘を鳴らした。

登壇した沖縄県南城市・つきしろキリスト教会牧師の砂川竜一氏は、キリスト教会の一部が統一教会信者を拉致・監禁してきた事実を「戦後最大の人権侵害」とし、その罪を悔い改め謝罪すべきだと訴えた。質疑応答で「なぜ神を信じるクリスチャンが共産主義的な方向に進むのか」と問われると、「牧師の情の深さとメディアを鵜呑みにする傾向が原因ではないか」と答えた。

パネルディスカッションでは、「SALTY」主筆の西岡氏と論説委員の中川晴久氏が、安倍元首相暗殺事件を機に形成された「世論」が、テロリストの動機に社会が迎合する危険な流れを生んだと指摘。

西岡氏は、政府が宗教法人法の解散要件の解釈を議事録も残さず「刑法違反」から「民法上の不法行為」にまで拡大したことを「法の支配の崩壊」と批判した。また、東京地裁の判断根拠に拉致監禁で棄教させられた元信者の訴訟が含まれている点を「人民裁判だ」と断じた。

「拉致監禁」と「マインドコントロール」の虚構

中川晴久氏は、長年にわたり約200人の牧師が関与してきたとされる旧統一教会信者への拉致監禁と強制棄教(ディプログラミング)問題を解説した。信者の家族や脱会支援者による長期の物理的拘束は、信仰を強制的に捨てさせるもので、信教の自由を侵害する深刻な人権問題だという。

中川氏は、この問題が報道されない背景に、オウム真理教事件との根深い関連があると指摘。オウム真理教は、本来は信者の家族が心配して拉致監禁し棄教させようとした。しかし教団はこれを「国家による弾圧」と訴え、これが教団の過激化と地下鉄サリン事件の一因となった可能性を指摘している。

さらに、中川氏は「マインドコントロール」概念がCIAの失敗した実験に由来し、科学的根拠に乏しい陰謀論であると説明。この虚構が日本社会に浸透し、「戦後最大の人権侵害」を見過ごす原因になってきたと批判した。

弁護士の中山達樹氏は取材に対し、「世論は単一ではなく複数あるべきという専門家の指摘が印象的だった」と述べ、日本社会が戦前のように一方向へ流れる同調圧力の危険性を感じたと語った。メディアは世論に反してでも真実を伝える気骨を持つべきだとし、自らも「虐げられた人を助ける弁護士」として世論に屈しない姿勢を貫く決意を示した。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。