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中国 上海のピアノ教師が語る 「生徒激減と値切りの時代」

中国「ピアノブーム」終焉 富裕層すら学費を値切る時代に

2025/08/21
更新: 2025/08/21

中国経済の低迷は、かつて中産階級のステータスとされたピアノ教育にまで影響を及ぼしている。

上海の若手ピアノ教師は、「生徒が急激に減少し、教室も縮小を余儀なくされている」と苦しい現状を語る。北京の教室でも生徒数はピーク時の半分以下に落ち込み、親たちは先払いを避けるなど、習い事を続ける余裕を失っているという。

2010年代の中国は、世界最大のピアノ市場だった。英誌『エコノミスト』によると、ピーク時には4千万人以上の子どもがピアノを習い、世界全体の約8割を占めていた。年間販売台数は40万台を突破したのに対し、同時期のアメリカはわずか3万台にとどまった。教師や教室は活況を呈し、業界全体で巨額の利益が上がっていた。

しかし、この熱狂は2024年に急速に冷え込み、7千以上の楽器店が閉鎖、販売台数も半減した。2025年に入り、業界全体の冷え込みはさらに深刻化。中国最大手で、世界でもトップクラスの販売規模を誇る珠江ピアノは、上半期の純損失が1億元(約20億円)を超える見通しだ。

現在、生徒の多くは富裕層だが、その親でさえ「他の教室のほうが授業料が50元安い」と値切りを持ちかけるという。高級住宅や高級車を持つ家庭であっても、かつてのように子どもの教育に惜しみなく投資することをためらうようになったと、上海のピアノ教師は嘆く。

かつて社会全体を巻き込んだ「ピアノブーム」は、いまや終焉を迎えている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!