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中国 監視カメラが捉えた街角の現実

繁栄を誇る中国の裏側 ゴミ箱の前に広がる現実

2025/09/10
更新: 2025/09/18

8月29日、広東省広州市の街角に置かれたひとつの公共ゴミ箱。そのわずか20分の間に、3人が相次いで中を漁る姿が監視カメラに映り、ネット上で広く拡散した。

ペットボトルを狙い澄まして持ち去る者もいれば、空振りに終わり立ち去る者もいた。ありふれた光景に見えるが、繰り返される行為は社会の深い影を映し出している。

地元住民は「驚くことではない」と語る。旧正月以降、このような拾い物の場面は目に見えて増え、特に老人の姿が目立つという。

彼らはペットボトルや段ボールを集め、500グラムでわずか1~2元(約20~40円)にしかならないお金に換える。夕暮れになると生鮮市場で残りの野菜を拾う人々の数はさらに増える。生き延びるために頭を下げる姿は、繁華街のきらびやかさとは対照的である。

中国経済の最前線とされる大都市・深圳でも同じだ。路上で眠る老人、ゴミを積んだリヤカーを引く70代、80代の姿は日常化している。年金も医療保険もなく、捨てられた瓶や段ボールに命をつなぐしかない。

「アメリカにもゴミ箱を漁る人はいるじゃないか」と反論する人もいるだろう。だが中国の場合は性質が違う。アメリカでは主にホームレスや薬物依存者など、社会の周縁に追いやられた少数に限られる。だが中国では、年金や医療保障の乏しさから、医者や教師といった中流家庭の高齢者までもが段ボールを拾わざるを得ない。それは単なる貧困者の姿ではなく、繁栄を誇る中国の裏側を象徴する現実である。

SNSには切実な体験談や嘆きが溢れた。あるユーザーは「隣家は医者の家庭で、昔は食べるのに困らない暮らしをしていたが、いまでは高齢の母親が段ボールを拾っている」と書き、別の投稿では「戦争は残酷だが、平時の人食い社会はもっと残酷だ」と嘆いた。なかには「この映像を外国人に見せてはいけない、国家機密だ」と自嘲する声もあり、憐憫と怒り、諦念(ていねん・あきらめの気持ち)が交錯するコメントが並んだ。

「ゴミ箱の前にしゃがみ込む人々の背中」は、この時代の真実を静かに物語っている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!