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高市首相「存立危機事態」発言を巡り波紋 薛剣総領事の投稿は「外交上の礼節から逸脱している」=台湾総統府

2025/11/11
更新: 2025/11/11

高市早苗首相が国会で台湾有事に関する答弁を行ったことに対し、中国共産党政府が「内政への乱暴な干渉だ」と強く反発した。これを契機に、中国駐大阪総領事による過激なSNS投稿が台湾やアメリカの駐日大使を巻き込み、国際的な外交論争へと発展している。 

高市首相は11月7日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の岡田克也議員(立憲)から、台湾有事の際に、日本の集団的自衛権の行使を可能にする「存立危機事態」に該当するかどうかという質問を受け「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースだ」と答弁した。 

この高市首相の発言を受け、中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事は自身のX(旧Twitter)アカウントに「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」とする暴力的表現を含む投稿を行った。 この薛剣領事の投稿に対し、日本政府は10日「極めて不適切」として抗議し、削除を要請し、外交ルートを通じて厳重に対応した。この薛剣領事の投稿はSNS上で大きな物議を醸している。

共同通信によると台湾総統府報道官は10日、薛剣総領事の投稿を「外交上の礼節から逸脱している」と非難した。 また同日、ジョージ・グラス駐日米国大使も自身のXで反応し、「再び本性が露呈した」として総領事を厳しく批判。「薛総領事は高市首相と日本国民を脅している」と述べ、中国政府の姿勢を強く問題視「中国政府は『良き隣人』を口癖のように繰り返すが、実態が伴っていない。今こそ、その言葉通りの行動を取るべきだ」と投稿した。

中華人民共和国駐日大使館が公開した林剣報道官のコメントによると、「日本の指導者が台湾に関して誤った発言を公然と行い、台湾海峡への武力介入をほのめかしたことは、中国の内政に対する乱暴な干渉であり、『一つの中国』原則や中日間四つの政治文書、国際関係の基本準則に深刻に反する」と主張。 「この発言は日本政府がこれまで表明してきた政治的約束とも著しく矛盾している」とし、日本側に対して「挑発やレッドラインを越える行為を直ちにやめるべきだ」と警告した。

 高市首相の発言をめぐっては国会でも激しい議論が交わされた。

 10日、「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得る」という発言について、大串博志議員(立憲民主党)は高市首相に対し「極めて重い」ものであり修正を求めた。

高市首相は、「最悪のケース」を想定した答弁を行ったとし、台湾海峡に関する質問であったため「あえてケースを上げた」としつつも、「従来の政府見解、すなわち実際の状況を踏まえて総合的に判断する立場を変えたものではない」と強調。発言の撤回や取り消しを否定した。

一方で首相は、「特定のケースを想定して明言することは今後慎もうと思う」と述べ、具体例を挙げた点については反省を示した。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます