高市政権の改憲を阻む「中国共産党ナラティブ侵略」の正体と沖縄の危機

2026/02/09
更新: 2026/02/09

2026年2月4日に行われた中国外交部定例記者会見において、日本の憲法改正および自衛隊明記の動きに対し、中国共産党(中共)政権側が強く牽制を行った。これに対し、日本沖縄政策研究フォーラムの分析は、中共の発言を高度な「ナラティブ侵略」および「法律戦」と断定し、警鐘を鳴らしている。

高市首相の改憲意向と中国の反応

中国共産党外交部の2月4日の会見は、日本の衆院選を4日後に控え、高市早苗首相が選挙活動において、憲法を改正し自衛隊を明記する意向を表明し、世論調査でも高市氏の優勢が伝えられる中で行われた。

中国外交部の報道官は、記者から「高市首相が自衛隊明記の改憲意向を示し、軍事力強化の意図を隠していないが、これは中国や地域にとって何を意味するか」と問われた際「日本側の動きに留意している」と前置きした上で、第二次世界大戦中の日本の軍国主義に言及。

「カイロ宣言」「ポツダム宣言」「降伏文書」といった国際法文書を列挙し、これらが「敗戦国としての日本の国際的義務を明確にしており、日本が国際社会に復帰するための政治的・法的前提である」と主張した。その上で、日本に対し「侵略の歴史を深く反省」し、「平和的発展の道を堅持」するよう求めた。

狙いは戦後国際秩序(ポツダム体制)の固定化

中共側の主張の核心は、日本を永続的に「敗戦国」の枠組みに留め置くことにある。会見において報道官は、日本の憲法改正や軍事力強化の動きを、単なる内政問題ではなく、戦後の国際秩序への挑戦として位置づけた。

具体的には、日本が憲法を改正し自衛隊を明記することは、戦後国際秩序(いわゆるポツダム体制)からの逸脱であるという論理を展開している。これにより、日本の安全保障政策の変更を歴史認識問題および国際法違反の問題へとすり替え、外交的圧力を正当化する狙いがある。中共政権は、日本が「実際の行動をもってアジアの近隣諸国と国際社会からの信頼を得る」必要があるとし、日本の主権行使に条件を付けている。

「三戦」による主権侵害

これに対し、日本沖縄政策研究フォーラムの仲村覚理事長は、中共側の発言を日本の主権的決定権を制限するための意図的な「三戦(法律戦、心理戦、世論戦)」であると分析している。

法律戦 主権回復の否定

仲村氏は、中共が「カイロ宣言」や「ポツダム宣言」を何度も持ち出す理由を次のように分析している。

それは、1951年の「サンフランシスコ平和条約」によって確定した、日本の「独立国としての正当な権利(主権)」を骨抜きにするためだ。

本来、国際社会では、戦争中の「宣言(方針)」よりも、戦後の「条約(法的合意)」が優先される。しかし中国は、あえて古い「宣言」を強調することで、「日本は今も戦後の厳しい制限下に置かれるべき存在だ」という空気を演出しようとしている。

いわば、戦後の新しいルール(条約)よりも、戦時中の古い約束(宣言)を優先させることで、日本の外交や守りを縛り付けようとしているのだ。これが、中国が仕掛ける「法律を武器にした戦い(法律戦)」の本質であると仲村氏は指摘した。

心理戦・世論戦 沖縄への波及

さらに深刻な懸念としては中共の主張が「沖縄の主権形骸化」を狙っている点を挙げる。

沖縄は「ポツダム宣言」で一度日本から切り離され、「サンフランシスコ平和条約」で日本は独立したが、沖縄は日本本土とは別の道を歩まされた。1972年にようやく返還されたが、この「一度切り離された」という事実を中共は利用する。

中共の論理では、日本が戦後文書(カイロ宣言、ポツダム宣言等)を遵守しない場合、戦後処理の法的枠組み全体が不安定化することになる。これは将来的に「琉球地位未定論」を補強する法的根拠として悪用されるリスクがある。「琉球地位未定論」とは、近年、中共政権が対日外交上の論点として取り上げている「沖縄が日本に属している法的な根拠はない」という理論だ。

また、自衛隊の配備強化を「軍国主義の再来」と定義づけることは、沖縄住民に対し「防衛努力こそが地域の緊張を高め、沖縄を戦場にする」という恐怖心を植え付ける高度な心理戦であると分析している。

今後の予測と課題

対立の激化

高市政権が改憲および防衛力強化を具体的に推進すれば、中共は外交的圧力をさらに強めることが確実である。今回の会見での発言は、今後の対日外交姿勢が厳しくなることの予兆であり、日本国内の世論分断や、アジア周辺国を巻き込んだ「日本脅威論」の拡散が予想される。

「戦敗国」ナラティブとの攻防

日本にとっての最大の課題は、中共が仕掛ける「戦敗国」ナラティブに対抗し、主権国家としての正当性を国際社会に主張し続けることである。仲村氏は、即時のカウンター・ナラティブとして「日本はサンフランシスコ平和条約により主権を完全に回復しており、憲法改正は主権国家の当然の権利である」という事実を、法的根拠に基づき世界へ発信する必要性を訴えている。

沖縄を巡る「認知戦」の攻防

日本が今直面しているのは、単なる防衛政策の是非ではない「自衛隊配備こそが緊張を招く」という中共側の巧みな心理戦に屈し、南西諸島に致命的な「力の空白」を生じさせるか、それとも「断固たる配備こそが平和の礎である」という抑止の論理を貫き通せるか、という二者択一である。

中共が仕掛ける「主権形骸化」の呪縛を打破し、物理的にも心理的にも沖縄を守り抜くことができるか否か。その成否こそが、戦後レジームからの脱却を目指す高市政権の、ひいては主権国家としての日本の存立をかけた最大の試金石となるであろう。

▶大紀元EPOCH TIMES JAPAN編集長 ▶「日本の思想リーダーズ」「THE PARADOX 真実のへ扉」番組ナビゲーター 、「大紀元ライブ」番組ホスト。