米国立公文書館は9月25日、訪米中の中国共産党(中共)党首、習近平を迎える準備をしていたが、展示品に中共が敏感に反応する「サンフランシスコ平和条約」が含まれていたため、直前に展示計画を変更した。
米公共ラジオ(NPR)は9月29日、中共の外交官1人と事情を知る別の2人の話として、行程が「土壇場」で変更され、当初展示する予定だった全ての展示品が撤去されたと報じた。
当日午前、公文書館の中央ホールには長机が置かれ、黒いテーブルクロスの上に、万里の長城のれんが1個と、清朝の皇帝が贈った精巧な19世紀の巻物が急きょ並べられた。
事情を知る関係者によると、今回の行程変更は、米国が展示を予定していた1951年の「サンフランシスコ平和条約」に中国側が不満を示したことがきっかけだった。
中共の外交官はNPRに、「米国と日本が署名した条約で、中国(中国共産党)は参加していなかったからだ」と語った。
同条約は、第2次世界大戦中の日本と、米国を含む連合国との敵対状態を終わらせた。第2条では「日本は台湾および澎湖諸島に対する全ての権利を放棄する」と明記したが、台湾の主権がどの国に帰属するかは明示しなかった。この点は、後の国際法学界や政治的な議論で「台湾の地位未定論」を巡る争点の中心となった。一方、中国側は同条約を一貫して認めていない。
米メディア「ニュースネーション」のホワイトハウス担当記者、ケリー・マイヤー氏は9月25日、Xへの投稿で、「望厦条約」「天津条約」「サンフランシスコ平和条約」を含む、当初展示予定だった6点が、習氏の到着前に急きょ撤去されたと明らかにしていた。
NPRによると、訪問の準備に関わった米当局者は、双方が米台関係を定義するうえで重要な他の文書についても協議したと述べた。「6つの保証」や「3つのコミュニケ」などが含まれていたが、最終的にこれらは展示対象に入らなかった。
報道は、この出来事が、台湾問題は米中関係で依然として極めて敏感な問題であり、歴史解釈のわずかな違いも外交政策に影響を与え続けていることを示すと指摘した。
中共の外交官2人によると、在米中国大使館が文書の一覧を知ったのは、習近平が9月24日に国賓としてワシントンを訪問していた際だった。トランプ氏と習近平が米国立公文書館に到着する90分前になっても、中国側は「サンフランシスコ平和条約」が予定通り展示されるかどうかを把握していなかった。
台湾問題について、中共は「カイロ宣言」と「ポツダム宣言」を引用する傾向が強い。これらでは、日本が占領した中国の領土について、米国の指導者が「中華民国」の枠組みの下で主権を「回復」することを支持していた。ただ、当時の「中華民国」は蒋介石政権を指していた。
9月25日、トランプ氏と習近平が赤いじゅうたんの敷かれた階段を上り、ワシントンにある米国立公文書館に入った時には、建物のホールはすでに空になっていた。両氏は「独立宣言」「憲法」「権利章典」の原本を見学し、ほどなく訪問を終えた。
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